錆び、という属性?
リンは新防具よりも、忍具装備のほうがいいと言う。
「そう言ってくれると作りがいがあるな。
この鎧を材料に忍具を作ってもいいけど……錆びがどうにも消せないんだよな」
「不思議ですねー」
錆びた剣を元に棒手裏剣やロックピック道具を作ると、錆びた状態になる。
棒手裏剣なら、錆びていても威力に違いはない。
多少落ちるかもしれないが、体感わからない程度。
とはいえ、見た目が気になる。
メインの装備には到底採用できない。
防具の場合は、錆びてはいても金属製だ。
皮やクモ糸の装備よりは強固な防御力を持つ。
しかし重い。
「合鍵はわざとサビさせたんじゃないっスか?」
「ああ。『錆びた鍵』の合鍵だからな。
別に見た目を寄せる必要はなかったけど、やればできる」
これは鉄を酸化鉄に変えるイメージだ。
現実素材を元にした場合、こういうことができる。
素材や使う魔石の量で、ある程度まで質感を変えられる。
しかし、現実素材にはこうした個性がない。
炭素をダイヤモンドにするとか、そんなイメージは通用しない。
さすがに忍具作成君の限界を超える。
スキルの力を超える願いはかなえられん……!
と言われてしまいそうだ。
つまり俺のスキルレベルが足りないのだ。
【中級忍具作成】をもっと育てれば【上級忍具作成】も取れるはずだ。
伝説の忍具職人になるには、まだまだ修行が必要だ。
道のりは遠い。
共に歩もうではないか。
匠への道を!
リンが話を続ける。
「錆びを取ることはできなかったんですよね?」
「そうだ。
錆びた剣をもとにいろいろ作ってみた。
そうすると、どうしても錆びてしまうんだよ」
錆びた剣や鎧を材料にすると、作ったアイテムも錆びてしまう。
さながら素材が持つ『錆びた』という個性が継承されるかのように。
ボスの『頑丈な』『錆びた』『剣』を元に刀を作れば、『頑丈な』『錆びた』『刀』になるのだろう。
だからこの素材は刀のアップグレードには使わない。
錆びたら困るからな。
結果として頑丈になったとしても、愛刀を錆び付かせるわけにはいかん。
武士の魂であるぞ。
まあ、忍者刀だけど。
現実素材にはこうした個性がない。
ただの物理的な品物だからだ。
俺のダンジョンで手に入る鉄鉱石にも個性はない。
なんにでも加工できるということだ。
これは長所と言える。
まあ『錆びた』という属性がマイナス要素だってだけだ。
リヒトさんたちは、この装備でダンジョン攻略をしているそうだ。
俺のダンジョン産の素材で、クラフト系スキルを持つ人が喜んでいるらしい。
『骨』と『錆び』じゃ、クラフトの幅も狭くなる。
『コウモリ』や『クモ』は案外、悪くないかもしれないな。
比べてみると自分のダンジョンの良さが分かるね!




