スケルトンスマッシャー!
赤転送門からリアル・ダンジョンに入る。
今回はトウコと自律分身を加えて四人だ。
これは過剰戦力だな。
正直、一人でも進めるくらいだし。
「せっかくだから、二組に別れて探索するか?」
「んじゃ、今度はあたしと店長のペアリングっス!」
自律分身がすかさず言う。
「じゃあ、リンは俺とだな」
「はい。お願いしまーす」
組み分けに不満は出なかった。
自律分身も俺自身だ。
スキルの有無など違いはあるが、人格は同じ。
一階層なら戦力的に問題はない。
俺たちは分岐で二手に分かれた。
トウコが元気よく言う。
「ここが新しいダンジョンなんスねー。
あんまり変わり映えしないっス!」
「通路が多くて、敵はスケルトンだ。
まあ、迷宮風って意味じゃ違うけどな」
壁の材質や色合いに違いはある。
通路に分岐が多くてマッピングが面倒だ。
「あ、なんかカクカク音がするッス!」
「スケルトンの骨の音だ。
じゃ、トウコ。任せる!」
「うっしゃー!
やったるっスよ!」
散々待たされたトウコがやる気を見せる。
銃を通路の角に向けて構える。
足音が近づいてくる。
「さん、にー、いち。バーン!」
スケルトンが通路から姿を現すと同時、トウコが発砲する。
頭部に弾丸が命中する。
軽快な音をたてて頭蓋骨が砕ける。
かしゃかしゃと音をたて、頭部を失った骨が床に落ちる。
骨の山はすぐに塵に変わった。
「しゃーっ! 余裕っスね! 一発っス!」
「おう。じゃあ戦闘は任せる。
俺は地図を書く。サクサク進もう!」
「まかされたっス!」
トウコは敵の姿を見ると同時に引き金を引く。
相手に剣を構える隙すら与えない。
しかし――
「あっ。外れたっス!」
トウコの狙いは悪くなかった。
ちゃんと胴体を狙っていた。
しかし弾丸が骨のスキマをすり抜けてしまった。
「デカい骨を狙え。頭か腰だ!」
「りょ! うらうらっ!」
トウコが拳銃を二連射する。
弾丸がスケルトンの腰骨を砕く。
「ちぇー。案外当てにくいっスね!
ゾンビなら当たるのにっ!」
崩れ落ちたスケルトンが塵に変わる。
腰骨でも倒せるようだ。
「もっと引きつけて撃ったらどうだ?」
「いやー、ザコ敵相手に狙ってられないっス!」
トウコが弾丸を拾い上げる。
【弾薬調達】も有効だ。
「ま、たおせりゃいいけどな」
「ショットガンを使えばいいっス!」
トウコが拳銃をホルスターに戻す。
取り出したのはショートバレルショットガンだ。
「それなら狙いは雑でいいかもな。
狭い場所では跳弾に気をつけてくれ」
「りょ! さー、行くっスよ!」
迷宮を進む。
出会った先からスケルトンをショットガンで吹き飛ばしていく。
骨片を跳ね散らかし派手に散る。
一発だ。
多少外れても散弾なら問題ない。
脆い骨を打ち砕き、吹き飛ばせる。
「通路ばっかっスね!
狭くて狙いにくいっス!」
「銃だと戦いにくいか?」
「んー。平気っスけど、いつもならもうちょい距離取れるんスよね」
「ま、ショットガンならいいだろ」
近くても遠くても銃は強い。
どうせ一発だ。
通路を進み、広い空間に出る。
手元の地図からして、このあたりは……。
「お、リヒトさんの拠点部屋だな」
「ここは広いっスね!」
別ルートを通ってもここにたどり着くようだ。
「あ、ゼンジさーん!」
「おう、やっぱりつながってたか」と自律分身。
リンと自律分身がこちらに手を振っている。
分岐は多いが、合流できたようだ。




