トウコの新スキルはおそろいのアレで!?
俺はトウコに尋ねる。
「そう言えば、トウコもレベルが上がったんだろ?」
「二十九っス!
ついにあたしもアラサーっスね」
「年齢的にはアラツーだろ」
「いやいや、二歳じゃないっス!
それを言うならアラツエかアラハタっスね!」
トウコにしては知的な返し!
聞きなれない言葉にリンが首をかしげる。
「あ、あらはた?」
荒れた畑みたいだな。
「アラウンド二十歳っスよ!
ちな、アラツエはトゥェルヴの略っス!」
トウコが下唇を噛んで嘘くさいネイティブ発音をする。
ちょっと腹立つな。
……てか、二十歳前後ならトゥエンティじゃないか?
「つまりトウコの精神年齢はトゥエルブってことだな」
「そーっスね!」
胸をはるトウコ。
「トウコちゃん……。
それ、十二歳のことだよ」
「うぇ?
あー、そうそう。トゥウェンチィのことっス!」
ウザ発音!
俺はかぶりを振って続ける。
「ま、どうでもいいや。
それより、新しいスキルはどうするんだ?」
「どーでもって!
あたしはもう、こないだのホテルで取っちゃったっス!」
お、いつの間に。
別行動しているときか?
疑問が顔に出ていたのか、リンがフォローするように言う。
「私と相談して決めたんだよねー」
「ほう。
戦いながら必要なスキルを取ったわけだな」
俺はあまりやらないが、現場での判断も悪くない。
トウコは直感タイプだしね。
リンが相談に乗ったなら変なスキルじゃあないだろう。
トウコが大きくうなずく。
「そーっス!
弾切れしそーだったんで【弾薬創造】を三に上げたんス!」
「おお、使い勝手はどうだ?」
トウコがぐっと親指を立てる。
「いいっスよ!
連戦だと弾を拾ってる余裕がないんスよねー。
だからサッと作れるのは便利っス!」
【弾薬調達】だけじゃ賄えないシーンもある。
そんなときは魔力を使って弾丸を作ればいい。
「弾を作るとき、魔力はどれくらい使うんだ?」
「全部の弾を作ってたら持たないっスねー。
拾ったり作ったりすれば、なんとかなるっス!」
【弾薬調達】で拾い、足りない分を【弾薬創造】で補う。
銃使いの生命線である弾薬の管理が、より柔軟になったわけか。
「あと、あたしもさっき、アレをゲットしたっス!
店長とリン姉が持ってるヤツ!」
「おっ?
何をゲットしたんだ?」
トウコが誇らしげに言う。
「へへ!
アイテムボックスっス!
【弾薬収納】っスよ!」
「おお、ついに収納スキルが出たか!
いいじゃないか!」
「わあ、よかったね、トウコちゃん!」
当たり前だが、銃は弾丸がなければ役に立たない。
だからトウコはダンジョン攻略前に敵を狩って弾を集めたり、戦闘中に弾を拾ったりしている。
かさばる弾薬を収納できれば格段に楽になる。
「へへ、見ててほしいっス!」
トウコが笑って手を差し出す。
手の上には何もない。
「出でよ弾丸っ!」
トウコが大げさな身振りで手を閉じて開く。
手のひらの上には弾丸が乗っていた。
出たな。
とはいえ弾丸を出すところだけを見ると【弾薬創造】と見分けがつかない。
トウコが弾丸を握りこむ。
「ぱっと消えろっ!」
手を開くと、今度は弾丸なくなっていた。
これは間違いなく収納スキルの効果だ。
リンがパチパチと拍手を贈る。
「すごい、手品みたいだねー!」
「タイムラグは三秒くらいか。
俺たちの収納と同じ仕様だな」
「おそろっス!」
収納スキルの出し入れには時間がかかる。
瞬間的には取り出せない。
ちょっと渋いんだよな。
便利だが万能ではない。
トウコが笑顔で続ける。
「あとあと!
熟練度で【チャージショット】と【応急処置】も上がったんスよ!」
「おお、よかったじゃないか!
ホテルでは【応急処置】がかなり役だっていたしな!」
ダンジョン攻略ならポーションが使える。
悪性ダンジョンには充分な物資が持ち込めない。
だから回復量の小さい【応急処置】でも、かなり役に立つ。
トウコがへらりと笑う。
「へへー!
店長やリン姉がケガしたら、あたしが助けてあげるっスよ!」
俺は大げさにうなずく。
「はは、そりゃ心強いな!
それなら、回復役のトウコが先にやられないように頼むぞ!」
こうして動機付けしておけば、無茶をしなくなるだろう。
トウコが大きくうなずく。
「もちろんっスよ!」
「よし、頼りにしているぞ、衛生兵トウコ君!」
「サーイエッサー!」
トウコが笑顔で敬礼してみせる。
いい笑顔だ!
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