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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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セーブポイントは光の帯で!?

 俺は自律分身たちに問いかける。


「セーブポイントは見つかったか?」

「いや、まだだ」と自律分身。


 リヒトさんとの会話から、この大部屋の近くにあるはずだ。


「じゃ、手分けして探そうか。

 この部屋の近くにあるはずだ。

 見つけたら戻ってきてくれ」

「はーい」


 リンは振り返りながら、自律分身を追って通路へ入っていった。



 俺とトウコは別の通路の探索を始める。

 すぐにセーブポイントは見つかった。


 見ただけですぐにそれとわかった。

 光の帯がオーロラのように揺らめいている。

 部屋全体がその光に覆われている。


「おお、これが安全地帯か……」

「なんかゲームっぽいっス!」


「中に入ると復活地点として登録されるらしい。

 ダンジョンの外じゃなくてここで復活するんだってさ」


「へー。便利っスね」

「だからって、死ぬんじゃないぞ。

 これはただの保険だ。いいな?」


 トウコがからかうように笑う。


「わーかってるっス。

 店長は心配性っスねー」


 俺はマジメな顔で言う。


「そりゃ心配するだろ。

 トウコに死んでもらいたくないんだ」

「へ、へえー。そーっスか……」


 トウコが目をそらして笑いを引っ込める。

 真面目に心配されると弱いのだ。


「んじゃ、安全第一でやるぞ」

「りょ! 安全サクサクで行くっス!」


 わかったんだか、わかってないんだか……。



 俺たちは大部屋に戻ってリンと自律を待った。

 二人を安全地帯に案内する。



「わあ! 綺麗ですねー」


 リンが笑いながら光の中へ飛び込んでいく。


「部屋の中も明るくて、キラキラしていますよー。

 ほら、分身さんも早くきてくださーい!」


 リンが振り返り、両手を広げて自律分身に笑いかける。


 自律分身はぼんやりとリンを見る。


「ああ……いま行く」


 自律分身は間の抜けた表情でリンに近づいていく。


 オーロラの光よりリンのほうが綺麗だ。

 ……なんてことを言おうとして言い損ねたな。


 そんな顔だ。

 俺にはよくわかる。わかるぞ俺。



「さて、じゃあ手分けして階段を探すぞ!

 またあとでな!」

「あっ。はーい!」


 俺はトウコの手を引いてその場を離れた。



 迷路が続く。

 大部屋と安全地帯をのぞくと、ほとんどが通路になっている。


 曲がり角に次ぐ曲がり角。

 十字路や()字路では両側からスケルトンがやってくることもある。

 だが問題ない。


「うらうらっ!」


 トウコが両手の拳銃でそれぞれを打ち倒してしまう。


 うーん。

 やることないね。


 地図を書きながら歩いているだけで敵は銃弾に倒れていく。

 トウコは楽しそうに戦っている。


 俺はさらさらと地図を書くだけでいい。


 外に出れば管理コンソールで地図を確認できる。

 しかし今ここでは地図を見れない。

 自分のダンジョンならステータスウィンドウから地図が見れる。

 管理者権限は赤転送門の中では使えないみたいだ。


 だから地図を書く意味はある。

 迷わずに帰れる程度の最低限でいいけどね。



「階段発見っ! なんかいつもと違うっス!」

「へえ。床に階段があるのか。

 下りの螺旋階段になっているな」


 俺のダンジョンは壁面に階段がある。

 このダンジョンは床にある。

 つまり、階段の位置も迷路のどの場所にあるかわからないんだ。


 地図を書いて行き止まりだと予想できても、調べなきゃいけない。

 ふーむ。

 これは地味に面倒な……。

 いや、手ごたえのある迷宮だな!

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