リアル・ダンジョン第六階層! 偵察!
二人の遠距離攻撃で、やすやすとくだり階段を突破した。
スケルトンに発見されるより先に攻撃できてしまう。
ゲームだったらクソゲーだよこれ。
簡単すぎるって意味で。
まあ、ザコ敵を相手に手間取っても仕方がない。
手ごたえを求める相手じゃなかったな。
サクサク進もうじゃないか。
階段を降りきった先は――通路だ。
左右に通路が続いている。
「やっぱり迷路だよなぁ」
トウコがうんざりした顔で言う。
「また迷路っスかぁ……。
味変希望っス」
「ゼンジさんのダンジョンとは違うみたいですねー」
「俺のダンジョンだったら洞窟と迷宮が切り替わるタイミングだよな」
ここはそうではないらしい。
ずっと迷路が続くのか……。
それはちょっと単調だぞ。
「じゃあ、少し様子を見たら帰るぞ」
「りょー」
「はーい」
通路を進む。
出てくるモンスターはもちろんスケルトンだ。
これまでの階層と変わらない人型の骸骨。
ちょっとした違いはある。
それは武装だ。
五階層までのスケルトンは剣しか持っていなかった。
六階層では弓と盾が加わる。
スキルも使ってくるようになった。
「俺のダンジョンの職業ゴブリンチームと似た編成だな」
「斥候さんと呪術師さんがいませんねー」
「魔法がないからゴブリンより弱いっスね!」
「戦いやすくはあるな。弓はちょっと邪魔くさいけど」
「まー、慣れたらなんてことないっス!」
避けたり斬り落としたりして対応できるからな。
お、さっそく通路の角からスケルトンアーチャーが来たぞ。
骸骨が弓を引いて矢を放ってくる。
「ていっ!」
俺は飛んできた矢を斬り払う。
刃に当たった矢が小気味いい音を立てる。
矢切成功!
矢の罠でさんざん練習したおかげだ。
ここで役に立つとは!
「わあ! 練習した甲斐がありましたねー!」
「そういうリンも盾でバッチリ防げているな!」
俺とリンが矢を防いだところで、トウコが銃撃。
スケルトンアーチャーを撃破する。
楽勝だったな。
「さすが達人っスね、店長!
じゃあこの調子で十階層までゴーっス!」
トウコが前方を指さして元気よく歩いていく。
俺はその襟首を捕まえる。
「待て待て!
おだててもダメだ。もう帰るからな!」
「ちぇー」
スケルトンアーチャーの矢は骨でできている。
骨から削りだして先端をとがらせたもの。
軽くてもろいので威力はそれなり。
リンの盾の表面が傷つかない程度だ。
間違って食らっても即死するような威力はない。
矢羽がついていないから精度や飛距離もイマイチだ。
狭い迷路だから飛距離は充分届くけど。
ちなみに矢を回収しても塵になって消えてしまう。
再利用はできない。
「余っている骨素材から矢が作れそうだな」
魔石をショップで骨に引き換える。
骨を【忍具作成】で加工する……。
うーん。
これはちょっと効率が悪い。
「それなら、あたしが倒して銃弾にしたほうが良いっス!」
トウコが【弾薬調達】をオンにして倒せばドロップアイテムは弾丸になる。
矢より銃弾のほうが強いしな。
「やっぱりスケルトンの魔石に使い道はないか」
「スナバんなら矢を使えるかもっスね」
「そうだなあ。今度誘ってみるか」
骨を矢にすればレンジャーのスナバさんが使える。
木の矢でいいとは思うけどね。
なにしろ俺のダンジョンを経由して現実素材ならいくらでも持ち込める。
既製品の矢のほうが質がいい。
「あ、ここ部屋になってるっス!」
「トウコちゃん。もう帰るんだよー?」
「ここだけっス! 先っぽだけ!」
「なんの先っぽだよ!
じゃあ、この部屋で最後な」
俺は中をのぞく。
狭い部屋だ。
敵の姿はない。
「宝箱があるっスよ! ほらほら、見て正解っス!」
「そうだな。じゃあ開けるから部屋の外で警戒を……」
分身を出して宝箱のフタに手をかける。
俺たちは部屋の外に出て罠に備える。
いつもの手順だが……。
宝箱のフタが開かない。
分身が開こうとしてもガタガタと揺れるだけだ。
「あれっ?
ゼンジさん。カギがかかっているみたいですよ?」
「あ、鍵穴があるっス!」
鍵つきの宝箱か!
もちろん鍵など持っていない。
どうやって開けようか……?
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