笑ってはいけない魔石のお持ち帰り検証!?
口に入れた魔石をダンジョンまで持ち帰れるかを試した。
結果は成功だった。
口の中の魔石は残る。
オカダたちはダンジョンに入れないので挑戦していない。
試す意味がないからな。
挑戦したのはリンとトウコ。
リンが口に入れて草原ダンジョンまで無事に持ち運んだのだ。
ちなみに俺は報告や連絡をするため不参加だった。
「リン、おつかれ。
おかげで口に入れていれば持ち帰れることがわかったよ」
「よかったです!」
「よく我慢できたっスね、リン姉!」
「トウコの邪魔によく耐えたな。
まったく……くだらんことで失敗してちゃ世話ないぞ」
「へへ。つい出来心っス!」
「ふふ。笑いそうになって大変でしたー」
帰りの車中、口に魔石を入れていた二人は喋れずにいた。
しかし、喋れないからといって黙っているトウコではない。
変な顔をしてリンを笑わせようとしたのだ。
笑ってはいけない状況で、そういうことをしないで欲しい。
そして、いろんな顔を作っているうちに口を開けて脱落した。
自爆である。
別に我慢比べじゃないんだぞ。
笑わせてどうする。
なにしてんだか。
「俺は領域を出てすぐに口を開けたけど、やっぱり塵はマズいな」
「そーっスね!」
リンは考えるような表情を浮かべる。
「うーん。味というより、魔力が少しずつもれてくる感じでしたー」
リンには【魔力知覚】がある。
だから、俺とは感じ方が違うのかもな。
「へえ? 噛んでないからかな?」
「アメみたいに、溶けたんスかね?」
「そうかもー」
溶ける?
ふむ。そういうこともあるか。
ダンジョンの中で魔石を放置すると、塵になって消えてしまう。
外に持ち出すと、すぐに塵になってしまう。
口を閉じていても、少しスキマがあるのかもしれない。
完全に密閉されてはいない。
少しずつ塵化していくのかもしれないな。
「ともあれ、口に入れていれば持ち出せることがわかった。
だからって、毎回やるつもりはないから安心してくれ」
「よかったっス!
我慢できないっスよ、あんなの!」
「うん。そうだねー」
トウコはほとんど我慢してなかったけどね!
毎回口に入れて持って帰るつもりはない。
塵の味はひどいものだし、体に悪そうだからだ。
裏道としてこういう方法があるとわかればいい。
本筋は【魔石収納】だ。
次回までにスキルレベルを上げて枠を増やしておこう。
「俺が【魔石収納】に入れた分もちゃんと取り出せたし、ショップにも入った。
これで悪性ダンジョンの魔石を自分のダンジョンで使えるな!」
ケチ臭いようだが、捨てて帰るのはイヤなのだ。
タダ働きみたいな気分になる。
悪性ダンジョンを潰せば公儀隠密から報酬が出る。
けっこうな金額なので、ぜんぜんタダ働きじゃないんだけどさ。
「商品のラインナップはどうでした?」
「ベアラットの爪、牙、肉、毛皮だ」
毛皮だけ高い。
魔石五個で汎用ポイント一になる。
「価値はどうっスか?」
「魔石の価値は一だ。
これはゴブリンやコウモリと同じだな」
「へー? あたしはゴブリンより強いと思ったんスけど」
「一匹だけなら弱いんじゃないか?」
「あー。そうっスね!
行きは楽勝だったっス!」
「巣からたくさん出てきたときは大変だったねー」
数が集まるから強い。
しかしボスは単体でも強かった。
おかげで魔石の価値も高かったのだ。
報酬がいいのは嬉しいが、今回ばかりは収納に収まる程度がよかったな。
まあ、ボスの強さにオカダは大満足で帰りの車中は上機嫌だった。
それで、よしとしよう。
普通の魔石は持ち帰れたんだから目的は果たしている。
「さて、トウコ。
俺は【悪食】が気になっているんだが……」
「それより、まずはおいしいものが食べたいっス!」
「じゃあ、ご飯を用意するねー」
というわけで草原ダンジョンで食事と検証の時間だ!
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