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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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怒りを友としろ!

 というわけで、俺たちは冷蔵庫ダンジョンに向かった。

 お目当ては料理人ボスだ。


 恐怖の咆哮を【憤怒】で無効化できるか?

 それを試したのだ。


 結果は成功。

 予想通りだった!


 咆哮を受けても【憤怒】を発動すれば怒りマックス状態になる。

 これでビビって動けなくなることはない。


 精神に作用する効果を怒りで上書きできたのだ。

 つまり精神系のデバフを無視できる。

 やはり使い方次第だ!


 逆に【憤怒】状態で咆哮を受けても怒りが維持される。

 トウコ曰く、ビビらせやがってチクショウ! みたいな感じで怒りが勝るらしい。



 料理人ボスと連戦して、敵意集中状態のメリットを充分に確認した。

 これはなかなか便利そうだな!


 くり返し練習することで、トウコは【憤怒】に慣れていった。

 すでに戦いに組み込んで利用できるようになっている。


 俺とリンは、それに合わせて動く。

 連携も様になってきた。



 こうして練習を続けていると――


「おーっ!

 【憤怒】のスキレベ(スキルレベル)が熟練度で上がったっス!」


 いろいろ試したからな。

 それだけ成長も早くなったのだろう。


 トウコは無邪気に喜んでいる。


 しかし、懸念が俺の頭をちらつく。


 あれ……?

 これ、大丈夫なのか?

 このスキルって育ててもいいのか?


「へえ……。

 変異系のスキルも熟練度で上昇するのか。

 でも、それより先に精神耐性を身につけてほしかったな」

「精神耐性は出てこないっスねぇ」


 止める手立てがないのに、パワーアップしてしまった。

 ブレーキがないのに加速するようなものだ。


 リンがパチパチと手を叩く。


「トウコちゃん。おめでとうー!

 ……あれっ!?」


 リンが驚いたように口元を押さえる。

 そしてトウコを訝しげに見つめる。


 リンが見つめているのはトウコの頭あたりだ。


「うぇっ!?

 骨でもついてるっスか?」


 トウコが自分の頭を、ぱっと手で払う。


 返り血ならぬ返り骨が降りかかったかと心配したようだ。

 だが違う。

 骨片も塵になって消えるからな。


「なにもついていないぞ……」


 しかし……ふーむ。

 なにか違和感があるな。


 トウコの様子が、いつもとどこか違う。


 ここで、俺も気づいた。

 おかしいのはトウコの髪色だ!



 リンがじれたように言う。


「そ、そうじゃなくて髪だよー!

 髪の毛がおかしいのーっ!」


 トウコが髪に手をやり、愕然(がくぜん)とした様子で目を見開く。


「髪の毛が――あるっス!」


 今、そういうボケはいらないんだよ!


「色だよ、色!

 トウコ! 髪が白くなってるぞ!」


 もともとトウコの髪は一房(ひとふさ)だけ白くなっていた。

 これは冷蔵庫ダンジョン攻略後からだ。


 今、それとは別の髪束が変化している。

 根元から毛先に向かって、みるみるうちに白く染まっていく。


「どこっスか?」

「トウコちゃん、ここだよー!」


 リンがトウコに変色した場所を教える。

 トウコは髪束を手に取ってじっと見る。

 そして楽し気に言う。

 

「おおーっ!

 かっけえっス!

 次はスーパーな感じで髪が逆立ったりしてーっ!」


 怒りで覚醒する戦闘民族のことかーっ!


「喜んでる場合か!

 どこか、体に変化はないか?」


 トウコが自分の体をささっと調べる。


「あっ! 胸が……あるっ!

 前より大きくなったっス!」

「変わってねえよ! いつも通りだ!」


 トウコがニヤニヤ笑いを浮かべる。


「さすが店長! 即答っスね!」

「茶化している場合か!

 お前の体質の話だぞ。

 ツノやキバが生えたら困るだろ!?」


 【憤怒】は【変異】の【鬼】の力なのだ。

 普通のスキルとは違う。

 髪の毛が変化したくらいならいいけど……。


「ツノは邪魔そうっスねー。

 でもキバなら便利そうっス」


 しかしトウコはぜんぜん気にしていない。

 気にならないのか?


 俺はリンと顔を見合わせる。


「トウコちゃんの体、大丈夫なんでしょうか?」

「前のときも体に害はなかったけど……」


「髪の毛くらい平気っスよー」

「トウコ。ちょっと動くなよ」


「うぇっ?」


 俺はトウコの髪に手を差し入れ、頭をまさぐった。

 ツノやコブは見当たらない。


「……とりあえず、ツノはなさそうだな」

「へへ。くすぐったいっフ!?」

「頭は大丈夫そうだ。口の中も見せてみろ」


 俺はトウコの口に指を突っ込む。

 口を大きく開けさせて中を確認。

 どれどれ。


「うん。キバも生えてないな」


 ついでに頬をびろーんと引っ張る。

 おお、やわらかい。

 むにむに。


「あにふんすかー」

「チェックだよ。あとは……」


 俺はトウコの頬から手を放し、体に目を走らせる。


 ふむ。

 これ以上調べるのは難しいか。

 全身をまさぐるか、服を脱がせないといけない。


 ……でも早いうちに確認しておいたほうがいいんじゃないか?


 安全第一のためにはしょうがないのだ。

 そう、不可抗力……。


 じゃなくて!

 抗え! 忍べ俺!



 リンがすっと前に出て言う。


「トウコちゃん。

 体はあとで調べようねー」


 おお、ナイスブロック!


 危ないところだった。

 煩悩は顔に出ていないはず!


 リンはほほ笑んでいる。

 大丈夫だろう。

 大丈夫だよな?


 トウコがバンザイの体勢で言う。


「じゃあ、あたしはリン姉の体をチェックするっス!」

「う、うん……。私は大丈夫だけど……」


 リンがちらちらっと俺のほうを見る。


 なんだこれ。

 お誘いか!?


 リンも【嫉妬】で体に変化が……?

 それならチェックしなければならないな!

 そうなると俺の体も【煩悩】で変化してしまいそうだぞ!?


 おっと!

 冷静になれ!

 真面目な話に戻そう!


「しかしトウコはもっと考えたほうがいいぞ。

 危機感ゼロの平常運転じゃねーか。

 もっと自分の体を大事にしろよ!」


 そう言うと、トウコがヘラヘラした態度をやめる。

 そしてやや真面目な顔で言う。


「だって、くよくよしたってしょーがないっス。

 それなら、楽しんだもん勝ちっスよ!」


 なにも考えていないわけじゃないらしい。


「うーん。ま、一理あるな」


 前向きに捉えているなら良しとするか!

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