宝箱が置かれる意味とは?
スナバさんが俺を見る。
「俺は理由より、どう動くべきかを考える。
敵がいれば倒す。
宝箱の中身が必要なら開ける。
それだけだ」
シンプルな行動理由だ。
迷いなどないのだろう。
「俺は理由を考えて、そのあと対策を考えますね」
「理由と対策か。
悪くない考え方だ。
せっかくだから教えてくれ。
クロウ。
なぜ宝箱なんてものがあるんだ?」
「宝をしまうため。
あるいは与えるため。
つまり、俺たちにとっては報酬ですね」
「誰がなんのために、報酬を支払う?
なにか得があるのか?」
「得……?
ダンジョンが報酬を配置して、なんのメリットがあるか……ですか?」
「そうだ。
俺のダンジョンに宝箱はない。
悪性ダンジョンでも見かけない。
ならばなぜ、ここにはある?」
なぜ宝箱がある?
なぜ俺のダンジョンにはある?
俺は首をかしげる。
それはあまり考えなかったな。
「ふーむ?
リンのダンジョンにも宝箱はあるしなぁ……」
「私のダンジョンでは敵さんを倒すともらえますねー」
「あたしのダンジョンに宝箱はないっス!
かわりにタンスとかに物資が入ってるっス!」
ダンジョンごとにルールが違う。
それはなぜだ?
俺は考えをまとめながら言う。
「なぜダンジョンに報酬があるのか……。
宝箱という報酬で気を引いて、攻略させるためか?」
スナバさんが言う。
「攻略させることでダンジョンに、なんの利がある?」
ダンジョン側のメリット?
そんなものがあるとして……。
「俺たちが報酬につられて奥深く潜るから、ですかね」
「クロウはダンジョンが奥へ進ませようとしている、と考えるんだな」
「まあ、そうなります……かね?
いや、俺にもよくわかりません」
答えてはみたが、ぜんぜん確信はない。
答えを確かめるすべもない。
「あたしのダンジョンは、奥に進ませたいとか考えてなさそーっス」
冷蔵庫ダンジョンには潜るメリットが薄い。
ご褒美がないからだ。
奥に進む意味がない。
むしろ、脱出できることが報酬と言える。
リンが考え込む。
「私のダンジョンは……どうなんでしょう」
「モンスターを倒すとおいしい肉が手に入るっス!」
「それも報酬だと言えるな
ダンジョンが報酬を支払う意味……。
うーむ。わからん」
スナバさんが言う。
「ダンジョンの目的が侵入者を殺すことなら、宝箱に罠をしかけるはずだ」
「たしかに。
でも今のところ、罠はありませんね」
鍵はあるけど。
「いろいろと疑問はある。
だが俺は考えない。
どう敵を倒すかを考えるだけだ」
「そうですね。
迷っても仕方がないことはわかりました。
それでも俺はいろいろ気になりますけどね」
「気にするなと言うつもりはない。
好きにすればいいだろう」
それは言われるまでもない。
気になることは気になる。
考えても答えが出ないことは多いだろう。
考えてみてもやることは変わらない。
「そうですね。
気にしながら、迷わず進むことにします」
リンが通路の角を指差す。
「敵さんが来ますよー」
「んじゃ、あたしがもらうっス!」
トウコが発砲する。
俺は気持ちを切り替え、迷いなく戦闘に突入した。
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