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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ゴブリンのす、巣窟!

 意識がとぎれ、つながる感覚。

 暗転した視界が戻ったとき、俺は岩に囲まれた場所に立っていた。

 ダンジョンだ。


 暗い。

 だが、すぐに目は慣れてくる。


 最低限の光源はあるようだ。

 岩壁に発光するコケが生えている。


 俺のダンジョンに似ているな。

 やはりゴブリンはこういった場所を好むのだろうか。



 すぐ近くで男が驚きの声をあげる。


「な、ここは……洞窟!?」


 思えば俺も最初はこんなリアクションをしていたな。


「ダンジョンの中だ。

 落ち着いて、離れずについてきてくれ」


 俺は収納から盾トンファーを取り出してリンに手渡しながら言う。

 男が驚いているが、いちいち説明してはいられない。


「リン、明かりを頼む」

「はーい。ファイアボール!」


 リンの前に小さな炎の球が浮かび上がる。

 狐火のようにふわふわと滞空している。


 火の球だからセーフ!

 いまさらツッコむまい。


 今日はリアクションしてくれるお客さんがいると思えばいい。

 案の定、男は空中に現れた炎に目を丸くしている。


「火!?

 ま、魔法……!?」

「さすがリン姉っス。

 ファイアボールじゃない定期(てーき)っ!」


 リンは二人をスルーして前方を指差す。


「あ! 敵さんが来ましたよー!」

「んじゃ、あたしが片付けるっス!

 うらうらっ!」


 洞窟の奥からゴブリンが姿を見せる。

 それと同時にトウコの銃が火を噴いた。

 洞窟に銃声が響き渡る。


 男が耳を押さえて身をすくめる。


「や、やっぱり銃ですよね!?

 どうして銃が……。

 ここは日本ですよ!?」


 トウコがあきれ顔で言う。


「いまさらソコっスか?

 これは合法(ごーほー)な銃っス!

 それにここはダンジョンだからオッケーっス!」


 スキルで生み出した銃に合法も違法もない。

 ダンジョンで法律など通じない。


「合法な銃って……」

「細かいことはいいんスよ!

 文句があるならゴーホームっス!」


 そんな会話を続けながら洞窟を進んでいく。


 先頭は分身。続いて俺。

 トウコ、男、リンの順で進む。


 分身を先頭に立てているのは、罠を警戒してのことだ。

 棒やローラーは持ち込んでいない。

 これは最低限の配慮である。


 たびたびゴブリンが襲ってくる。

 散発的で、まとまった数ではない。

 たいていはトウコが撃退してしまう。


 俺はあまり前に出ず、背後の男を守ることを優先している。



 この先で、道が分かれている。

 男が言う。


「て、手分けして探しませんか?」

「駄目だ。遭難の心配がある」


「でも……」


 男が食い下がろうとする。

 トウコが頭の後ろで手を組んで半眼で言う。


「オッサンがいなければ平気なんスけどねー」

「トウコちゃん……」


 本当のことを言ってはいけない。

 男はうぐっと言葉を詰まらせて、わなわなと震えている。


 あまり追いつめてやるな。


「一人で行く、なんて言うなよ?

 実際、かなり危険なんだ」


 ゴブリンだから大丈夫、などと考えてはいけない。


 奴らの攻撃など、当たらなければどうということはない。

 しかし当たれば大ケガだ。

 最悪は死ぬ。


 人一人守るとなると、難易度がまるで違う。



 俺は断固たる口調で続ける。


「安全第一だ。

 救助に来た俺たちが遭難するわけにはいかない。

 わかってくれ」

「そ、そうですか。わかりました……」


 男はしょんぼりと肩を落とす。

 はやる気持ちはわかる。


「少し急ぐぞ。

 きつかったら言ってくれ」

「は、はい。

 ……ありがとうございます」


 気遣いが伝わっただろうか。

 男はなんとか礼を返してくれた。


 俺は安全に進める限界まで足を速めた。

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