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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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特殊個体は揉み放題で!?

 風呂に浮かぶトウコに声をかける。


「おーい。

 水死体ごっこか?

 ちょっとよけてくれ」


 トウコがざばっと身を起こす。

 派手に水しぶきを上げながらトウコが口を尖らす。


「もー。店長、遅いっス!

 リン姉はまだっスか?」


 俺は湯舟の空いたスペースに浸かる。

 横に並べば三人では入れるサイズだ。


「もう来るよ。ふぅ……」


 俺は深く息を吐いて、疲れた体を湯に沈める。


 熱すぎず温すぎず。

 ちょうどいい湯加減だ。


 俺は湯の中で手足を伸ばす。

 緊張してこわばった筋肉が弛緩していく。

 疲れが抜けていくようだ。



 リンが隣に入ってくる。

 そしてホッとしたようにゆるんだ表情で言う。


「気持ちいいですねー」


 その姿は(なま)めかしい。


 長い黒髪はつややかだ。

 今は濡れないようにアップにまとめられている。


 髪を上げているおかげで、

 うなじから首筋にかけてが際立って見える。


 香るように漂う色気は上品。

 それでいて扇情的。


 学生が出せる色香じゃないぞ。


 温泉宿の若女将みたいな……。

 いや、違うな。

 そもそも女将と風呂に入る状況ってどんなだ。


 比較対象が思いつかない。

 なにと比べたって、リンのほうが上だ。


 黙っていれば美しい大人の女性に見える。

 整った顔からは冷たい印象さえ感じさせる。

 そのせいでよく勘違いされるが、内面は違う。


 その内面は複雑で、一言では言い表せない。

 やさしいとか、おっとりしているとか、それだけじゃあない。


 明確にわかるのは俺への好意だ。

 それだけは間違いようがない。


 だけど、それ以外の部分はつかみきれていない。

 奥が深いというか……。



 リンが不思議そうに俺の顔を見る。


「ゼンジさん。どうしました?

 後ろにモンスターさんでもいましたか?」


 おっと。じろじろ見すぎたか。

 考え込みながら、俺の視線はリンのうなじあたりをさまよっていた。


 その視線を追うようにリンが後ろを振り返る。

 もちろんそこには何もない。


 ちゃぷちゃぷと湯が揺れる。

 首から背中にかけてのラインも素晴らしい。


 おっと。

 無遠慮な視線を向けてはいかん。


 俺は取り繕うように言う。


「いや、どうもしない。

 疲れたからぼんやりしていただけだ」


「そうですか。

 それなら肩でも揉みましょうか?」


 リンがやさしく微笑む。


 これは魅力的な提案だ。

 だが、まだやることがある。

 このあと草原ダンジョンで検証の続きをするつもりだ。


 これ以上エッチポイント(HP)を加算すると、検証を続けられなくなってしまう。


 俺は笑みを返し、断る。


「いや。大丈夫だ」


 そこでトウコが元気に手をあげた。


「じゃあじゃあ!

 あたしがリン姉を揉むっス!」


 リンが驚く。


「ええっ!? なんでそうなるの!?」


 トウコが楽しげに言う。


「さっき約束したっス!

 時は今! 場所はここ!

 もみもみ祭りっス!」


 あ、おぼえてたんだ。

 こういうところではダメ、と言ってたけどさ。


「別に約束してないだろうよ!」


 トウコがじゅるっとヨダレをぬぐう。


「うへへ……。

 約束は約束っス」


 トウコが緩んだ顔で指先をにぎにぎさせ、リンににじりよる。


 トウコはわかりやすいなぁ。

 いっそすがすがしいほどだ。


 外面と内面が完全に一致している。

 裏表がない。

 しかし全部表に出すのはどうなんだ?



 リンが後ずさりして困ったように言う。


「ええと……トウコちゃん?

 その、ちょっと落ち着いて!?」


 リンが浴槽のへりに追いつめられる。

 トウコの魔の手がリンのふくらみへ伸ばされる。


「ふへへ! ふへへ!」


 トウコがヨダレをたらしながらリンに迫っていく。


 まずい!

 こいつは特殊個体のエロゾンビだ!


 リンに逃げ場はない。


「まてまて!

 目の前でセクハラはやめろ!」


 何もしていない俺のHPが限界を超えてしまう。


 俺はトウコを掴んで止める。

 掴んだのはバスタオルだ。


 トウコが大げさな声をあげる。


「ぐえっ!

 なんで止めるんスか店長!」


 そう言うとジト目で俺を非難するように見る。


「逆に、なんで止められないと思ったんだよ」


 トウコが興奮した顔で力説する。


「今がチャンスなんスよ!

 リン姉は今、抵抗できないんス!」


 だから俺が阻止してるんです。


「してもいない約束につけこんでんじゃない!」

「でも本当はイヤじゃなさそーなんでオッケーっス!」


 トウコがさらっと言う。

 その言葉にリンが動きを止める。


 リンがうろたえて言いよどむ。


「えっと……トウコちゃん?

 そういうのは……ね?」

「ふむ?」


 リンの反応はよくわからない。

 イヤじゃないならいいんだけど……。


 これ、俺が鈍感なのか?


 いやいや。

 リンが難しすぎるのだ。


 トウコがざばっと俺に向き直る。


「じゃあ代わりにっ!

 店長があたしを揉むってことで!」

「なんでそうなる!?」


 トウコがさっと背を向ける。

 そして肩越しにニヤニヤ顔を浮かべる。


 トウコの意図はわかりやすい。

 揉めるものなら揉んでみろという挑発だ。


「へへー。遠慮はいらないっスよ!

 肩でも胸でもふくらはぎでも、どこでもオーケーっス!」


 じゃあふくらはぎを……とはならんだろ!?


「揉むわけないだろ! アホか!」


 どこであれ、風呂場での接触は避けたい。


 俺は鈍感系ではなく敏感系なのだ。

 理性には限界がある!

 そして表に出せないこともある!

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― 新着の感想 ―
トウコの場合、ハレンチポイントかも。
[一言] 男女3人で一緒にお風呂の時点で十分えっちな気がするw
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