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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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防波堤は公儀隠密で!

 助けを求める人を疑う。

 これはちょっと感じが悪い。


 だけど、誰だって家の玄関に鍵くらいかける。

 財布を盗まれないようにしっかり持つ。


 危機管理……とでも言えるだろうか。

 そんなに大げさなものじゃないけど。


 よく知らない人を家に上げたりはしないものだ。

 たくさんの人間となれば、ちょっと考えて当たり前だ。



 ダンジョンが繋がれば、きっと出口も繋がる。

 もちろんまだ推測の段階だ。

 でもたぶん、そうなるよな。


 別世界の住人がクローゼットからこの世界に飛び込んでくる。

 平行世界直通便だ。

 パスポートもビザもない。


 それって大丈夫なのか。

 俺が制御できることなのか?

 これは難しい。


 俺たちはもう、似たことを体験している。

 二つの転送門を使った疑似テレポートだ。


 これだって、使い方によっては危険だ。

 俺はアパートと公儀隠密の拠点の往復にしか使っていない。


 ショッピングセンター事件の暴食はこれを犯罪に使っていた。

 足のつかない逃走経路だ。


 海外に転送門を設置したら無料海外旅行ができる。

 リヒトさんのダンジョンと繋げると言うことは、これの並行世界版になる。


 そりゃ、慎重にならざるを得ないだろう。



 リヒトさんが困っているふりをしていたらどうする?

 それを見抜くのは難しい。


 これまで、リヒトさんと関わって俺が損をしたことはない。

 文通を続けた友人のように親しい雰囲気がある。


 でもそれが演技だったら?

 初めから悪意を持って接触してきたのだとしたら?


 そんなことはないはずだ。

 でも絶対じゃない。


 うーん。

 疑心暗鬼になってしまうな。


 もっとこう、シンプルに助けたいものだ。

 しかし俺はスーパーヒーローではない。

 忍者なのだ。

 というか一市民なのだ。



 俺は御庭の問いに答える。


「もちろん、その危険性は考慮している。

 だけど正直、対策はない。

 俺にはリヒトさんを信じることしかできない。

 彼らを見捨てれば問題は起きないことはわかっている。

 でも、それでも俺は助けたい」


 彼らが善人であると証明する方法はない。

 信じて裏切られた場合はどうにもならない。


 ダンジョン攻略者が何人もいるのだ。

 それを俺が武力で止めるのは無理だろう。

 個人の力ではどうしようもない。



 御庭がうなずく。


「クロウ君ならそう言うと思ったよ。

 だから僕に相談しているんだよね?」


 特異対策課(とくいたいさくか)――公儀隠密(こうぎおんみつ)は非公式ではあるが国の組織である。


 特異対策課にもいろいろある。

 公儀隠密の担当はダンジョンと異能者だ。


 御庭は公儀隠密のリーダーだ。


「ああ。

 独力で対応するのは難しい。

 相手が善人なら、一時的な生活の場が必要になると思う。

 相手が悪人なら、食い止めなきゃならない」


「うん」

「無理な頼みだとはわかっている。

 でも頼む。

 ダンジョンの接続をするとき、公儀隠密の拠点を使わせてほしい」


 俺のダンジョンの入口は移動できる。

 複数の出口があると制御が効かなくなる。

 だから出口を絞る。


 アパートのクローゼットよりも安全だ。

 もしリヒトさんたちが悪人だったとしても、すぐには外に出られない。



 御庭が笑顔を浮かべる。


「もちろん使ってくれて構わない。

 よく相談してくれたね、クロウ君。

 この件はぼくら公儀隠密の管轄だ。

 なにしろ、特異から人々を守るのが僕らの務めだからね!」


「いいのか?

 かなりの面倒をかけることになると思う」


「いいのさ。

 僕が断ってもクロウ君は彼らを助けようとするはずだ。

 それなら最初から協力したほうがいい」


「そうか……助かる」

「それに、リヒト君たちに興味がある。

 あちらの世界についていろいろと聞いてみたい。

 彼らを公儀隠密にスカウトするのもいいね」


「ふむ……仕事と生活の場所が手に入れば彼らも喜ぶかもしれない」

「別に強制はしないよ。

 どちらにしても最低限の保護はする。

 自由に外に出てもらうわけにはいかないしね」


「そうだな。それも彼らに伝えておくよ」


 こちらに来て自由に動き回れると思っているかもしれない。

 そんなにシンプルにはいかないことは先に伝えておかねば。


 ここまではリヒトさんたちが善人だった場合だ。

 俺は表情を引き締めて言う。


「もし彼らが悪人だった場合、拠点が戦場になるかもしれない。

 その場合、相手はかなり手ごわいぞ」


「交渉が通じなければ僕ら公儀隠密が抑える。

 それでもダメなら別の対策を打つよ」


「別の対策?

 他の組織を頼るつもりなのか?」


 キリトがいる特異殲滅課(トクメツ)とか?

 頼んだら来てくれるのかな?


 並行世界のダンジョン保持者だと言ったら喜んで殲滅しにきそう。

 ついでに俺もやられそう。

 怖い。


 御庭が言う。


「別の組織に頼るのはもっと後だね。

 頼るのは身内というか、ご意見番のような人だ。

 気難しいから、動いてくれるかはわからないけどね」


 へえ。

 そういう人がいるのか。


 御庭は微妙な表情を浮かべている。

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