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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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成長と負傷と……!

<熟練度が一定値に達しました。スキルレベルが上がりました!>

<【受け身】 2→3>


 おおっ!

 ついに【受け身】が育ったぞ!


 俺はあまり被弾しないから、育ちにくいスキルなんだ。

 こういう防御系のスキルは、いざというときに助けてくれる。

 持っててよかった【受け身】さん。



 リンが小走りに戻ってくる。


 ん?

 少し服が(すす)けているな。


 派手に魔法を使ったからだろう。

 かなりの数のゴブリンを引きつけて、倒してくれた。


 さすがリン。

 安心して任せられる。


 だけど、離れていると心配にもなる。

 火加減を誤って、火傷したりしてないだろうな。


「リン。ケガはないか?」

「私は大丈夫です。

 それよりっ!

 ゼンジさんのお怪我はどうですか!?」


 リンは目を潤ませて心配そうな表情を浮かべている。


 俺は自分の胸元をさする。

 棍棒のように振り回された女性の体と接触したのだ。


 戦闘の興奮が冷めてきたので鈍く痛んでいる。

 打ち身程度。

 しかし大したことはないだろう。


 これくらいの傷は、まれに受けている。


「ちょっと痛むが、骨は折れていないし大丈夫だろう」

「ちゃんと治療したほうが……」


 その言葉で大切なことを思い出した。


「ああ、そうだった。

 治療しなきゃな!

 分身、戻れ!」


 あえて命令を口に出し、分身を呼び戻す。

 部屋の隅に避難していた分身が全裸の女性を抱えてやってくる。


 そして慎重に床に敷かれた毛皮の上に女性を横たえる。


 俺は軽く肩に触れながら声をかける。


「大丈夫ですか?

 痛むところはありますか?」


 女性はぐったりしているものの、まだ息がある。

 全身傷だらけで、顔は()れあがって酷い有様(ありさま)だ。


「……」


 しかし女性は口を開かない。

 目はぼんやりと天井に向けられている。

 視線は定まらず、生気がない。


「意識が朦朧(もうろう)としているのか。

 聞こえたら返事を!」


「……」


 やはり返答はない。


 ううむ。

 これはかなりの重症と言える。


 治療が必要なのは俺よりも彼女だ。



 俺は念のため他にケガ人がいないか確認する。


「他の皆はどうだ?

 ひどいケガをしていないか?

 トウコはどうだ?」


「あたしは平気っス!」

「つ、妻の足が切れていて……!

 血が……!」


 男が妻の足を指し示す。

 足が傷だらけだ。

 彼女が意外にしっかりした声で言う。


「ここまで引きずられて……。

 でも、私は大丈夫ですから……」


 靴は履いていない。

 脱げてしまったんだろう。


 擦り傷。裂傷。

 他の部分にもいくつかのアザが見て取れる。


 ゴブリンに連れ込まれたときについたケガらしい。

 ずいぶん雑に運ばれたようだな。


 とりあえず、命に差し障るようなケガではないだろう。


「トウコ。彼女の応急処置を頼む!」


 トウコが軽い調子で敬礼する。


「りょっ!

 スーパードクタートウコちゃん出動っス!」


 せいぜいナースだと思うが。

 今回は【応急処置】が大活躍しているな。



 さてと。

 俺は収納からポーション手拭いを取り出そうと意識を集中する。

 そのとき、リンが俺をじっと見ていることに気づいた。


 表情がない。

 ん……?


「リン。どうした?」

「……いえ。

 ちょっと考え事をしていました」


 リンに表情が戻る。


 ふむ……。

 なんだったんだ?


「なにか気づいたことがあるなら、あとで教えてくれ。

 今は治療が先だ」

「はい。そうですね」


 リンが笑顔でうなずく。

 それはいつも通りの笑顔に見えた。


 俺は収納に意識を戻す。

 女性を救わねば!

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