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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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外骨格はキチン質! 装備品アップグレード!

 カマキリの前脚と言っても外側だけで、

 中に肉は詰まっていない。


 まあ、食べるつもりはないから肉なんていらない。



 これはいわゆる外骨格(がいこっかく)である。

 カニやエビのようにカマキリの体を覆っている。


 昆虫はこの外骨格で体を支えている。

 虫が小さいのは体を支える限界があるから、という説がある。


 でもダンジョンのクモやカマキリはデカい。

 どう考えてもその限界を超えている。


 ステータスやスキルが大型化を可能にしているんだろうか?

 まあファンタジー的な存在だし、アリなんだろう。


 カマキリの前脚で特徴的なのはカマの内側にあるトゲ。

 これは突き刺すためより、相手を捕まえるためにある。

 がっちり挟んで逃がさないのだ。


 この特性を生かしたい気もするが……。

 防具として考えると突起が邪魔になってしまう。


 ゲームでは(ヤイバ)が突き出た鎧を見かけるが、

 そんなものを着て動き回ったら大ケガしてしまうだろう。


 とくに俺は転がったり壁を登ったりするからな。

 鋭い刃ほどでなくても、引っかかると困る。



 トゲ以外の特徴といえば、軽さである。

 前腕の外骨格は軽いのに硬い。


 硬さや強度が似ているのはポリカーボネートだ。

 フルフェイスヘルメットの面や、

 リンの透明トンファー盾に使っている。


 強度だけなら上質な鉄鉱石には劣る。

 これは前に試した。


 しかし鉄は重い。

 俺にとって重さはデメリットになる。

 だから装備に鉄を多用できない。


 そういうわけで、カマキリ素材の軽さはかなりのメリットだ。



 まずは自分用の防具を作ろう。

 使い心地を確認して、良さそうならリンたちの分も作る方針で。


 ベースはもともと使っていた防具だ。

 最近は蛾対策もあって、ボディースーツを使うことが多い。


 これの金属部分を置き換えよう。

 埋め込んでいるので目立たないが、要所を補強している。


 重くなるので金属の補強は最小限にしていたが、

 軽い外骨格ならふんだんに使ってもいいだろう。


 一か所あたりの強度は落ちるが、

 カバーする範囲が増えるのでトータルの防御力は増すはずだ。

 そのうえ軽くなる。



「んじゃさっそく金属部分を置き換えて……」


 いや、待てよ?

 俺は【忍具作成】を発動しかけたところで、思い直す。


 置き換えてはいかん。

 素材がもったいないよな?


 最近、金属パーツを『上質な鉄鉱石』で置き換えたばかりだ。


 単純に置き換えると元の素材は消えてしまう。


 ダンジョン内に質量保存の法則など通用しない。

 倒したモンスターや捨てたアイテムが塵になって消えたりするしな。



 俺はクナイを取り出して台に置く。


「というわけで忍具作成君!

 防具から金属を抽出してクナイをコーティングだ!」


 忍者は無駄遣いをせず質素倹約するのである!


 ベースにするのは使い込んだクナイ。


 これは普通の『鉄鉱石』で作ったものだ。

 この表面を『上質な鉄鉱石』で置き換える。


 わざわざベースに古いクナイを使うのは、

 長く使うと武器が成長する説があるためだ。

 【中級忍具作成】の特殊効果の付与に影響する。



 だから作り直すよりリメイクするのが良い!


 【忍具作成】が発動――

 ――上質クナイの完成である!


 抽出して別の装備を作るという無茶ぶりにもすんなり応じてくれた。

 さすが、わかってるね!


 スキルも使うほど成長していく。

 熟練度とか好感度とか、そういうやつだ。



 続いてもともと金属で補強していた部分にカマキリ素材を入れる。

 サクッと作成成功!

 ボディースーツがアップグレードできたぜ!


 カマキリの前脚は複雑な形をしていて、

 そのままでは防具の中に入れ込むには適さない。


 このあたり、忍具作成君がいい感じに加工してくれる。

 加工が難しい分、魔石の消費量は多くなる。


 カネに糸目はつけないぜ!


 防具は命を守るもの。

 プライスレスである!


 ついでに【中級忍具作成】の付与効果も付け足しておこう!

 ダンジョン素材だから二つまで付与できるぞ!


 --------------------

 名称:未来忍者ボディースーツ

 見た目:

  黒色。

  ヒーロースーツやライダースーツ風。

  胸板などはレザーアーマーのように厚い。

  要所を防護板で補強して防御力を高めている。

  関節部は薄くしなやかで、動きを妨げない。


 説明:

  体にフィットしているので重ね着できる。

  オプションの手袋をつければ顔以外の皮膚露出がない。

  蛾の鱗粉対策として作成。


 メイン素材:

  丈夫なコウモリの皮

 サブ素材:

  上質な鉄鉱石 → 丈夫なカマキリの前脚

  クモ織ワイヤー

 付与効果:

  強度強化2



--------------------

 名称:クナイ(上質)

 見た目:

  表面を上質な鉄鉱石でコーティングしたクナイ。

  全長三十センチ。

  刃渡りは二十センチほど。

  持ち手には柄糸(つかいと)を巻いている。

  柄の先端は輪になっている。


 説明:

  両刃なので左右どちらの手でも扱える。

  【片手剣】【忍具】扱い。

  【打撃武器】としては扱えない。


 メイン素材:鉄鉱石、布

 サブ素材:上質な鉄鉱石

 付与効果:威力強化、強度強化

忘れがちなので装備品をメモっておく!

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― 新着の感想 ―
漫画ヒットマン・マンティスだと蟷螂の鎌形状のトンファーが出てきますねぇ。
[一言] 強化外骨格… なんか英霊とか宿ってません?
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