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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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VSボス戦! 隠密対策は万全で!?

 大扉を抜け、ボス部屋へ入る。

 十階層に似た広い部屋だ。


 何本もの柱が伸びている。

 天井は高く、柱の上部は闇に沈んでいる。


「んー。クモ部屋に似てるっス」

「いやな雰囲気ですねー」


 トウコはきょろきょろと。

 リンはおっかなびっくりという様子。


「気を抜くな。姿は見えないが、いるはずだ」


 壁には松明がかかげられている。

 揺れる炎は影をゆらゆらと揺らし、不気味な雰囲気を醸す。


 ボスの姿は見当たらない。

 やはり隠密で潜んでいるのか。


 柱の裏、闇に沈んで見えない天井。

 どこもかしこも怪しく見えてくる。


 まあ、想定通りと言えよう。



 俺は術を集中しながら言う。


「じゃあさっそく、ぶっ放すか! リンは奥。トウコは上を頼む!」


 俺は手前を狙うつもりだ。


 リンが手を突き出し、トウコはショットガンを上に向ける。


「はーい! ――ファイアボォール!」

「りょ! ――ピアスショットっ!」


 火球が飛び、薄暗い部屋が照らされる。

 銃声がとどろき、散弾がバラまかれる。


 薄暗い室内で、ちらちらと何かが動く。


 炎の灯りに照らされて、ちらりと見えたのはカマキリだ!

 やはり潜んでいた!

 しかも複数いる!


 火球が作った灯りが柱の裏に潜むカマキリの影を落とさせる。

 柱の上や壁面に張り付いた姿もある。

 ひっそりと息を潜むように身動きを止め、黒い瞳でこちらを見ている。


 火球が通り過ぎ、その姿が闇に消える。


 部屋の奥へ炸裂した火球が大きな炎をあげる。

 敵へ直撃はしなかったようだ。

 燃え上がったのは壁だけだ。


 部屋の奥が炎に照らされる。

 そこにいた何かの影が大きく伸びる。


 奥になにか居る。

 細長いシルエット。

 カマキリの影にしては大きい。


 角度のせいでそう見えるだけか……?


 炎が消える。

 もう姿も影も見えない。



 奥は後でいい。

 俺は手前を狙う。

 術の準備はできている!


「忍法――水噴射!」


 両腕をそろえ、足に力を込める。

 足裏を吸着し、全力で水流を放つ!


 強い反動と共に水流が噴き出す。

 狙うのは、炎のおかげで把握できた敵が潜んでいる場所!

 手前から順に、柱の影を探るように狙いをつけていく。


 水は放物線を描いて(ほとばし)る。

 そして――水流が見えない何かに当たって水しぶきをあげる。


 当たったようだ!

 水に押し流されて姿を現すカマキリ。


 その数は一匹や二匹に留まらない。

 五匹、六匹……それ以上のカマキリが奥へと押し流されていく。


「いたぞ……! カマキリが()()()()()()!」

「上にもいるっス! うへぇ!」


 ぼとぼと、と散弾を食らったカマキリが落ちてくる。

 それを見たリンが少し震えた声で言う。


「ま、魔力の反応はありませんでした……!」


 つまり隠密状態!

 複数のカマキリが潜んでいたのだ!



 俺は放水を続けながら叫ぶ。


「ゴブリンのときのような集団パターンだ!

 囲まれないように気をつけろ!」


 ボスは一体とは限らない。

 十五階層ではゴブリンの集団だった。


「はいっ! ファイアボールっ!」


 リンが放った二発目の火球が、

 水流に押し流されて壁際にまとまっていたカマキリ達に向かう。


 俺の出した水は一定時間で消える。

 水気が消えたカマキリ達はいともたやすく燃え上がった。



「うらうらっ! 落ちろカマキリッ!」


 トウコはショットガンを上へ向けて連射している。

 その度に、撃ち落とされたカマキリが落ちてくる。


 カマキリ達は柱や天井に張りついて待ち伏せしていた。

 潜んでいるところを撃ち落とされ、なすすべもなく撃墜されている。


 隠密はバレると脆いからな。

 ただ隠れていてもダメなんだぜ!



「ぜ、ゼンジさん……!

 奥のほうに魔力の反応があります。大きいです……!」


 リンの言葉に、俺は部屋の奥を注視する。

 先ほどちらりと見えた大きな影か。


 燃え上がるザコカマキリの炎のおかげで、その姿が俺の目に映る。


「デカいな……!」


 巨体のカマキリだ。

 これまで見たカマキリは褐色(かっしょく)系だが、こちらは緑色。

 腹や胸は他の個体よりもふっくらとしていて厚みがある。


 背が高く、手足は長い。

 前脚を高く掲げ、胸の前で拝むようなポーズを取っている。


 黒々とした複眼がこちらを睨んでいる。

 そう見えるだけだが……迫力を感じる。


 こいつがリーダー個体か……!

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[一言] 巨大虫の集団は素直に怖い!
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