使い捨て分身による自動戦闘!
使い捨ての条件分身を数体、階段へと送り込んだ。
前の分身に追いつかないよう、少し時間を置いて次を出しておく。
先頭の分身がスケルトンに近づいたところだ。
「……クカカ」
しょんぼり待機ポーズだったスケルトンが分身に反応して構える。
分身は無反応で近づいていく。
そして攻撃をしかける。
スケルトンが分身にサビた剣を向ける。
回避を命じていないので、分身は攻撃を避けない。
あえて回避させる操作はしない。
ここは様子見を決め込む。
わざわざそうするのは、自動で敵を倒せるか確認したいからだ。
スケルトンが分身に斬りかかる。
分身は両手を伸ばして突っ込む。
両者が交錯する。
結果は相打ちだ。
分身は斬撃を受け、ダメージで塵になって消える。
しかしスケルトンもぐらついて階段を踏み外す。
一歩踏み外せば足場はない。
スケルトンが螺旋階段の空洞へと落ちていく。
俺の【暗視】でもはっきり見えないモヤの向こうへ消える。
がしゃり、と地面に叩きつけられる音が響いた。
「よし、うまくいったな!」
一体目の分身は倒された。
しかし二体目、三体目の分身が前進を続ける。
スケルトンがいた場所を通過して、どんどん階段を降りていく。
分身たちがモヤの向こうに消える。
同じ調子で、俺からは見えないスケルトンも倒してくれるだろう。
耳を澄ませてしばし待つ。
がしゃり、がしゃり。
骨が床に叩きつけられた音だろう。
なかなか小気味のいい音色だな!
試みがうまくいくと気分がいいね!
もし階段の底までたどり着いたら、分身は足を止めるはずだ。
一階層の階段では降りきったところにも敵がいた。
突き落とせ、という条件では対応できないか。
不発になってしまいそうだな。
階段を降りるという条件も、一番下にたどり着くと意味をなさなくなる。
複雑な条件を付けるのも難しい。
階段を降りろ、近くの敵を攻撃しろの二つで充分だろう。
階段を降りきって足を止めても、敵のほうから近づいてくるはずだ。
新しい条件を与えた分身を三体、階段へ送り込む。
これは持続時間を少し長めにしておこう。
「さて、階段はこれでよし。
しかし、なかなか来ないな。
ちょっと探しに戻るか!」
ただ待っているのももったいない。
せっかくだから目印をつけながら戻ろう。
持ってきた蓄光塗料で階段に印をつける。
来た道を戻りつつ、分岐に塗料で矢印を書いていく。
これは階段の方向を示している。
今更ながら地図も書いておく。
三階層も攻略するつもりなので、不完全でも二階層の地図はあったほうがいい。
帰るときに迷いたくないからな。
思い出せるうちに書かないとね。
当たり前だが、走りながら地図は書けなかった。
道はなんとなく覚えてはいるが、正確には書けない。
なら、現在地を起点にして書いていけばいい。
地図はいつ書き始めたっていいのだ。
断片だってないよりはまし。
拠点に戻れば管理コンソールで正確な地図が見れる。
しかしダンジョン内で見ることはできない。
これは不便だよなぁ……。




