死んだらどうなるんです?
「それで、復活はできるんですか?」
「復活の有無は――ナシだ」
リンが残念そうな顔で言う。
「そうですか……」
「死んだら終わりだと明確にわかるのもショックだけど……。
別に変らないだろ?
もともと俺たちは死なないように戦っているんだし」
「あ、そうですね。そうですよね!」
復活できるなら無理をして攻略することもできる。
トウコの冷蔵庫ダンジョンでは、死は終わりではない。
死んでもダンジョンの外で復活する。
便利なものだが、死ぬ感覚はかなり堪える。
命が失われる底冷えのする感覚はどうにも慣れない。
気楽に死んで、生き返ればオーケーとはいかない。
「だからやることは変わらない。これまで通り安全第一だ」
「はい!」
「他にもいくつか機能が増えていたぞ。
これはステータスウィンドウからは操作できないけどな」
ステータスウィンドウで参照できるのは一部機能だけ。
管理コンソール側はフル機能だ。
「なにが増えていたんですか?」
「階層移動と転送門の移動も変わっていたぞ。
まず階層移動だが、十階層単位じゃなくて、
選んだ階層へ飛べるようになった」
「わあ! 好きな階層へ飛べるんですか? 便利ですね!」
「ああ。これはもう試してきたぞ。
二階層に飛んでみたら、階段のすぐ外だった」
「帰りもその機能で、すぐ戻れるんですか?」
「いや。転送門や帰還モノリスはなかったよ。
普通に歩いて帰ってきたよ」
「あ、そうなんですか」
「どうせ宝箱を回収しにいくからな。
日課がはかどるし、大した手間じゃないさ」
「階層移動は何回も使えるんですか?」
「使えるんじゃないか? あとで試してみるよ」
これはまだ試していない。
さすがに何度も歩いて帰ってくるのは面倒だ。
でも試してみよう。
あ、十一階層に飛べば楽だな。
十一階層へ飛んで階段を登ればいい。
そして十階層の帰還モノリスへ。
これで最速で戻ってこられるぞ。
って、別に急ぐ意味はないんだが。
階層移動が何度も使えるかを試すだけ。
そんなタイムアタックを何度もやる意味はない。
回数制限があるとしても、日をまたげばまた使えるだろう。
それに一日に何度も階層移動は使わない。
攻略を終えたら十階か二十階の帰還モノリスで戻る。
日に何度も往復したりしないから問題ない。
まあ、タイムアタックすればわかるな。
「転送門は二つ目が出せるらしい。こっちはまだ試していない」
「あ、じゃあ試してみますか?」
「うん。借りている部屋で試してもいいんだが――」
と、そこでリンの携帯がアラーム音を鳴らす。
「あ、もう午後の講義が始まっちゃいます!
あとでまたっ! すぐ戻りますので!」
「いや、急がんでも。
ゆっくり講義を受けてきてくれ」
「はーい!」
俺たちは食器を下げて、部屋に戻った。
さて、俺はタイムアタックをするぜ!
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・ダンジョン情報閲覧
ドロップ方式:
魔石
宝箱:
あり
罠:
あり
安全地帯:
あり
復活:
なし
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