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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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二十階層・攻略準備とボス予想!

 二十階層はボス部屋があるフロアだ。


 ボス部屋の前後には安全地帯がある。

 もちろん、念のための索敵や罠チェックは行った。

 敵影無し。罠もない。


 俺たちは巨大な扉の前で車座になって座り、

 リンが用意してくれた弁当をつまんでいる。

 美味い!



 俺は二人の顔を順に見ながら言う。


「休憩を終えたらボスを攻略するつもりだけど、いけるか?」


「はい。大丈夫です!」

「いつでもいけるっス!」


 二人の表情はやる気充分。


 弾丸、魔力、物資に問題はない。


 疲れもなさそうだ。


 順調すぎて調子に乗りすぎているとか、

 テンションが低すぎるといったこともない。

 よし、気分も安定しているな。


 リンは隠密カマキリに苦手意識を持っているようだが、

 対策もできたから問題はないだろう。



 俺は扉を見ながら言う。


「この先にいるボスはなんだと思う?」


「当然、デカ(イモ)カマキリっスね!」

「私もそうだと思いまーす」


 二人ともカマキリ説か。

 俺は一応、別パターンをあげてみる。


()もありえるが、ボス感がないしな」


 これは前にも考えたことだ。

 蛾のボスは考えづらい。出たとしても倒せそうな気がする。


 鱗粉対策のフルフェイスヘルメットも持ち込んでいるが、

 今は使い心地のいい鉢金を身につけている。


 頭部を覆うと回避に影響が出るからだ。

 防御力が上がっても回避力が落ちればトータルでの危険度が増す。


 蛾が出る階層を通るするときにはヘルメットをかぶってきた。

 今はリュックサックに入っている。

 戦闘が始まったらリュックは邪魔にならないよう床に降ろしている。


 今回はボスと戦うつもりだから、各種対策アイテムも持ち込んだ。


 カマキリ、クモ、コウモリ、ゴブリン、蛾。

 なにが出ても対応できる。


「じゃ、カマキリを前提として作戦を考えるか」


「ボスカマキリも隠れるんスかね?」

「クモさんは隠れてましたねー」


 十階層ボスのクモは音を立てず、魔力知覚を欺いた。

 隠密持ちは厄介だ。


「そうだったな。ここのボスも隠密持ちと考えておこう」


 ザコカマキリですら隠密持ちなのだ。

 ボスはより上位の隠密を使う可能性がある。


 強力な隠密能力にはおぼえがある。

 目の前にいても姿が視認できない。

 いるとわかって目を凝らしていてもボヤけてしまうほどだ。


 リンのストーカーはそういう能力を持っていた。

 しかし活かしきれてはいなかった。


 せっかくの高い隠密能力も、ペラペラしゃべっていては台無しだ。

 姿を隠せるアドバンテージを捨ててしまっている。

 ウカツな奴。

 ま、そうじゃなかったら、どうにもならなかっただろう。

 いや、その上でもどうにもならなかったのだが。

 それは置いておこう。


 それとは違ってカマキリは鳴かない。

 ウッカリ声を出すような器官を持たない。

 だから隠密にはうってつけだ。


「んじゃー、ぶっ放し作戦っスね!」

「そうだな。ボス部屋は広いだろうしな。

 分身で釣るより、ぶっ放したほうがよさそうだ」


 コストの問題からイマイチに思えたぶっ放し作戦。

 しかしボス部屋ではこちらが有効だろう。


 ボスとはどうせ戦うのだ。

 ならば、こちらの位置がバレてもかまわない。


 ボスを不意打ちで暗殺するってのは試したことがなかったな。

 扉を開けなきゃボス部屋に入れないし、忍ぶ選択肢がなかった。


 ソロプレイならアリかもな。



 ボス部屋なら派手に音を立てても増援の心配はない。

 両側を安全地帯に囲まれているし、扉で閉ざされてもいる。


 リンが胸の前でパンと手を打つ。


「いいですねー!

 カマキリさんを見つけるのは難しいなーと思っていたので、

 気が楽になりましたー」


 その表情にはありありと安堵が浮かんでいる。


 見つけられないのは仕方がないと言っておいたのだが、

 やはりプレッシャーを感じていたんだな。


 責任感が強すぎる。

 そんなに気負わなくてもいいのにね。


 誰だって完璧にはできない。

 俺だってできない。


「リン。あんまり気負わないでくれ。

 完璧にこなそうなんて考えなくていい。

 それぞれができることをやる。

 そうして力を合わせてやっていこう!」


 できないことは仲間を頼る。

 困ったことがあれば俺を頼ってくれればいい。


 俺がそう言うと、リンは頬を紅潮させてうなずいている。


「はい! なんとかゼンジさんの役に立てたらと思っていたんですけど……。

 二人で力を合わせて……すごく……すごくいいですねー!」


 二人で、とは言っていないが……。

 リンは顔をほころばせて俺の言葉をかみしめるようにうなずいている。


 喜んでいるようなので、訂正しなくてもいいか。



 トウコがぐっと両手を握りながら言う。


「そーっスよ! リン姉も店長もすごいっス!

 あたしはおいしいご飯も作れないし、エロい装備も作れないっス!」


 エロい装備て。

 ホメるポイント、そこなのかよ!


 必要性と実用性を追い求めた結果である。

 いわば機能美。

 エロさはおまけである。



「さて。じゃあ行くぞ! 気負わず、油断せず、全力でやろう!」

「はーい!」

「やったるっスよー!」


 俺は大扉を押す。

 ごごご、と軋むような音をたてて重い扉がゆっくりと開いていく。


 俺たちはボス部屋へと足を進めた。

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[一言] くっ、今回はクイズにならなかった!
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