十八階層リベンジマッチ! 作戦会議!
リンとトウコが戻ってきた。
【中級薬術】の付与効果も気になるが、それは後でいいだろう。
攻略を始めよう!
「ゼンジさん。それで、今日はどうするんですかー?」
「カマキリ退治っスよね!」
「十八階層の続きだ。前回の課題は憶えているか?」
「カマキリさんを見つけられなかったことですねー」
俺はリンの言葉にうなずく。
「そうだ。【隠密】らしきスキルで【魔力知覚】をすり抜けるカマキリがいたんだよな」
「ほとんど見えないので、気をつけるだけじゃ難しそうですー」
リンの索敵に頼りすぎてはいけない。
打開策はもうわかっているが、別の案も聞いてみよう。
「帰り道のように分身を先行させればいいが、他の案はあるか?」
トウコが元気よく手をあげる。
「はいはーい! とりあえずぶっ放すのはどうっスか?」
「角だと先が見えないが、跳弾かカーブショットを撃ち込むのか?」
【リコシェショット】は跳弾させるスキルだ。
だけど反射する角度がイマイチなので、通路の角ごしに当てるのは難しい。
【カーブショット】は弾道を曲げるが、急角度にはできない。
九十度曲げるなんてことはできないのだ。
「それはなんでもいいっス!
リン姉の火魔法でも、店長の水鉄砲でも!」
「うん。トウコちゃんが言ってくれたみたいに、
ファイアウォールなら、角の向こうでも大丈夫だねー」
「水噴射を曲げるのは難しいけど、通路ごと押し流すことならできそうだ」
【水噴射】を【操水】で曲げるのは難しい。
しかし壁に水流を当てれば、水は勝手に跳ね返る。
カマキリが潜んでいようが、クモの巣が張っていようがお構いなしだ。
「バッチリっスね!」
「うーん。まあ、魔力消費に気をつければイケるか!」
リンは嬉しそうに言う。
「ゼンジさんと私で、順番こですねー!」
「んじゃ、他の敵はあたしが撃ちまくるっス!」
「曲がり角のたびにぶっ放す作戦も悪くないな。試してみよう」
「いいと思いますー。分身さんがやられずにすみますから!」
分身の心配は無用だってば。
自律分身を捨て駒にはできないが、通常の分身なら痛くもかゆくもない。
「分身作戦より派手で楽しそうっス!」
派手て。
たしかに魔法や忍法は見た目に派手だ。
だが別の敵の気を引く可能性がある。
まあ、集まってきても倒せないことはない。
不意打ちを受けるよりはいいだろう。
通路が続く階層なので、大量の敵に囲まれる局面は少ない。
一人で攻略していた頃は囲まれてピンチに陥ったりもした。
だけど今は三人だ。
囲まれても対処できる。
「じゃ、分身とぶっ放し作戦の両方を試しながら進もう。準備はいいか?」
「弾丸はバッチリっス!」
「準備できてまーす!」
二人に作った丸薬を手渡す。
俺は管理コンソールに歩み寄り、画面を操作。
手をつないで転移モノリスで十階へと飛ぶ。
さあ、攻略を再開するぞ!




