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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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原始忍者は草の服で!

「それで、樹上から石を投擲してヴェロキラプトルに似た小型恐竜を倒したんだ。

 そのまま樹上で服を作って――」


 俺は話を続ける。



 腰ミノのような原始的な服。

 これならスキルを使わなくても作れる。

 なにしろ草やツタは豊富にある。


 だが、ここは時間と手間を節約しよう。

 【忍具作成】で植物から服を生成する!


 服や布は忍具だ。

 前に忍者装束も作ったし、マフラーも作った。

 パンツだろうがシャツだろうが忍具である。


 防御性能は要らない。

 見た目も最低限でいい。


 これから作るのは普通の衣服だ。

 それなら簡単だろう?


 問題はコストだ。

 魔石一つで足りるかな?


 マフラーを作ったときはどうだったっけ。

 たしかゴブリンの魔石数個……三個かな?


 手に入れた小型恐竜の魔石はゴブリンより価値が高いはず。

 これ一個で作れる分だけ作るのだ。


 とりあえず下着だけでもいい。

 短パンとかでいいだろう。


 もし足りなければもっと魔石を集めるだけだ。



 イメージを広げる。


 段階的に考えよう。

 まず植物をよってヒモを作る。

 次にヒモを編んで布を作る。

 それを簡単に縫製する。


 こんな手順でできるはず。

 手作業では手間がかかるがスキルなら簡単だ。


 【忍具作成】は石や鉄を加工して形を変えられる。

 もっと固い素材だって扱えるのだ。

 柔らかい草を()むほうが簡単に決まっている。


 忍具作成君ならちょちょいとやってくれるはずだ。

 いつもより簡単だ。

 できる。やれる。


 いつの時代でも、忍者は道具を自作してきた。

 原始時代の忍者だってそうしていたはずだ。


 ん?

 そんな時代に忍者はいないって?


 まあ、居たらの話。

 仮定の話だよ。


 現に俺はここにいる。

 恐竜がうろつく原始時代だ。

 原始時代っぽいダンジョンだけど。


 俺は忍者。恐竜も倒した。

 忍者と恐竜が共存する時代の到来だ。


 原始忍者たる俺が(まと)う草の服は忍者道具である!

 さあ、頼んだぞ!


「いざ――忍具作成!」


 【忍具作成】がしぶしぶといった雰囲気をかもす。

 それでも、ちゃんと発動してくれた。


 よし!

 できたじゃないか!


 さすが心の友!

 俺たちは原始時代でもやっていける!


 さっそく完成した短パンを身につける。

 ヒモを腰あたりで縛って固定。


 よし。

 これで全裸から脱したぞ。

 パンツ一枚でも、あるとなしとは大違いだ。



 もう少し魔石を集めて装備を充実させたいね。


 俺は木を降りて移動を始める。

 判断分身を放って、安全だと確認した方向へ進むのだ。


 途中、落ちていた木の枝を拾う。

 なるべくまっすぐで、サイズが手ごろなもの。


 素振りして使い心地を確認してみる。

 ふむ。

 まあ、使えなくはない。


 刃物があれば削って使いやすくするのだが。

 魔石で武器を作るのはもう少し後かな。


 ひとまずこれで。

 頼りないが素手よりはマシ。


 【片手剣】のスキルは使えないが【打撃武器】としては使える。

 これで最低限の近接戦闘はできる。


 とはいえ殴り合いは最終手段だ。

 近づかずに石を投擲すればいい。


 木に登れば一方的に攻撃できる。

 登ってくるヤツや遠距離攻撃持ちがいたら対策を考えよう。


 敵を見つけたら木に登る。

 そして投擲。

 たいていは命中する。

 しかし一撃で仕留められるとは限らない。

 これが面倒なのだ。


 恐竜が騒ぎ、敵を呼び寄せてしまう。

 同種なら連携してこちらを探し始める。


 別種類の敵が鉢合わせると戦闘が始める。

 戦闘の音で、さらに別の敵が集まる。


 そうなると収拾がつかない。

 どんどん大柄な敵が集まってくる。


 そうなったら俺は樹上で傍観だ。

 混戦に参加しても得るものはないだろう。


 可能なら木を伝ってその場を離れる。

 隠密していればバレることはない。



 移動を続け、なんとか単独の敵を見つけた。

 投石で倒して魔石をゲットした。


 このダンジョンは魔石を手に入れるのが容易ではない。

 モンスターの死体を破壊してはじめて魔石が得られるのだ。

 さらに宝箱方式ではないから、倒したたけではモンスターの素材は手に入らない。


 それでも、素材が手に入らないわけではないはずだ。

 恐竜の皮や牙には使い道がありそうだ。


 死体はなかなか塵にならない。

 となると、塵になる前にはぎ取ればいいのだ。


 牙や爪も使えそうだ。

 しかし素手で引っこ抜くわけにはいかない。

 ナイフやペンチがないと難しい。


 それとも石を削って石器を作るか?

 ちょっと手間だし、音も出るが……。


 いや、今は武器よりも機動力を確保したい。

 尖った石や、木のトゲが心配だ。

 まだケガはしていないが、足に小さなトゲが刺さったりはしている。


 靴を作ろう。

 草から作る靴、つまり草鞋(わらじ)


 見た目にも忍者っぽくて悪くない。


 よーし。

 これで足を傷つけずに走れるようになったぞ!


 かなり移動したが、誰とも合流できていない。

 分身を放っても、高いところから探しても見つからない。


 思ったより、このダンジョンは広い。

 合流できるだろうか。


 だんだん空が暗くなっていく。

 夜が来るのだ。


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