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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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乱暴な転送門と癒しの風呂場!?

 冷蔵庫の前。

 俺たちは転送門から乱暴に吐き出された。


 俺とトウコは着地。

 リンがバランスを崩しかけたので、手を貸して支える。


「あ、ありがとうございます」


 そう言うとリンは恥ずかしそうにはにかんだ。


「このダンジョンの転送門は不親切だよな」

「いじわる転送門っス!」


 出入りくらい、楽にやらせてほしい。

 ちゃんと立った状態で床の上に出してくれ。


 俺やリンのダンジョンで、こういうことは起きない。

 このダンジョン、出口の座標がズレているのか?


 冷凍庫は引き出し式だ。

 だから上方向へ排出しているんだろうか?


 クローゼットやトイレ、ロッカーの入口は横方向に入るからな。

 そういう違いか?


 俺のダンジョンも引き出しに移動させたらこうなるか?

 試してみようか。

 いや、あんまり意味ないかな。


 そんなとりとめのないことを考える。


「そういえば店長。

 ピアススラストの検証はもうオッケーっスか?」


「まだ終わっていない。

 あとはヒットポイントを貫けるかの確認だな」


「ボスで試せばよかったんじゃないスか?」


 それは俺も考えた。

 その上でやめた。


「いや、強敵で試すのは危ないからな。

 草原の角鹿あたりで試そうと思う」


 別に角鹿がザコなわけではない。

 強さの方向性が違う。


「いいですねー。

 あ、でもその前にちょっと休憩しませんか?」


 トウコがヘラヘラと笑う。


「ご休憩でもご宿泊でも大歓迎(だいかんげー)っス!」


 俺はスルーして言う。


「風呂に入って汗でも流したい気分だな。

 ヨゴレが残っているわけじゃないが……」


 戦っているとどうしても返り血を浴びる。

 なるべく避けてはいるが、多少はやむを得ない。

 血や腐肉が体に振りかかってしまう。


 ダンジョンを出ると中の汚れは消える。


 冷蔵庫ダンジョンの場合は入場時の状態に戻る。

 トウコが持ち込んだコーラも飲んだり捨てたりしたが、今は開封前の状態でトウコの手にある。


 今の俺たちは汗すらかいていない。

 清潔そのものだ。

 物理的には汚れていない。

 それでも汚れたような気持ちは拭えない。


 気持ちの問題だ。

 疲れて、神経がささくれている。

 このダンジョンには、とても連続して潜る気にはなれない。



 リンが俺の言葉に笑顔でうなずく。


「はいっ! お風呂にしましょう!」

「ご入浴(にゅーよく)も大歓迎っス!」



 というわけで草原ダンジョンに移動した。


 俺たちは分担して風呂の準備を終えた。

 さあ、風呂に入ろう。

 疲れを癒してさっぱりしたい気分だ!



 脱衣所でトウコがクイクイと手招きしている。

 なんだ?

 どうせくだらないことを考えているのだろうが……。


 ニマニマ顔でトウコが言う。


「店長! ちょっと見て欲しいっス!」

「なんだよ?」


 トウコがおもむろにバックステップする。


 むむ。この動き!

 風呂に入るときに便利だと言っていたやつだ。


 ここで、アレをやるのか……!?


「瞬間脱衣の術っス! とうっ!」


 トウコの姿が服の向こうに消える。

 【透過】で服をすり抜けたのだ。

 いわば空蝉の術だ。


 服だけが空中に残っている。

 重力に従い、はらはらと服が落ち――


「って、なにを見せようとしてんだ!」


 トウコが空中で服をキャッチする。

 それを胸元にかかえながらジト目で言う。


「しっかり見たくせにー」


 今はもう、隠すべきところは隠している。

 なにかが見えるとしたら服が空中を舞っていた一瞬だけ。


 常人なら見逃しちゃうね。


 しかし俺には敏捷力のステータスがある。

 動体視力と反応速度も上がっているのだ。


「……いいから早く風呂に入れ!」

「へーい」


 トウコはそう言うと服を丸めて脱衣籠に放り投げる。

 そしてタオルを体に巻く。


 ザツだな!

 あと、動作の順番が逆だな!


 俺じゃなくても見逃さないね!



 リンが困り顔で手早く服を畳んでいく。


「もう……。

 トウコちゃん。

 ちゃんと畳まないとしわになっちゃうよー」


 そう言うリンは既に服を脱いでいる。

 大きめのバスタオルを巻いただけの姿だ。


 豊かな体を包むには布が足りていない。

 服を畳む動きでバスタオルの裾に深いスリットが作られる。


 布地がふくらみに引っ張られているからだ。

 丈が足りなくなった分だけ太ももがのぞいている。


 もちろん隠すべき場所は隠している。

 だがその美しさは隠しきれていない!


 これは貴重!

 破壊力がとんでもない!


 リンは普段、ほとんど肌を露出しない。

 今は素肌を惜しげもなくさらしているのだ。


 そのことに気づいてすらいない!


 こういうとき、鈍感系主人公なら無視して流せるのだろう。

 俺はそうではない。


 健全な男子なのだ。

 ハートを直撃である。


 いかんいかん。

 じろじろ眺めているわけにはいかない。


 俺は目をそらしながら言う。


「じゃあ、先に入ってるぞ」

「はーい。私もすぐに行きますねー」


 リンの声を背中で聞きながら湯舟へ向かう。


 そこではトウコが風呂に浮かんでいた。

 湯舟の長辺をぜいたくに使い、仰向けにぷかぷかと。


 申し訳程度にタオルを巻いているが、ズレそうだ。

 防御力ゼロかよ!

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― 新着の感想 ―
[一言] こんな状況でも前かがみにならないニンジャ… 明鏡止水!?
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