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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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全滅からの反省会(トウコの場合)~角ケラトプスはオーバーチャージで!~

 俺たちは草原ダンジョンに移動した。

 それだけのことなのに、すったもんだあったのだが。


 トウコが妙なフラグを立てたせいで、

 リンがスナバさんをダンジョンに入れるのを渋ってしまった。


 ノリで言ったことに意味なんかないんだが……。

 初めてなんて要らないとか、そういうことらしい。


 スナバさんはその間、ずっと微妙な顔をしていた。

 頼んでもない反省会に呼ばれたと思ったら断られるという謎の状況。

 謎の痴話喧嘩に巻き込まれたようなものだ。

 もらい事故である。


 ホント、申し訳ない。



 どうしても嫌だと言うなら、俺のダンジョンでもよかった。

 スナバさんは公儀隠密の会議室でいいと主張した。


 しかしリンにヘンなこだわりができては困る。

 今後も他人をダンジョンに入れる機会はあるかもしれない。

 というわけで、リンを説得するという余計な手間をかけ、草原へ移動したのだ。

 やれやれである。


 まあ、それは良い。

 コーヒーを淹れ、リンが作った軽食をつつきながら話を進める。


「最初に外に出たのはトウコだったんだよな?

 ダンジョンの中はどうだった?」


「入ったら誰もいなかったんでアセったっス!

 で、まずリン姉を探したっス!」


 これは俺も同じだった。

 ダンジョンに入ると周囲にはだれもいなかった。


 このダンジョンのルールだろう。

 スタート地点はランダム配置。

 手をつないで入ってもバラバラにされる。


 トウコがなぜ最初にリンを探したかはツッコまないでおく。



 リンが残念そうに言う。


「トウコちゃんとは結局会えなかったねー」


 トウコが興奮気味に続ける。


「次こそリン姉を探してみせるっス!

 んで、探してたらサイみたいなヤツがいたっス!」


 トウコが両手を大きく広げてサイズを表現する。

 背伸びまでしているが、誇張でなく、それほど大きいのだろう。


「思ってたよりデカいっスね!

 さすがリアル恐竜っス!」


 俺は一応補足する。


「恐竜風のモンスターであって、本物(リアル)かどうかはわからんけどな」

「まー、どっちでもいいっス!

 とにかくデカい! かっけーっス!」


 まあ、そこは同意する。

 恐竜っぽい生き物を目の前にすると謎のロマンを感じるね。


 ロマンの次に湧き上がるのは、これどうやって倒すんだって気持ちだが。

 俺も似たモンスターを見たのでわかる。


「そいつはトリケラトプスみたいな奴だったか?」

「それそれ! それっス! 角の生えたやつ!」


「俺が見たのは角が二本だった。

 遠くから眺めただけだけどな」


 俺が見たモンスターはトリケラトプスの想像図に似ていた。

 サイズは牛やサイくらいだろうか。

 本物のトリケラトプスはもっと大きかったはずだ。


 角は二本。

 サイと違って角は鼻ではなく額の辺りにあった。

 肌はサイや象に似た灰色系だ。


「あたしが戦ったのも二本っス!」


 スナバさんが言う。


「その種類は二本角と呼称(こしょう)している。

 勝手に呼んでいるだけだがな。

 他に角が一本の個体もいる」


「スナバさん。

 三本角の個体はやっぱり、トリケラトプスなんですか?」


 三本の(トライ)角を(ケラス)持つ顔(オプス)という意味だったはずだ。

 ギリシャ語だったかな?

 恐竜に似たモンスターが出ると聞いて調べたのだが、うろ覚えだ。


 スナバさんがわずかに首をかしげる。


「……本物の恐竜は知らないが、似ていると思うぞ」

「あ、そうですね。本物と同じとは限らないか」


「そうだ。だから俺はトリケラトプスとは呼んでいない。

 どうでもいいことだ。

 なんとでも好きに呼べばいい」


 スナバさんは見た目通りに呼んでいるわけだ。

 たしかに二本角とか三本角と呼べば誤解はない。


 とはいえ俺は呼び名が気になるタイプなんだよね。



 トウコが言う。


「じゃあ一本角ならユニケラトプスで!

 ユニコーンの仲間っス!」


「二本ならバイか? これはギリシャ語だったかラテン語だったか……」


 ダブルコーンとかツインホーンとか、なんとでも呼べそうだが。

 言語むずいぜ。


 二本角の恐竜もいたと思うが、マイナーだから覚えていない。

 まあ、本筋とは関係ない。

 あとで調べよう。

 そうしよう。



 リンが言う。


「鑑定すれば名前が分かるかもしれませんねー」

「お、そうだな!

 ふむ。リンの鑑定についても聞きたいな。

 トウコの話が終わったら聞かせてくれ」


「はーい」


「話を戻そう。

 トウコは二本角の恐竜と戦ったんだな?」

「そうっス!

 ちゃんと倒したっスよ!」


 それを聞いてスナバさんが驚いた表情を浮かべる。


「む。アソ、あれを倒したのか!」

「へへ! 硬くて大変だったっス!

 何発も撃ちまくってやっとっスね!」


 トウコが得意げな表情を浮かべる。


「やるなトウコ。銃がその場で出せるだけのことはある」

「おっ!? めずらしく店長が普通にほめてくるっス!

 オーバーチャージショットをぶち込んでやったっス!」


 トウコは満足げな表情である。

 あの派手な新必殺技を存分にぶっ放したわけだ。


「で、そいつを倒した後どうなったんだ?」


 まあ、聞くまでもなく落ちは見えている。

 外に出た順で話を聞いているので、最初にやられたのはトウコなのだ。


「他のヤツが乱入してきたっス!

 けっこう倒したんスけど、次々に漁夫(ぎょふ)られてやられたっス!」


 戦っている間に別の敵が襲ってきた、と。

 漁夫の利を得られてしまったわけだ。


「まあ、そうなるよな……。

 銃声で敵が集まってきたんだろ?」


「そうっス!

 まあ、どうしようもないっスね!

 逃げても追いつかれるし、倒しきれないっス」


 スナバさんが淡々と言う。


「二本角はこちらから近づかなければ襲ってこない。

 かなり固く、生命力も強い。

 戦っている間に他の敵に発見されるリスクが高まる。

 次は距離を取って戦闘を避けるのがいいだろう」


 トウコが口をとがらせて反論する。


「まー、そうかもスけど……」


 スナバさんが手を上げてそれを止める。


「いや、責めているわけではない。

 それだけ倒してくれたのなら、間引きとしては成功だ。

 感謝する」


 その言葉にトウコは機嫌をよくする。


「おおー!?

 そうっスよね!

 たくさん倒せてよかったっス!」


 攻略の目的はモンスターの間引きである。

 早くやられたとしても、多くの敵を倒した功績は大きい。

 収支は黒字なのだ!

■誰も求めていないうんちくコーナー

トリケラトプスに似た二本角の恐竜の呼び名。

ネドケラトプスはロシア語のネド(不完全)+ケラトプス。

トリケラトプスと比べて一本足りないから。

ディケラトプスは(たぶん)古代ギリシャ語のジ(di=2)+ケラトプス。

恐竜は命名者や命名順で呼び名が変わったりするらしくて複雑。

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