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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ゴブリンの巣窟! その2

 俺たちはゴブリンの巣窟(そうくつ)を急ぎ足で進む。

 少しして、道幅が狭い場所に突き当たった。


「む、道が狭いな」

「よければ、私が先に行きましょうか?」


 リンが偵察しながら進むのも悪くない。

 だが俺は首を横に振る。


「いや、俺が先に行く。

 狭い場所で火魔法は危ないからな」

「あ、空気がなくなっちゃうからですね」


 酸素が減るとか、有毒なガスが増えるとか、そういう心配だ。


 トウコが不思議そうに言う。


「うぇ? いつもと同じじゃないっスか?」

「いや、ここは天井が低いんだよ。

 つまり空気が少ない。

 ともかく、俺が先に行く!

 合図をしたら来てくれ」


「はーい」

「リョーカイっス」

「わ、わかりました」


 三人の返事を聞き、俺は通路に入る。


 狭いな……。

 なんとか歩いて通れる程度の道幅。

 頭のすぐ上が天井で、気をつけないと頭をぶつけてしまう。


 天井や壁は俺の友達と言える。

 でも今回は距離感がちょっと近すぎる。

 友達だって、一定の距離は必要だ。


 うねうねと蛇行していて先が見えない。


 うーむ。

 これだけ狭いと、刀を振るのは難しいな。


 刀を収納しておこう。

 かわりに腰からナタを抜く。

 これならなんとか使えるだろう。


「店長、どーっスか?」

「もうちょい待て!」


 こんな場所で攻撃を受ければ、身をかわすのは難しい。


 通る前に通路を火攻めしたり、水で洗い流す手も見送る。

 モンスターしかいないならいいが、今回は連れ去られた人間がいるかもしれない。


 しばらく進むと狭い通路は終わり、広い場所に出た。


「……妙に暗い部屋だな」


 ヒカリゴケが少ないのか?


 とはいえ完全な闇ではない。

 【暗視】を鍛えた俺にはぼんやりと部屋の様子が見えている。


 視界の端でなにかが動く。

 すると俺の前を進んでいた分身が倒れた。


 待ち伏せか!?


 さらに、側面で風を切る音。

 背筋にびりびりと危険を知らせる感覚が走る。


 とっさに、背後へ跳ぶ。

 手斧が目の前を通り過ぎていく。


「アギャッ!」


 攻撃を空ぶらせ、バランスを崩したゴブリンがスキを晒している。


「ファストスラッシュ!」


 ナタの一撃を側頭部に撃ち込む。

 鋭さで斬るのではなく、叩き斬る一撃。

 ゴブリンが横に倒れ込む。


 暗闇から二匹目のゴブリンが躍り出てくる。

 手には短い槍。

 それを突き出してくる。


「ふっ!」


 俺は短く息を吐き、その攻撃を避ける。

 避けながら距離を詰める。


「インパクトストライク!」

「アガッ……」


 頭部へ一撃。

 ゴブリンが膝から崩れ落ち、そのまま塵となる。


「むっ!?」


 危険を感じて、大きく横に体をずらす。

 ぶん、と風音をたて、すぐ横をなにかが通り過ぎる。


 背後で硬質な衝突音。

 なにかが壁にぶつかった音だ。


 火花が散り、一瞬洞窟内が照らされる。


 いた!

 ゴブリンだ!


 なにかを投げたような姿勢で隙を晒している。


 暗闇が戻る。

 ゴブリンの姿が闇に沈む。


 さすがの【暗視】でも、距離があると見通せない。

 だが位置はわかった!


「うりゃあっ!」


 記憶を頼りにナタを投擲。

 暗闇の中、耳をすます。

 鉈が回転しながら飛んでいく音……。

 そして――


「――ギャッ!」


 よし!

 命中した!


 もう部屋に敵の気配はない。

 念のため二体の判断分身を出し、条件を与えておく。


 ――壁沿いに移動すること。

 ――ゴブリンへ攻撃すること。


 これで簡易的な索敵ができる。

 万一、人間がいても誤って攻撃することはない。


「ゼンジさんっ!

 大丈夫ですかー?」

「ああ! 敵がいたが倒した!

 来ても大丈夫だ!」


 合流するまでの間、俺はぼんやりと考える。


 こう暗いと【暗視】でも限界があるな。


 もしかしたら、ゴブリンは待ち伏せをするためにヒカリゴケをはがしたのか?

 いや、ゴブリンにそんな知恵があるか?


 しかし、ゴブリンにしては強めだった。

 ……あり得るかもな。


 俺のダンジョンなら十階層前後の職業ゴブリンくらいか。

 だが今のところ、盾持ちや呪術師は見かけない。



 暗い場所を想定して火付け道具や松明を持ち込めばよかったか。

 収納の枠のやりくりが難しいところだ。


 収納に入れないにしても、松明なんて持ち歩けない。


 ケミカルライトでも用意すればよかった。

 これはアイドルのライブなどで使われる、光る棒だ。

 これならちょうどいい。

 化学反応による発光だから、ダンジョンでも使える。


「お? 分身の姿が見えなくなったな」


 通路を見つけて、そこに入ったようだ。

 先行させすぎても困るので、操作して動きを止めておく。


「お待たせしましたー!

 大丈夫でしたか!?」

「ああ」


 リンたちが追い付いてきた。

 明るくなって、通路も見えるようになった。


 これで進めるぞ!

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