全滅からの反省会(スナバの場合)~ジャングル戦士はスニーキングで!~
「俺は森からはじまった。
普段なら拠点を構え装備を充実させるが、今回は探索を優先して行動した」
「俺たちと合流するために動いてくれたんですね」
「そうだ。当然だろう。
それから、鳥を見つけて倒した」
鳥?
俺はそれらしき姿を見なかった。
ダンジョンに普通の鳥はいないはずだ。
「鳥のモンスターがいるんですか?」
「鳥と呼んでいるだけで、動物ではない。
小柄な恐竜で翼がある。
ニワトリに似ているが大きく、狂暴だ」
鳥に似ている恐竜か。
ニワトリはほとんど飛ばないし、どうなんだろう。
「そいつは飛ぶんですか?」
飛行モンスターは厄介だ。
俺にとっては気になる存在である。
「木の上へ飛び上がるくらいだな。
長い距離を飛ぶのは見たことがない」
となると樹上も安全ではないな。
トウコがスナバさんへ言う。
「トリ恐竜は弱いんスか?」
「弱いが、すぐに逃げる。
素早いから素手で倒すのは難しい。
石を投げたり、囲いに追い込むなどの工夫がいる。
追いつめると反撃してくるから気をつけろ」
「木の上で鉢合わせたら危ないかもしれないですね」
「そうだな。
ともかく、これで羽根が手に入った」
「ハネなんか、なにに使うんスか?」
「矢羽根に使う。
矢が安定して飛ぶようになる。
これがないと飛距離や精度に影響する」
矢じりの逆側についている羽根だ。
ただの飾りではない。
トウコは納得したようにうなずく。
「へー。そうなんスね!」
「葉からも作れるが、羽根のほうが精度がいい」
羽根は軽くて頑丈だしね。
「ということは弓矢を作ったんですか?」
「ああ。
石斧を作り、木を切って弓を作った。
細い枝から矢を作り、羽根をつけて完成だ」
「おおーっ!
なんか、たくさん作ってるっス!」
説明は省いているのだろうが……。
「弓を作るのは時間がかかりますよね。
スキルで作っているんですか?」
「ああ、木や石を加工するスキルを使っている」
「もしかして木材加工ですか?」
「ああ。そうだ。
木材加工と石材加工だ」
「木材加工!? 俺も持ってますよ!」
「ほう。奇遇だな」
こんなスキルがかぶるとは……。
忍者とレンジャーは似ているのかもしれない。
スナバさんが言う。
「最低限の武器と腰巻を作り、泥を塗って先へ進んだ。
探知スキルで探したが、周囲には誰も居なかった」
【探知】か。
最初にシズカちゃんを見つけたときにも使ったと言っていたな。
「人を探すスキルなんですか?」
「モンスターやモノも探せる。
普段はモンスターを避けるために使っている」
「へー。便利っスね!」
「倒しやすいモンスターを狩りながら探索を続けた。
夜、オトナシの花火が見えた。
翌朝、クロウの足跡を発見して追いついたんだ」
「そう言えばあのとき俺は隠密状態だったはずです。
探知スキルで見破ったんですか?」
「そうだ。
しかし探知も万能ではない。
クロウの姿はかなりぼんやりとしか見えなかった。
足跡からだいたいの位置の目星をつけて、やっと見つけたんだ」
「ああ、そういうことですね。
隠密じゃ足跡は消せないからか……」
【隠密】は俺自身を発見されにくくする。
【消臭】や【消音】で俺自身が出す痕跡は隠せる。
しかし足跡は隠せない。
枝を折ったり、草を裏返したりした痕跡が残る。
それを追って発見してくれたんだな。
自分が探すことばかり考えていた。
探されることも考えなきゃ、合流できないんだ。
「さっきクロウが話した部分まできたな」
「では続きは俺から話します。
スナバさんと合流してから――」




