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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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クローゼットダンジョン・十九階層!

 階段を発見した俺たちは休憩を入れる。

 物資も余力も問題なし。

 そのまま先へ進む。



 十九階層も迷宮風である。


 石畳(いしだたみ)の床。レンガのような壁。

 壁掛け松明のおかげで最低限の明るさがある。


 通路と部屋が続く。

 部屋は少なくて、迷路のような通路が続いている。


 行き止まりに突き当たることもあった。

 トウコは不満げにするが、俺はマップを埋められて満足だ。



 通路の分岐や曲がり角は常に直角。

 定規(じょうぎ)で引いたようなキチっとした作りになっている。


 曲がり角にはカマキリが待ち構えていることがあるが、

 対策が分かった今、たいした障害にならない。

 楽勝である。


 【魔力知覚】で見つけられないカマキリが現れると、

 リンの表情が暗くなり、申し訳なさそうに謝罪してくる。


 カマキリの【隠密】はそういう能力なのだからしょうがないんだけどね。

 気にしないで欲しい。


 引き続き、この階層にも罠がある。

 矢の罠だ。

 これも対策済なので、引っかかることはない。


 曲がり角で分身を先行させ、ローラーで床のスイッチを発見する。

 罠が起動しても、俺たちに当たることはない。

 こうしてコツコツと蓄光塗料でマーキングしていく。


 トウコはわざと踏んでバッティングセンターごっこをやりたがるが、

 先を急ぎたいのでやめさせる。



 部屋を探索して宝箱を発見した。


「ラッキー! 宝箱っス!」

「んじゃ、分身で開けるから部屋の外で待機してくれ」

「はーい」


 俺たちは通路まで下がる。

 罠がある場合を想定しての、いつもの行動だ。



 安全確保したところで、分身を操作。

 宝箱を開ける。


 ふたを開けると同時に、びぃん、と音がする。


 弓の弦がふるえるような音。

 罠だ!



 分身がびくりと震える。

 なにか衝撃を受けたようだ。


「あっ!」


 リンが驚きと心配の入り混じった声をあげた。


 通路にいる俺からは、詳細は見えない。

 音からして、弓矢を食らったのだろう。


 しかし分身は無事。

 無事というか、死ぬほどの威力はなかったのだ。



 俺は警戒しながら言う。


「魔力の反応はどうだ? 部屋に変化は?」

「あ、ありません。大丈夫だと思います」

「音もしないっス」


 分身を操作して通路側へ振り返らせる。

 小さな矢が、分身の胸に突き刺さっている。


「うへー。痛そうっスね!」


 トウコが分身の胸に生えた矢を引き抜こうとする。

 俺はそれを止める。


「触るなよ! 毒が塗られているかもしれないぞ!」

「うぇっ!?」


 分身の腕で、胸から矢を抜く。

 返しのようなトゲのついた、細く短い矢である。


 引き抜いてすぐに矢は塵になって消えてしまった。


「分身さん。痛そうですねー。大丈夫でしょうか?」


 分身の胸には小さな穴が開いている。

 血は流れないし、内臓も見えない。


「痛みはないから大丈夫だ」

「そ、そうですよね。でもやっぱり心配で……」


 分身は俺の姿を模しているが、人間の体とは違う。

 とはいえ痛々しく見えるのは確かだ。


「ああ。心配ありがとうな」


 そう言いながら分身を消す。


 そして新しい分身を入口へ配置する。

 敵が現れたら手を打って音を立てるように条件を設定しておく。


 俺は室内に戻って宝箱を確認する。

 中には小さなボウガンがあった。

 ここから矢が発射されたのだ。


 箱を開けると発動する罠。

 この手の罠は怖い。


 前に閃光と爆音の罠を食らって痛い目を見た。

 その経験のおかげで、こうして対策ができている。


 レベルとは違う生の経験も、ちゃんと身についている。

 成長成長。


「中身はなんスか?」


 宝箱の中身を取り出す。

 瓶だ。液体の入った瓶。


「黄色……状態異常回復(リカバリー)か?」

「うーん。光の加減かもしれませんが、オレンジ色にも見えますねー?」


 言われてみれば、そうかもしれない。


 俺は手に取ったポーションを松明にかざして、まじまじと眺める。


 黄色系統の色であることは間違いない。

 しかし赤々と燃える松明の灯りのもとでは見分けはつかない。


 でもリカバリーポーションの色とは少し違う気がする。

 新種のポーションだろうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] アイテムの判別方法… 今の所はリンちゃんのシステムさんくらい?
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