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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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復活ありダンジョンの意外な落とし穴!?

 リヒトさんにメッセージを送り、返事を受け取った。

 返事をリンと肩を並べて読む。


「ふーむ。安全地帯(セーフゾーン)に入るとそこが復活場所(リスポーン地点)になるのか」

「リヒトさんはセーブポイントって呼んでいるみたいですね」


「だけど、それらしい場所はなかったよな?

 見落としたか?」

「私も気づきませんでしたー」


 だとすると、俺たちはまだ復活できない。

 セーブポイントを見つけていないからだ。


 一階層でやられる可能性は低いけど、危ないな。


「セーブポイントに入ると復活場所として記録される。

 その後で死ぬと、直前のセーブポイントで復活する。

 なるほど……これはマズいな」

「えっ? なにかいけないんですか?」


 リンは不思議そうに首をかしげている。

 ゲームでよくある自動セーブだ。


 しかし……。


「復活するのは前のセーブポイントだ。

 仕切り直しがきかないんだよ」


「あ! わかりました!

 ダンジョンの中で復活しちゃうんですね!」


「そうだ。

 ダンジョンの奥で、詰んだ状況でセーブされたとしたらマズいだろ?」

「はい。

 あ……メッセージにも書いてありますね!」


 リンが管理コンソールを指差す。

 詳細がメッセージの後半に書かれている。


「やっぱりな。

 危険な場所で復活して、そこから移動できなくなったんだ」

「それは困っちゃいますね……」


 リヒトさんはこう書いている。


 ――ボス戦で仲間が一人倒れました。

 ――生き残りでボスを倒し、セーブポイントを更新しました。

 

 ――しかし倒された仲間は前のセーブポイントが記録されたままです。

 ――彼はそこで復活しています。


 ――前のセーブポイントは遠く、合流は絶望的です。


「うわ。これはひどいな!」

「なにかおかしいんですか?」


 おかしいわけじゃない。

 不親切なんだ。


 ゲームなら、ボスに負けてもすぐに再戦できる。

 ボスと戦う前にセーブポイントがあるのが普通だ。


 しかし『リアル・ダンジョン』は違う。

 ゲームじゃないんだからな。


「意地が悪いんだよ。

 ゲームならボス戦の前でセーブできるようになっている。

 これじゃあ、連続してボスに挑むことはできない。

 前のセーブポイントからやり直しだ」


 リンが納得顔でうなずく。

 そのあと、表情を曇らせる。


「ああ、大変です!

 もしも、一人だけやられちゃったら……」


「一人だけ、一つ前のセーブポイントに戻る。

 仲間がいないと突破できない難易度だったら、セーブポイントから出られなくなる」


 パーティ戦を前提とした難易度のダンジョンを一人で進むのは無謀だ。


「それなら、リヒトさんが戻ってあげれば……」

「そうだな。続きを読んでみよう」


 ――戻って救出するという意見も出ました。

 ――僕はその意見を退けました。


 ――正論を並べて意見を通したんです。

 ――戦力が足りない。物資が足りない。余力がない。

 ――勝ち目が薄い。


 ――仲間は納得できないまでも、受け入れてくれました。

 ――仲間を置き去りにするための言い訳です。

 ――僕にも、仲間にもそれはわかっていました。


 ――僕たちはボスを倒しましたが、ギリギリの戦いでした。

 ――主力メンバを欠いたまま、来た道を戻ることは不可能です。

 ――全滅は免れません。


 ――もし僕たちが死んでデスペナルティを受ければ、次の救出がより困難になります。

 ――そうして僕たちは帰還しました。


 ――仲間は……まだダンジョンに取り残されています。

 ――一人で助けを待っています。


 ――僕たちは今、彼を救出する準備を整えています。

 ――これには少し……いえ、かなり時間がかかる見通しです。


 ――もしクロウさんが『リアル・ダンジョン』に挑むなら安全地帯に注意してください。

 ――浅い階層では問題ありませんが、深い階層ではそれ自体が危険な罠になります。



 俺は渋い表情で言う。


「ううむ……。

 たぶん、ボス部屋の先にセーブポイントと帰還モノリスがあったんだな。

 戻る余力がなかったから、セーブポイントを更新して帰ったのか」


 つらい決断だ。

 だが正しい。


 感情に任せて助けに行っても共倒れするだけ。

 そうなれば状況はもっと悪くなる。



 リンが首を振る。


「他に、どうしようもなかったんでしょうか……!」

「引き返しても助けられないと判断したんだろう」


 その場で死ねば前のセーブポイントに戻れたはずだ。

 引き返せないわけじゃない。

 だが、それをすると詰む。


 デスペナルティで弱体化した状態では脱出できないかもしれない。



 リンが辛そうに言う。


「なんだか、ひどいダンジョンですね……」

「ああ。俺たちも気をつけよう」


 彼らの状況はわかった。

 今、こちらにできることはない。



 リンが自分の体を両腕でかき抱く。

 その体は不安そうに震えている。


「もし……。

 もしも、ゼンジさんやトウコちゃんが取り残されちゃったら……。

 一人きりで置いていかれちゃったらと思うと……」


「リン……」


 俺はリンの肩に手を置く。

 そして自信満々に聞こえるように努力して声を出す。


「もちろん置いていったりしない!

 すぐに助けに行くさ!」


 リンがうなずく。

 そして決意のこもった眼を俺に向ける。


「はい……。

 私も、ゼンジさんがやられちゃったら、すぐに助けに行きますから!」


 リンはそうする。

 迷うことなくそうするだろう。


 すべてをかなぐり捨てて俺を助けるために突き進んでくるだろう。

 だけど、それは危険だ。


 そうなれば二重遭難だ。

 ミイラ取りがミイラになってしまう。


「俺はリンを信じていくらでも待てる。

 だから無理はせず、ちゃんと対策を立てて挑むんだ」

「でも……」


「いつも通り、安全第一だ。

 じっくりやろう」

「はい。そうですね!」


 復活は便利だが、状況によっては危険を伴う。

 最初から死なないのが一番だ。


 このダンジョンも安全第一で進む。

 そうすれば、いつも通りだ!

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― 新着の感想 ―
これはキツいですね… セーブポイントから出られない状況でただ1人取り残されたとして…精神的にヤラれそうですし、食料等が無ければ餓死もあるでしょうし…餓死もリスポーン対象ならガリガリLv削れそう…という…
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