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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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置いたり消したり移動したり!

「ショッピングセンター事件のとき、

 ()()は、これを使っていたんだろうな」

「あー。あの消火器のハコっスね!」


 トウコの表情が思い出すような曖昧な顔つきから、納得した表情に変わった。

 対してリンは少し不安げな顔になっている。


「暴食さんはあのとき、

 今のゼンジさんと同じ権限を持っていたんですね……」


「ああ。少なくとも奴は()()()()の管理者権限を持っていた。

 やたらと強かったのもうなずける話だ」


 暴食は強かった。

 俺たち三人に加えて犬塚さんまでいた。

 それなのに倒しきれなかった。

 そして奴は逃げ延びた……。


 それだけの強さがあったということだ。

 当然、その力はダンジョンで得たものだろう。

 ダンジョンを深く攻略しているということだ。

 当然、権限も持っていたと考えられる。


「てことは店長も転送門を消せるはずっス!」

「そうなるな。

 たぶん暴食は、外に出て転送門を移動させたんだろう」


 二つの転送門を用意する。

 一つは現場に。

 一つは追跡を逃れられる安全な場所に。


 安全な場所に出てから、現場の転送門を移動させる。

 移動することで、現場の転送門は消える。


 俺にも同じことができるはずだ。



 リンが確かめるように俺の顔を見る。


「転送門の移動は一日一回でしたよね?」

「そうだ」


「んじゃあ、今日はもう移動できないんスか?」

「今やったのは、二つ目の転送門の設置だ。

 移動は別になるかな?」


「んじゃ、移動できるか試してみるっス!」

「やってみるか」


 俺は借りている部屋のロッカーの前に立つ。

 これは転送門を設置しているのとは別のロッカーだ。


 数日前から俺専用としている。

 移動の条件は満たしているはずだ。


 俺はロッカーに手をかざし、

 転送門を移動させるイメージを浮かべる。


「一つ目の転送門をここに移動する!」


 そう言いつつロッカーを開ける。

 中には黒く揺れる門があった。


「……できたな」

「おーっ! こっちの転送門は消えてるっス!」


 トウコがもともと転送門を設置していたロッカーを指さしている。

 中身は普通のロッカー。中身はカラだ。


 つまり、門を消して、門を出すことに成功した。

 移動である。


 リンが言う。


「ということは移動と設置は別なんですね!」

「別だろうけど、何度も設置することはできないだろ?」


 二つ目を設置する、というのは初回だけの話だ。

 もう済んだので置き直すことはないし、できないだろう。


「じゃあ、消してから置けばいいっス!」


 消せば置けるって話か?


「うーん。

 転送門を消す機能はメニューにはなかったな。

 でもやってみるか。転送門よ、消えろ!」


 隠しメニューがあるかもしれないし。

 ダンジョンのメニューは最初からすべて解放されているわけじゃない。

 『ダンジョン所有者情報』などは、意識してはじめて現れた。


 ダメもとで念じてみる。


 消えろ! 閉じろ! 隠れろ!


「ムリっぽいな。消せないらしい」

「ゼンジさん。もう一度移動できますか?」


 二回目の移動ができるか?


「管理者権限が強くなったんだから、

 二回目の移動もできるかもしれないな」


 これも試してみる。


「動け! さっきのロッカーへ!」


 少し待ってみるがなにも起こらない。

 ロッカーはそのままだ。


「ムリそーっスねー」

「では、三つ目を出せたりしますか?」


 さすがに三つ目は無理だろう。

 と思いつつも試してみる。

 結果は同じ。


「うーむ。……ムリだな!」


 いくつも出せるなら、一層ヤバい。


「じゃあじゃあ!

 もっと権限があればできるかもっス!」


「三段階目の権限か……」

「三十階層のボスさんを倒せばもらえるんでしょうか?」


 リンの言葉に俺は考える。


 俺のダンジョンにはまだ先がある。

 二十階層が最深部というわけではない。

 ちゃんと下へ続く階段があった。


 目標にしていた権限を得て一区切りついたが、

 今後も攻略は続けていくつもりだ。


 俺がダンジョンを攻略するのは、

 なにも管理者権限のためだけではない。

 単純に楽しいのだ。


 戦うこと。ピンチを乗り切ること。

 多種多様な敵と能力。

 対策してそれを打ち破る喜び。


 手に入れた素材で新しいものを作り、

 身につけた経験で新しいスキルを得る。


 やった分だけ先へ進める感覚。



「どうだろうな。

 三十階層で無理なら四十階層か?

 リヒトさんに詳しく聞いてみたいものだ」


 彼は少なくとも二段階目の権限を持っている。

 三段階目を持っていてもおかしくはない。


 俺にとってはダンジョン攻略の先輩にあたる。

 会ったことはないが、信用できる人物だと思っている。

 助言や情報に何度も助けられた。


「お返事はまだ来ませんか?」

「ああ。もう少し待ってみるよ。

 せっついてもしょうがないからな」


 いろいろと聞きたいことが増えてきた。


 メッセージにはまだ返事がない。

 彼は無事だろうか。

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― 新着の感想 ―
[一言] ニー◯とか無◯とかやり込み勢は強いぞw
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