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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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夜を乗り越えよう!

「装備を整えながら皆を探し続けた。

 そのうち空が暗くなって夜が来た――」


 俺は話を続ける。



 探索を続ける。

 リンが戦えば火の手が上がるはず。

 トウコが戦えば銃声がするはず。

 しかし戦闘の痕跡は全く見当たらなかった。


 このダンジョンはどうやら、かなり広い。

 単純に遠いのか、ダンジョンだから音や光の伝わり方が違うのかはわからないが。


 それとも、既にみんなやられてしまったのか?

 いや、そうは考えたくない。


 スナバさんはおそらく静かに行動しているだろう。

 リンには魔法があるから大丈夫。

 トウコはまあ……うん。

 無事だと期待しよう。


 見知らぬ場所で一人だと、どうも心細い。

 心配ばかりしても始まらない。

 今、どうするかを考えよう。



 気分を切り替えるために考えを口に出してみる。


「自律分身は温存しておこう」


 一人より二人。

 自分と相談しながら今後の方針を考えるのもいい。


 しかし自律分身は【隠密】を持たない。

 移動すれば敵に見つかってしまうだろう。


 それなら一人で動くほうがいい。

 今回は隠密が生命線である。


 なら自律分身が死ぬ前提で偵察に出すか?

 いや、それは気が進まない。

 無駄死にになってしまう。


 隠れながらじりじりと進むしかない。

 この状態で人を探すのは難しい。


 合流できるんだろうか?

 別の場所に飛ばされているならまだマシだ。

 トウコのダンジョンのように毎回作られるタイプかもしれない。


 俺と皆はそれぞれ別の一人用ダンジョンにいる可能性もある。

 その場合、仲間を探しても意味がない。

 うーむ。

 初めてのダンジョンだと考えることが多いな。


 スナバさんは情報を持っていなかった。

 複数人で潜るのは初めてだからだ。


 次のためにも、合流して確認しておきたい。



「空が暗くなってきたな……夜が来るのか」


 このダンジョンは時間経過で昼夜が切り替わる。

 今は夕方から夜にかけての時間だ。


 少し肌寒くなってきた。

 昼との寒暖差が大きいのか……。

 もっと服を作っておけばよかったか。


 ぐんぐんと日が沈んでいく。

 まるで早回しのようだ。

 完全に日が落ちて夜となった。


 これから夜が三時間続くのだ。



 樹上に潜み、俺は考える。


 もっと早く火を起こせばよかったか。

 サバイバルで火は重要だ。

 しかし準備する余裕がなかった。

 気が回らなかったんだよね。


 隠れながら火を起こすのは難しい。

 スナバさんは普段どうしているんだろう?


 火はリンかスナバさんに任せる気でいた。

 トウコに弾丸をもらえれば着火剤が作れて簡単にできる。

 合流さえできていれば……ぐぬぬ。


 まあ、言い訳はすまい。

 できること考えてみよう。


 今からでも火を起こすべきか?

 木をこすり合わせる原始的な方法で火を起こすことは可能だろう。


 火起こし器を【忍具作成】で作ってもいい。

 弓の弦を棒に巻き付けて、弓を前後に動かす。

 摩擦で火が付くというアレ。

 弓切り式火起こし器だ。


 簡単そうに見えるけど、たぶん難しいだろう。

 乾いたオガクズのような、火種を移す火口(ほくち)もいる。

 これも残念ながら用意していない。


 キノコが火口(ほくち)に使えると聞いたことがある。


 食材用に確保しておいたキノコがある。

 これを使えないか?


 うーむ。どうだろう。

 うまくいくもんかね?


 キノコを燃やしたことなんてないからわからん。

 特殊な種類のキノコじゃなきゃダメだった気もする。



 俺は小さく頭を振って小声でつぶやく。


「ムリして音を出すこともないか……」


 作業をすると音が出る。

 それでは隠密が解けてしまう。


 火はあきらめる。



 さいわい俺には【暗視】がある。

 月が出ているおかげで、真っ暗ではない。


 これなら行動に支障はない。

 いつも助かるぜ暗視さん!


 夜闇に紛れて移動するのもいい。

 【隠密】も活きる。


 だがやめておこう。

 今日は様子を見てくのだ。


 夜になると狂暴なモンスターが出ると聞いている。

 敵も暗視や索敵能力を持っているかもしれない。


 行先に当てがあるわけでもないしな。

 急いで移動する意味がない。


 夜の間は樹上で過ごそう。

 身を潜めてじっと待つ。


 そうしていると様々な気配を感じる。

 ガサガサと草をかき分ける音。

 足音と振動。

 遠くで争うような音。鳴き声。


 ぱっと光が差す。

 俺は闇に慣れた目でそちらを見る。


 炎だ。

 夜空に炎が見えた。


「あれは……リンか!?」


 火球が空で弾ける。

 花火のように高く打ちあがっている!


 合図だ!

 これで方向が分かった!


 俺は木を駆け下りて走り始めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] スナバさんのレベルってどうなってるんだろう。 ある程度間引いて毎回死んでると、かなり低レベルでは? 低レベル全裸で恐竜狩りを嗜む人が他のダンジョンでレベル上げをしたら一気に攻略が進みそう。 …
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