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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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全滅からの反省会(リンの場合)~SOSは打ち上げ花火で!~

 トウコの話を聞き終えた。

 次は……。


「リンの話を聞こう。

 どうだった?」


「はい。私もゼンジさんを……皆さんを探しました。

 でもすぐに敵さんに見つかってしまって……。

 ほとんど隠れていました」


「見つかったのに無事だったのか?」

「はい。すぐに逃げて隠れました」


「逃げれたんスか?

 あいつら脚速いっスよ?」


「それは炎で分身を作ってその隙に……。

 おかげで助かりましたー」


 【嫉妬】で真似た分身の術だな。

 炎分身の術である。


「俺も分身と隠密で隠れながら進んでたんだが、

 こっちを察知してくるヤツもいただろ?」

「はい。ファイアボールだとこちらの位置がバレてしまうので、ファイアウォールで倒しましたー」


 ファイアボールは手から相手に向かって飛んでいく。

 これだと発射した位置がわかってしまう。


 ファイアウォールは場所を指定して発生させる。

 これならバレる心配がない。


 リンは詠唱なしで魔法を発動できるから、声でバレる心配がない。

 魔法使いは隠れながら戦うのに向いているかもな。


 まあ、リン以外の魔法使いが無詠唱を使えるかは知らないが。


「おお。リンもさらっと敵を倒してたんだな。

 さすが魔法使い!」

「えへへ。そうですかー」


 スナバさんがリンを見る。


「魔法か……興味あるな」

「え……」


 するとなぜかリンが眉をひそめて後ずさった。


 どうしたんだ?


 なぜかスナバさんを警戒してしまっているようだ。

 別にスナバさんの態度に不審な点はない。

 いつも通り淡々と話しているだけだ。


 さっきの初めて発言のせいか。

 また妙なスイッチが入ってしまったか……。


 リンの気になるポイントはよくわからないんだよなぁ。


 ほら、妙な空気が流れてしまった。

 フォローフォロー!


「なあリン……。

 スナバさんはヘンな意味で言ってるわけじゃないと思うぞ」

「ああ。他意はない。

 なにか気に(さわ)ったか?」


 スナバさんの言葉にリンがあわてて頭を下げた。


「あ、いえ……ごめんなさい!」

「いや、いいんだ。続けてくれ」


「は、はい。

 ええと、どこまで話しましたっけ?」

「炎分身で隠れながらファイアウォールで敵を倒したところまでだ」


「あ、そうでした。

 敵さんが集まってきたので、すぐに移動しました。

 なので、その。

 さっきゼンジさんが鑑定のことを聞きたいと言ってくれましたが……」


 リンがバツの悪そうな表情を浮かべる。

 鑑定はできていない、ということだな。


「ああ、別にかまわない。

 魔石や素材を手に入れるのが難しいのはわかっている」


 俺やリンのダンジョンとはルールが違う。

 すぐに魔石や宝箱に変わってくれない。


「はい。だから鑑定できていないんです。

 お料理もしてみたいと思ったんですが、それも……」


 スナバさんが眉を上がった。

 料理というワードに反応したようだ。

 興味があるらしい。

 しかし遠慮したのか口は開かない。


 俺はスナバさんに代わってリンにたずねる。


「料理人のスキルで食材にできそうってことだな?」

「はい。

 倒した敵さんからはおいしそうな匂いがしていました。

 さすがに食べてみる余裕はありませんでした」


「料理したわけじゃなくて、火魔法で倒したモンスターが食べられそうだったんだな」

「そうです」


 自動的に焼き肉になった、と。

 トウコがよだれをたらしそうな顔で言う。


「こんがり肉っスね!

 ワニみたいにおいしいかもっス!」

「似たような味かもな。

 次回、合流できたら鑑定と料理を試そう」


 リンがうれしそうに笑う。


「はい! まず合流ですね!」


 俺も本格的な食事をする余裕はなかった。

 ダンジョンに居ても腹は減る。

 キノコなどの食材を少しつまんだ程度だ。

 それでは全然足りなかった。


「あ、そうだ。スナバさん。

 ここのモンスターは食べられますか?」


 スナバさんは食べたことがあるだろう。

 何時間も飲まず食わずで動き続けられるわけがない。

 荷物を持ち込めないのだから、現地にある食材を食べるはずだ。


 スナバさんが言う。


「ああ。食えるぞ。

 長期戦になると、食べざるを得ない」

「おいしくないんですか?」


 スナバさんが真顔で言う。


「カレー粉が持ち込めないのが痛いところだ」


 なんとなく察してしまうコメントである。

 おいしくないってことだ。


 トウコが不思議そうに聞く。


「スナバんはカレー好きなんスか?」

「いや、そういうわけではない。

 カレー粉をまぶせば、どんな食材もカレー味になる。

 サバイバルでは最重要アイテムだ」


 ジャングルでは豊かな食生活など望めない。

 虫やトカゲなど怪しい食材を食べる機会が多くなる。


 そうしたとき頼りになるのがカレー粉だ。

 屈強な軍人もカレー粉を取り上げられたら涙目になると聞いたことがある。


「じゃあマズいんスね!」

「いや焼いて食べればそれなりにうまい」


 毎回火を起こして料理をする余裕がないと。


「リンがいれば火の通ったおいしい食事が食べられますよ」

「ふふ。楽しみにしてくださいねー」


「そうか。それは楽し……うむ」


 楽しみだ、と言おうとしてやめるスナバさん。

 リンは気づいていない様子で、俺に笑いかけている。


 話題を戻そう。


「それでリン。その後どうなった?」

「隠れていたらだんだん暗くなってきました。

 モンスターさんが増えて、倒しきれなくなって……。

 そこで思いつきました。

 合図したらゼンジさんが来てくれるかもしれないって!」


「ああ」

「空に大きめのファイアボールを打ち上げました。

 でも、すぐ後に大きなモンスターさんが来て……。

 それで、やられてしまいましたー」


「間に合わなくてごめん。

 花火を見て、向かおうとしたんだが、遠くてな」


 闇の中で空に打ち上げられた炎は目立った。

 そこで俺はその方向へ向かった。


 結局、リンは見つからなかった。

 俺がたどり着く前にやられてしまったのだ。


 もっと急げばよかったか。

 いや、無理だろう。

 敵に見つからないように進むのが最適だったはずだ。


 急ぐと敵に発見されるリスクが高くなる。

 戦闘になれば多くの時間を取られたはずだ。


 リンはぶんぶんと首を振り、そのあと胸の前で手を合わせる。


「いえいえ!

 私がもう少し待てれば良かったんです。

 次! 次は一緒になれるといいですねー!」


 お、前向きでいいね。

 俺はうなずき、言う。


「そうだな。

 次回は合流の目印を決めておこう。

 ファイアボールやチャージショットを打ち上げるか。

 それとも狼煙(のろし)をあげようか……」


「合流のための目印は名案だな。

 俺もオトナシ(リン)の花火を目印に移動した。

 おかげでクロウと合流できた」


 バラバラにスタートする仕様について、スナバさんは知らなかった。

 常に一人で潜っていたからだ。


「ゼンジさんたちのお役に立てたならよかったですー」

「ああ、助かった。

 あれだけ広いと普通に合流するのは無理だっただろうな」


 リンはある程度隠れながら戦闘もこなした。

 最後に打ち上げた火球は、俺とスナバさんが合流するキッカケになった。


 次回挑むときは鑑定や料理で貢献してくれるだろう。


 最優先で合流したい。

 そして全裸を……じゃない。

 安全を確保するのだ!


「それで、ゼンジさんはどうでしたか?」

「ああ、俺は――」


 次は俺のターンだ!

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