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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ショウタイムの始まりだ!

 二十階層で手に入れた【検証者】の枠。

 そこに新しいスキルをセットする。


 今回は【片手剣】のスキルを試していく。

 事前に候補は考えてある。


 ナタを手にしてゾンビへ向かう。

 俺の背にトウコが声をかけてくる。


「なんのスキルを試すんスか?」


 トウコの問いに、俺は行動で答える。

 よたよたとやってきたゾンビへ向かってナタを振り上げ――


「これだよ――【パワースラッシュ】!」


 上段から斜めに斬りおろす。

 狙いは首元。


 やや大振りの軌道でナタの刃が走る。

 速度はいつも通り。

 だが腕に力がみなぎるのを感じる。


 刃がゾンビの首筋へめり込む。

 それだけでは止まらない。


 刃は鎖骨をへし折り、肉を切り裂いていく。

 切れ味がいいとは言えないナタの刃が胸をえぐって止まる。


 俺は小さく驚きの声を上げる。


「おっ!?」


 思っていた以上に深く切り裂いたことに驚いたのだ。


 腐りかけたゾンビの肉は柔らかい。

 とはいえ、鈍いナタの刃でこれほど切り裂けるとは。


 ゾンビが動きを止める。

 即死。行動不能。


 動きを止めた死体が、ぐらりと後ろに倒れていく。

 俺はナタを引き抜こうとして、小さく顔をゆがめる。


 む。

 ナタが肉を噛んでしまった。

 抜けない。


 俺はナタから手を離して背後へ下がる。

 返り血を避ける。



 ゾンビは床に倒れ、もう動かない。

 俺はゾンビの肩を足で踏みつけて、ナタをねじる。


 ちょっとグロい作業だ。

 こういうのがこのダンジョンの嫌なところだ。


 死体がすぐに消えないせいで手間が一つ増える。

 面倒というのもあるが、精神的に疲れるんだよな。

 正気度が削られる感じ。


 ナタを引き抜くとゾンビは塵になって消えた。

 あとに魔石が残る。



 トウコとリンが歓声をあげる。


「おーっ! パワスラっ! 有名な技っスね!」

「すごい威力でしたねー!」


「ああ。威力はいいな。

 しかし、ちょっと大振りになるのが気になるな。

 力加減が難しいんだよ」


「力加減、ですか?」

「さっきは、あんなに深く斬る気はなかったんだ。

 もっとうまくコントロールしないとな」


 俺はたいてい、急所や血管を撫でるように斬る。

 すれ違ったり、跳びながら斬ることもあるからな。

 パワーよりスピードの戦い方。


 深々と刃を打ち込むと次の手が遅れる。

 一対一なら問題ないが、囲まれた状態では命に関わる遅れとなる。


 とはいえ【パワースラッシュ】ははじめてつかうスキルだ。

 力加減がわからないのは当たり前。

 練習すれば【ファストスラッシュ】のように使いこなせるだろう。



 俺は頭で時間をはかりながら素振りをする。

 これは再使用可能(クールダウン)時間を調べている。


 二発目の発動が確認できたのは十秒ほど経ってからだ。

 【ファストスラッシュ】よりやや長い。

 この辺りはスキルレベルを上げれば短縮されていく。


 【ファストスラッシュ】は斬撃の速度が上がる。

 これに対して【パワースラッシュ】はパワーが上がる。


 込めた以上の力が出る、という感じだ。

 ()()()とも言い換えられる。


 シンプルに威力が上がり、力負けしにくくなる。


 だけど不思議とスピードは上がらない。

 剣速は上がらず、威力だけが上がるのだ。


 なんでだろうな。

 力を込めれば速くなるのが当たり前だと思うが。


 加速するのではなく、力が(くわ)わる。

 加力(かりょく)……加圧(かあつ)……?

 原理はちょっとわからないが、そういうものだ。


 ファンタジーだな。不思議である!



 その後も俺は【パワースラッシュ】で敵を斬り捨てていく。

 腕を斬り飛ばし、首や頭の鉢を飛ばす。


 パワーこそスラッシュである!

誤字報告ありがとうございます!

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[一言] 力こそパゥアーw
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