管理者権限によりあの情報が解禁されたぞ!
軽量化した装備一式を着て、具合を確かめる。
刀を振って動きを再確認。
その場で飛んだり、宙返りをしたり。
うん。軽い。
軽くなった分、手足に防具を装備してもいいだろう。
とすると――
忍者装束の時に使っていた防刃手袋と手甲。
そして足防具の脚絆。
これを改良して軽量化すれば、
前の装備とそう変わらない動きができそうだ。
と、考えていると――
転送門からリンが飛び込んできた。
「ゼンジさーん! お昼ごはん一緒に食べましょう!」
午前の授業が終わったらしい。
もうそんな時間か。
「おう。んじゃ、着替えるからちょっと待ってくれ」
「あれ? そのお洋服、なにか変わりました?」
ん? わかるのか?
見た目にはあまり変わらないはずだ。
服の内部に埋め込んだパーツの違いだぞ。
ちょっと厚みが違ったりはするかもしれないが……。
「ああ。ちょっと軽量化したんだけど、わかるのか?」
「はい! このあたり、ちょっと薄くなりましたよね?」
と言うとリンは手を伸ばして俺の胸板をなぞる。
ちょっとくすぐったい。
「ん。ああ。カマキリの素材に換えたんだ。薄くて軽いんだよ」
リンの息が荒くなる。
「ああ……そうですよね。
体温が伝わってくるくらい薄くて、硬くて……」
リンは頬を紅潮させ、俺の胸でのの字を描く。
「お、おう……。じゃ、着替えてメシにしようか」
「あ……はい」
リンがすっと離れる。
ふう。いかんいかん。
飯を食う前にリンをいただいちゃうところだった。
俺は装備を外してリンと外へ出る。
食堂に移動して飯を注文する。
今日は麻婆豆腐定食。
辛さはひかえめだが、なかなかうまい。
「それでゼンジさん!
管理者権限について調べたんですよね?
どうでしたか? 講義中も気になっちゃって……!」
リンが期待に目を輝かせながら言う。
「ああ。調べたぞ。まず一つ目。
ステータスウィンドウから管理コンソールを参照できるようになった」
「あ! 天の声さんが言ってましたね!
どの機能が使えるんですか?」
天の声のアナウンスでは、
一部にアクセス可能――ということだった。
「使えるのはダンジョン情報閲覧機能だ。
ダンジョン情報、階層情報、地図情報の三つの機能だ」
「わあ! ステータスウィンドウから地図が読めるんですね!」
リンは嬉しそうに手を叩いて喜ぶ。
俺はうなずきながら言う。
「これはかなり便利だぞ!
リアルタイムに更新されるから地図を書かなくてもいいんだ」
これまでは、攻略しながら足を止めて手書きで地図を書いていた。
この手間がなくなるのはありがたい!
それだけじゃない。
今いる場所がわかり、周囲の地形がわかるのだ。
「これで隠し通路もすぐ発見できるぞ!」
「便利ですね! ゼンジさんは隠し通路、好きですよねー」
「だって、マップを埋めないと気持ち悪いだろ?」
「はい。そうですね!」
リンはいちいち笑顔で俺の言葉に頷いてくれる。
「たまには宝箱があったりもするし」
「うれしいですよね!」
「うむ」
たぶんリンは隠し通路に興味はないだろう。
俺が喜んでいるので、一緒に喜んでいるだけだと思う。
それでいい。
俺を見て喜ぶリンを見ると俺も嬉しい。
永久機関である!
「階層情報もリアルタイムに見れるが、これはいい。
重要なのはダンジョン情報だ!」
「ダンジョン情報……ですか。どういうものでしたっけ?」
リンは記憶を探るように、目線をさまよわせる。
あまり頻繁に見るものじゃないからな。
「ドロップ方式、宝箱の有無、罠の有無、安全地帯の有無、復活の有無がわかる」
「あ、そうでしたねー」
「これはステータスから見れるから便利ってわけじゃなくて、
前は読めなかった情報が読めるようになったことがすごいんだ」
「あっ! そうでした!
復活の有無がわからなかったんですよね?」
「ああ、そうだ」
復活の項目はあったが、
権限が不足しています――と表示されていた。
その権限が充足された。
今は読める。
「それで、復活はできるんですか?」
「復活の有無は――」
俺は神妙な顔でリンに結果を伝えた。
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