表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1156/1502

怒りは敵と思え!

 トウコは【憤怒】を使いこなす練習を続けた。

 初めのうちは【狂化】が暴発することもあったが、しばらくするとだんだんコツがつかめてきたようだ。


 今では安定して【憤怒】を単品で使えるようになった。

 【憤怒】だけなら、意識や理性が飛ぶことはない。


 攻撃的な気分になるものの、味方を攻撃したりしない。

 筋力強化の効果は強力だ。


 トウコの職業は銃使い(シューター)だけど、ちゃんと恩恵がある。

 銃の反動を抑えやすくなり、足も少し早くなる。

 地面を蹴る力が強くなるから、移動速度も上がるのだ。


 前線へ突っ込んでマグナムやショットガンをぶっ放すスタイルだ。

 トウコの(しょう)に合うらしく、生き生きと戦っている。

 だが、被弾が増えるという欠点もある。

 状況に応じて考えて使わないとな。


 被弾がなくても、パワーの代償で体に負荷がかかる。

 筋肉痛になってしまうことも欠点だな。

 だがこれはポーションや薬草で治るから、大した問題はないといえる。


 問題なのは副次的な効果だ。

 対象一体を破壊するまでという説明部分、これが侮れない。


 この効果は、攻撃対象(ターゲット)を固定する。

 攻撃対象(ターゲット)一体だけに敵意(ヘイト)を向け続けるのだ。


 初めて【憤怒】が発動したとき、トウコはスケルトンには見向きもせず俺ばかり攻撃してきた。

 あのときの()()()()は俺だったわけだ。


 対象以外に対しても、攻撃されれば反応する。

 そうでなければ攻撃対象の敵だけを狙い続ける。


 この効果は意識しても制御できない。


 俺やリンが話しかけても返事がおろそかになる。

 話を聞かないのはいつものことだが、ずっと顕著(けんちょ)になる。


 これには頭を悩まされた。

 指示が通らないと、うまく連携できない。

 かなり困ったことになる。

 戦闘に夢中になって、逃げられなくなるのも大きなデメリットだ。


 かといって、引っ張ったり、立ちふさがったりするのは危険だ。

 邪魔をすると攻撃的な反応を見せるのだ。

 もっとも、なんとかトウコは踏みとどまった。

 さすがに俺たちを撃つまではいかない。


 理性や意識がなくなるわけではなく、ある程度は自発的な行動がとれる。

 でも制御は完全じゃない。

 危ないから邪魔をするのはやめておこう。


 この敵意集中状態は、状況によっては大きなスキを生む。

 たとえば複数の敵がいる場合だ。

 他の敵に注意が払えなくなってしまう。


 とにかく目の前の敵を倒したくなるらしい。

 トウコはいろいろと試していたが、これはどうにもならなかった。


 一度対象を決めたら、キャンセルはできない。

 目の前に人参をぶら下げられた馬みたいに猛進していくばかり。


 怒りの感情はスキルによって強制的に持続する。

 小さな怒りを発火させると、一気に燃え上がって消せなくなるのだ。


 狙った対象を倒せば、この怒りはすぐに収まる。

 テンションの上げ下げが激しくて疲れそうだな。


 俺やリンが敵を横取りして倒しても、ちゃんと効果が切れる。


 敵が逃げるケースはこれまでにない。

 たぶん、どこまでも追いかけていくんじゃなかろうか。


 持続時間は調べていない。

 敵がすぐ倒されてしまうからだ。


 俺が対象になって逃げれば試せるが、それはもう懲りた。

 トウコも試さなくていいと言う。

 俺やリンに対して【憤怒】を向けるのはイヤらしい。


 実際、最初のとき以降は、俺やリンを対象にしていない。

 使い方がわかったから対象に選ばないようにしているそうだ。


 このスキルを長く発動し続ける意味もないし、持続時間は気にしないことにする。

 安全地帯に逃げ込んだときは時間経過で解除されたようだし、無制限ではないはずだ。



「これで敵を倒すとスカッとするっス!

 脳汁どばーっ! クセになりそーっス!」


 脳内麻薬ドバドバ状態か。

 戦いの興奮はわからんでもないが……。


「ほどほどにしておけよ。

 しかし、この攻撃対象(ターゲット)を固定する効果は面白いな」

「私の【ポージング】も効きませんでしたねー」


「そうそう。

 注意を引く効果を無視できるなら、使い方次第では役に立つかもしれないぞ!」


 デメリットばかり見ず、いいところもあるはずだ。


「役に……ですか?」

「うまいこと、なにかに使えないかな?

 たとえば、他のスキルを打ち消せるんじゃないか?」


 トウコがぐっとこぶしを握る。


「おーっ! これは激アツっ!

 怒りで敵の能力を打ち破るのは鉄板(てっぱん)っスよね!」

「精神に作用するスキルを【憤怒】で打ち消すんですねー?」

「ああ。そういうことだ」


 さて、さっそく試してみよう!

ご意見ご感想お気軽に! 「いいね」も励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ