表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1055/1495

ボス攻略はハメ殺しで!? その2

 料理人ゾンビが叫ぶ。


「グォォォ!」


 まだ魔法の炎は消えていない。

 しかし料理人ゾンビは歩みを止めない。


 ぎらつく目に殺意を灯して、こちらをにらみつけている。

 そして、のしのしと食堂を進む。

 そこで大きく息を吸うような動作を見せる。


 俺は身構える。

 この動きは――咆哮だ!

 恐怖心をあおる叫び声を上げるつもりなのだ。


 これは精神に作用するスキルだ。

 食らえば冷静な判断などできなくなる。


 気合いや根性で乗り越えられるものではない。

 有無を言わさずに心を挫くほどの強烈な効果をもたらすのだ。


 音だから回避はできない点が厄介だ。

 もちろん耳をふさいだ程度では防げない。

 鼓膜を破ったり、遠く離れなければならない。



 そのとき疑問が浮かぶ。

 これ、【精神耐性】で防げるか?


 俺は脳裏によぎった疑問を抑えつける。

 いやいや、そんな場合じゃない。


 ボスで試すには危険すぎる。

 安全第一だ。


 対処できずに効果を受けた場合の保険程度に考えておこう。



 俺は(スキル)の準備を続行する。


 (ひじ)を腰につけ、掌を料理人ゾンビに向ける。

 魔力を腕に集中させ、圧力を高めるイメージ。



 料理人ゾンビが大口を開けた、まさにその瞬間――

 術を放つ。


「忍法――水噴射!」


 俺の両手から勢いよく水がほとばしる。

 腕に、腰に反動の圧力がかかる。

 後退しないように足裏を吸着し、力を込めてぐっとこらえる。


 水流が料理人の顔面へとぶち込まれる。


「グガボォォォ……!」


 咆哮は形にならない。

 不発だ。

 それは意味の通らない音に変わった。



 俺は水流を当て続ける。

 料理人ゾンビが水圧に押されてのけぞる。


 そこで放水の狙いを足元へ向けると、

 料理人がバランスを崩してよろける。


 奴はなんとか姿勢を立て直そうとするが失敗。

 足を滑らせ、べちゃりと床に倒れ込む。


 よし!

 まだまだ!


 俺は倒れた料理人ゾンビに向けて放水を続ける。

 大量の水が料理人を押し流す。


 料理人ゾンビは床を滑り、転がっていく。

 食堂の端まで押しやったところで術を止める。



 俺は号令を下す。


「よし! トドメを!」


 トウコが笑顔でマグナム銃を構える。


「店長ナイスっ!

 もう一発放てるどーん!」


 そう言うと【ピアスショット】を放つ。

 命中。


「では私も!

 ファイアボールっ!」


 リンの火球も命中。

 水に濡れた体を構わず炎上させる。



 料理人ゾンビが体を起こそうとし――

 そのまま倒れ伏す。

 そして、ゆっくりと塵になっていく。


「倒したようだな!」

「ハメてやったっスね!」

「ふう……おつかれさまでしたー!」


 ボスに何もさせず、ボコボコにしてやったぜ!


 料理人ゾンビの塵化が終わり、魔石が残る。

 引き寄せて魔石を回収。


 俺はボスの魔石をトウコに差し出す。


「食うか?」

「いらないっス!」


 即答だった。

 嫌いな野菜を突きつけられたようなリアクションだ。


 料理人ゾンビさんは料理も魔石も食べてもらえないらしい。

 腹を壊しそうだし、俺もおススメしない。



 そこで脱出用の転送門が現れる。

 リンが言う。


「では、帰りましょうか?」


「ちょっと待ってくれ。

 せっかくだからナタに付与しておく。

 十数秒ほどですむ!」


 魔石がもったいないしね。

 どうせ消えるなら使い切りたい。


 貧乏性である。

 いや、倹約家なのだ。


 【中級忍具作成】を発動。

 付与対象は剣鉈。


 ふむ。

 料理人ボスの魔石では特殊な付与はできないらしい。


 スキルの付与は無理か。

 【恐怖】とか【咆哮】とかを期待したんだけどな。


 おそらくボスのランクなり、

 持っているスキルの関係だろう。


 俺との相性かもしれない。


 なら、普通に威力強化を付与しよう。


 では頼むぞ忍具作成君!



 発動から完成まで待つ間、

 トウコとリンの会話を聞くとはなしに聞く。


「十秒くらいなら転送門も消えないっス!

 まあ、間に合わなくてもあたし的にはオーケー!」


「トウコちゃん。

 なんで大丈夫なの?」


「間に合わなかったら六ウェーブが遊べるどん!」


 あわよくば先に進もうとするな!



 強化を終えた剣鉈を収納に入れ、二人に手を伸ばす。


「終わったぞ! ほれ、手を繋げ!」

「へーい」

「はいっ」


 俺たちは転送門へ飛び込み、無事に脱出した。



 --------------------

 名称:剣鉈(けんなた)


 見た目:

  先端が刀のように尖ったナタ。

  峰が厚い。刃はやや鈍い。

  切れ味より叩き斬るように使う。


 説明:

  刺突攻撃の検証のため角鉈を忍具作成で加工した。

  【片手剣】【打撃武器】として使える。


 メイン素材:

  角鉈

 サブ素材:

  なし


 付与効果:

  威力強化(現実素材なので一枠のみ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 特殊な付与ができたら持ってる間ずっと呪いの声を発する怖い武器ができそうだな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ