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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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禁断の術!? 感じるんだ、水を!

 探知(たんち)知覚(ちかく)察知(さっち)

 似た意味だけど、少しずつ意味が違う。


 今回試すのは【水()()】だ。

 リンの持つ【魔力()()】に似た使い方ができるかを試したい。


 これができたら俺の水忍法はさらに飛躍(ひやく)することだろう!

 期待が高まる!


 探知は探して知る、ということだ。

 知覚は感覚を通して、それが何かを理解することだ。


 スキルによる感覚は俺にとってもなじみが深い。

 【危険察知】は何度も俺に危険を知らせてくれた。

 これは推測や予感、直感という感じで、ビビッと来る。


 【水探知】はどんな感じだろうな?


「――さっそく【検証者】にセットしてみよう!」

「はーい!」


 リンが嬉しげに笑顔を輝かせる。


「いざ、検証者の枠に【水探知】をセット!」

「セットっ!」


 トウコが復唱してくる。



 ちょうどいい具合に、今いるのは風呂だ。

 探すまでもなく周りは水という状況……。

 水はたくさんある。


 さて、これがどう見えるのか。

 いや視覚とは違うんだから、見るのとは違うか。


 探知でも、察知でも、知覚でも感覚でも同じこと!

 集中して感じ取ればいい!


 目で見るんじゃない!

 こころで感じるんだ!


 開け、第三の目!

 開花せよ、俺の心眼(しんがん)


 くわっ!


 おお!?

 見える……!

 私にも水が見えるぞ!


 感じる!

 自分の体を包む水の存在を!


 波打つ水の揺らめき、跳ねる水滴。

 圧力や対流する水の動き。


 湯のあたたかさまでも感じられる。

 不思議なものだ。

 皮膚の温感とはまったく別の感覚でそれとわかる。


 目を閉じて、水に身をゆだねる。

 感覚を()()まし、水そのものを知覚するイメージ。


 俺は水だ。

 湯は俺だ。

 意識を溶け込ませ、感じ取るのだ。


「どうですか?」

探知(タンチ)できそーっスか?」


「ああ……お湯が感じられる。

 リンが言っていた通り、知覚するように使えそうだ」

「わあ!

 それはよかったです!」


 リンが嬉しそうに微笑む。

 俺は笑い返す。


「おかげで、水忍法が新たな次元に進みそうだ」


 水を感じるのは目で見るのとは違う。

 ぜんぜん違うのだ。

 もっと立体的で、質感を持っている。


 今感じているのは自分の体に触れている水だけだ。

 直接触れているからか、かなり鮮明に感じられる。


 岩石探知のナイフは、もっと遠くの岩を知覚することができた。

 足元はよく見えて、遠くはぼやける感じ。

 近くしか見えないわけじゃない。

 ならば当然、水探知にもそれができる。


 もう少し遠くを探知してみよう。

 俺は探知範囲をさらに広げていく。


 いま俺は湯に浸かっている。

 つまりこの湯舟の水全体に触れているも同然!


 鮮明に、はっきりと探知できるはずだ。

 そして探知した。


 衝撃。

 物理的な衝撃ではなく心理的な驚きに、思わず声を漏らす。


「む……!

 ぐはっ!?」

「ど、どうしたんスか店長!」

「た、たいへん!

 血が出ていますよ、ゼンジさん!」


 俺は盛大に鼻血を()き出し、顔面をのけぞらせる。

 そのまま湯舟の縁に後頭部を預け、ぐったりと力を抜く。


 いや、のけぞっている場合じゃない。

 俺は身を起こし、前かがみの構えを取る。


「だ、大丈夫ですか!?」


 慌てて動いたリンが湯を押しのけてざばりと波を立てる。

 その動き、その感触……。


 水圧で柔らかく変形する豊かな(ふく)らみ。

 きめ細かな肌。

 細くくびれたウエスト。

 そういったものが、立体的な質感を持って感じ取れてしまう。


 立体だ。

 上乳(うえちち)と下乳と横乳、そして谷間。

 目でこれを同時に見ることはできない。


 南半球と北半球を同時に観測するようなものだ。

 しかし水はすべてを包みこみ、同時にそれを感じさせる。


 水圧と浮力と温度……。

 視覚情報とはまるで違う情報量が脳に叩きこまれる!

 脳が溶ける!


 リンが慌てた様子で俺の額に手を当てる。

 俺の体温はさぞ熱くなっていることだろう。


「す、すごい熱です!

 のぼせちゃってますよ!?」


 俺はうわ言のようにつぶやく。


「う……。

 大丈夫だ、問題ない。

 いや……新しい世界が広がって……。

 次元の狭間(はざま)垣間(かいま)見えたたけだ」


 む……いかん。

 ふらついて湯に沈みそうになる。


 トウコがあわてて、心配そうな声を出す。


「店長、集中しすぎっス!」


 トウコが水をかき分けて動く。

 若い肌が水を弾いて押し返す。


 俺を支えようと動いてくれているらしい。

 俺はぼんやりとした頭でそう思う。


 頭がゆだってしまっている。

 正常な判断ができない……。


 トウコの体つきは平坦ではない。

 むしろ小柄な体格にしては立派だと言える。

 しっかりと主張する女性的な丸みが存在しているのだ。


「がはっ……!」


 いかん、さらなるダメージが!

 能力を振り絞りすぎて死ぬ寸前の超能力者みたいになってきた!


 鼻血だけでなく目血(めぢ)が出そうだ!


「ちょっと店長、スキルを解除するんスよ!?

 さっきから魔力を使いすぎてるっス!」


 水生成で魔力を使わせたことを心配しているのか?

 まあ、これは魔力枯渇とは違う。


 知恵(ちえ)熱みたいなもの……。

 その上位版の叡智(えいち)熱だ。


 頭に血が登ったり、下がったりしただけ。

 紳士(しんし)としてきわめて健全な反応だと言える。


「そう、だな……解除した。

 ちょっとのぼせたかもしれん。

 少し休むよ……ふう」


 俺はぐったりと湯舟のへりにうつぶせに寄りかかる。

 休まねば……。


 しかし、ヤバいね!

 禁断の術を身につけてしまったぞ!?

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透視よりヤバい能力だった!
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