リアル・ダンジョン第四階層からの五階層!
「お、階段だな」
「やっとっスね!」
「このダンジョンは広すぎますねー」
四階層から五階層へ降りる階段を発見した。
ここまでの道のりは長かった。
難しいわけじゃない。
ただただ長く感じたのだ。
地形の変化に乏しいんだよなあ、リアダンは。
俺のダンジョンだってもうちょい起伏がある。
リアダンは迷路ばかりだ。
代り映えのしない細道をひたすら進むと飽きが来る。
敵も骸骨ばかりだしな。
一人でも倒せる相手だが三人なら楽勝だ。
ときおり宝箱が配置されている。
俺のダンジョンよりたくさん置かれている。
でも中身は渋い。
干し肉、濁った水、薬草、錆びた剣が入っている。
現物の武器が手に入るのは状況によってはありがたいかもしれない。
ダンジョンの奥で武器が壊れたら困るだろう。
まあ、俺の場合は【忍具作成】でいつでも直せるけどね。
螺旋階段を降りていく。
中央が吹き抜けになっている螺旋階段だ。
射線が通るので銃と魔法でスケルトンはあっさり倒せる。
飛び道具が有利すぎる。
階段を降りながら言う。
「なあ、五階のボスは何だと思う?」
「そりゃスケルトンキングっス!」
「まあ定番だが……。リンはどう思う?」
「大きなスケルトンさんでしょうか?」
「あるかもな。
大コウモリだってデカいコウモリだしな。
ただデカいだけじゃないけど」
「デカキングかもしれないっス!」
「まあ、五階のボスならそう苦戦しないで倒せるだろ。
もちろん気は抜くなよ」
「リョーカイっス」
「はーい。気をつけまーす」
階段を降りきり、五階層へ出る。
そこには迷路が続いていた。
あれ?
また迷路か。
「ふむ。すぐにボス部屋があるわけじゃないんだな」
「また迷路っスかー。めんどいっス!」
「あそこ! 安全地帯ですよ!」
リンが指さす先には光の帯に囲まれた部屋があった。
「ちょうどいい。
要らない荷物を置いて休憩しよう」
「はい。お弁当にしましょう!」
リンが収納から弁当を取り出す。
「やたーっ! リン姉のご飯っス!」
ちょうど探索にも飽きてきたところだ。
弁当のふたをあける。
まるで作り立てのようにほかほかと湯気を立てている。
作ってすぐ【食品収納】に入れたのだろう。
いい匂いが食欲をそそる。
「お、うまそうだな。いただきます!」
「いただきーっス!」
「ふふ。どうぞー」
彩り豊かな弁当をつついて雑談をかわす。
いい息抜きになった。
気力充実!
魔力も全回復したぞ!
宝箱から錆びた剣が何本か手に入った。
これを持ち歩くのは重いしかさばる。
ハズレアイテムみたいなものだ。
とはいえ捨てるのはしゃくである。
ここに転がしておこう。
まあ一応ね。
貧乏性だからね。
もったいないの精神である。
トウコがつま先で剣をつつく。
「こんなん要るんスか?」
「要らないけど捨てたわけじゃないからな」
置いただけ。
そう意識しておけばアイテムは消えずに残る。
このあたりのルールは俺のダンジョンと同じだ。
「取っておけばなにかに使えるかもしれませんね」
「薬草や食料も置いておこう」
「では出発しますか?」
「おう。どこかにボス部屋があるはずだ。
まずそれを探すぞ」
「見つけたらボス戦っスね!」
「そうだ。気を抜かずに行くぞ!」
長い迷路を抜けて大扉を発見した。
俺のダンジョンほど大きな扉ではないが、他とは明らかに違う。
ボス部屋の入口だ!




