リアル・ダンジョン第三階層!
分身を前衛に立てて進む。
これまで罠は見つかっていない。
分身の自動攻撃で出合い頭の接敵は対応できる。
距離があればリンとトウコが遠距離から攻撃して倒す。
自律分身は消してクールダウン中だ。
背後は俺が警戒している。
三階層になってスケルトンは二人一組で現れるようになった。
だが、俺たちの前には無力だ。
撃ち抜き、燃やしながら突き進む。
部屋は無視して宝箱は開ける。
宝箱の中身は……。
「またびみょー干し肉っス」
「これまでの収穫は薬草、干し肉、濁った水、錆びた剣……微妙なラインナップだな」
これまでにいくつか、宝箱を見つけている。
どれも中身はショボい。
リンが水を手に取る。
濁っていた水が澄んだきれいな水に変わっていく。
【食材無毒化】の効果だ。
「お水はきれいになりました。
お肉も食べられますが……」
鑑定結果は食材扱い。
食べても害はない。
「でも、おいしくなさそうっス!」
無毒化しても見た目はイマイチ。
食欲はそそらない。
「ムリに食べなくてもいいだろう。
畑の肥料にでもしてくれ」
「そうしまーす」
捨ててもいいが、たいした荷物でもない。
食べ物だし粗末にするのもね。
萎びているけど一応……食べ物だ。
使えるのは薬草くらいか。
微妙なラインナップの品物だ。
宝箱から武器が出るのは悪くない。
でもサビているし、やはり微妙かな。
「あっ! あの部屋、光っていますよー」
「てことは安全地帯っスね!」
「よし、入って休憩しよう」
四畳ほどの狭い部屋だ。
室内は光の帯のおかげでぼんやりと明るい。
リンの持ってきた料理をつまんで休息を取る。
干し肉の端を切り取って食べてみたが、味は……。
うん。まずい。
二度と食べたくないくらいに塩辛いのだ。
「これだけ塩分があると畑の肥料にもならないんじゃないか?」
「大丈夫ですよー。
塵になって消えちゃいますからー」
「そう言われてみればそうか」
「ダンジョンの不思議機能っスね!」
微生物に分解されて肥料になるわけじゃない。
不要なアイテムとしてダンジョンに分解されるのだ。
リンのダンジョンでは魔石や肉を畑にまくと、栄養になる。
木や植物も成長する。
不自然なくらいに自然豊かなダンジョンなのだ。
食べ物は簡単に手に入る。
こことは大違いだ。
リヒトさんたちはこのダンジョンの物資で生活しているはずだ。
干し肉以外にも食べ物はあるのかな?
さすがにこれだけじゃ栄養が偏ってしまう。
これまでのところ、とても暮らしやすい環境じゃない。
ぜんぜん住みたいとは思えない。
ダンジョンは本来、住む場所じゃないけどさ。
俺は部屋の隅に荷物をまとめて置く。
「自律分身の装備一式と、食料をここに置いておこう」
「次に来るときのためっスね」
「やられちゃったときのためもあるんですよね?」
「ああ、そうだ。
一人だけやられて復活した場合は、ここで救助を待つことにしよう。
連絡が取れない状態ではぐれると、入れ違いになるからな。
動かずに待っていてくれ」
「はーい」
「リョーカイっス」
三階層からなら一人でも帰れる。
でも、仲間がやられたら置き去りにはできない。
探そうとする仲間と入れ違いになると困る。
待つ間をしのぐための食料や水が必要だ。
装備を落としたり壊したりする可能性もある。
そのための装備も置いておく。
リンやトウコは武器がなくても問題ないかもしれないが、俺は結構困るからな。
まあ、念のためである。
こういう装備置き場は前から作っていた。
いつも通りの行動だ。
備えあれば憂いなし。
「店長、階段発見っス!」
「次は四階層ですね。進むんですか?」
「いや、今日はここまでにしよう。
思ったより迷路で時間を食った」
「うぇー?
まだいけるっス!」
「帰りながら後回しにした部屋を確認するんだよ。
まだまだやることはあるぞ!」
奥へ進むばかりが攻略じゃない。
まだ折り返し地点だ。
「宝箱もありましたねー」
「どうせ中身はびみょーっスけどね!」
スルーしてきた部屋をチェックしながら折り返すのだ。
ご意見ご感想お気軽に! 「いいね」も励みになります!




