リヒトさんとの近況報告!
リヒトさんとのやりとりは今も続いている。
あちらも、なんとか攻略は進んでいるらしい。
そしてついに、ダンジョンの奥に取り残されていた仲間を救出することができたとのこと!
だが、取り残されていた仲間はかなり疲弊した状態らしい。
さすがに精神的なダメージが大きく、すぐには戦線復帰できないという。
今はリハビリ中だとか。
まあ、そうだよな。
食料すら乏しい状態で、ダンジョンの奥に一人で取り残されるなんて、たまったものじゃない。
いつ助けが来るかわからない。
見捨てられるかもしれない。
そんな気持ちでじっと救助を待つ……。
それが何日も続く。
追い詰められて、単独で安全地帯を出て一か八か脱出を試みたりしてしまいそうだ。
だがそんなことをすれば、敵にやられて状況は悪化するだけだ。
うーん……。
とにかく、無事に助かってよかった。
リヒトさんたちは体制を立て直しているらしい。
先が長いことを見越して、長期的な計画で進めるそうだ。
まずは、人員のチーム分けから行ったようだ。
一つは攻略を進めるグループ。
もう一つは低階層で物資を集めるグループだ。
攻略組が奥へ奥へと進む間に、戦闘に不慣れな収集組が物資を集める。
物資集めの場所は、あちら側に出現した俺のダンジョンを使っている。
クローゼットダンジョンのおかげで食糧事情が改善した、とリヒトさんたちは喜んでいる。
しかし、その言葉に俺は首をひねる。
なんで食糧事情が改善するんだ?
草原ダンジョンならわかる。
どの肉も美味い。植物や水もある。
でも俺のダンジョンの食べ物って……。
ふーむ。
あ、汎用ポイントで食糧を買っているのかな?
俺のダンジョンのショップはレートがいいからな。
そうに違いない。
まさかコウモリ肉とかクモ肉のことじゃない……はずだ。
現実のコウモリ肉はいろいろとヤバいらしいし。
雑菌とか、病原体を媒介するらしい。
でも魔物肉は現実の肉とは違うかな?
寄生虫や病気の心配はいらないだろう。
ダンジョンには菌とか虫とかいないからね。
草原ダンジョンにすら、虫や鳥などの生物はいない。
鳥風のモンスターならいるけど。
あくまでモンスターしかいない。
ちゃんとしたものを食べているといいな。
うーん。
どうにも心配になってしまう。
まあ、当人たちは喜んでいるようだし、触れずにおくか。
追及しなくてもいいことだな。
俺のダンジョンが役に立っているようでうれしいね!
攻略も進んでいるそうだ。
もう十階層は越えたという。
俺のダンジョンはさほど広くない。
もっと深い階層を探索していたリヒトさんなら攻略できるだろう。
しかし、俺のダンジョンは復活なしだ。
復活を前提とした探索をしてきたリヒトさんたちは、少しやりにくさを感じているらしい。
ボスや罠などの情報は事前に伝えてある。
リヒトさんたちは俺のように情報を縛って攻略する余裕はないらしい。
自分たちの進退がかかっているから必死なのだ。
俺は趣味でダンジョンを攻略している。
その違いだ。
義務でダンジョンに潜っても楽しくないからね。
協力はするけど、楽しくやろうって方針だ。
これはリヒトさんにも言葉を選んで伝えてある。
もちろん、文句も出ていない。
急ぐ理由ができたら必要な情報を聞いて先を急げばいい。
今はまだ、急ぐ理由はない。
でも、向こうは十階層か。
こっちも負けていられないな!




