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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ニンジャ VS レンジャー! その2

 踏み込んで掌底!

 ――避けられた。


 スナバさんは上半身をそらしてかわしながら、俺の手をつかもうとする。

 その動作は自然すぎて危機感を覚えないほどだ。


「――ッおおっ!」


 なんとか腕を引き戻して背後へ飛び退く。

 だが息をつく暇はない。

 下がった俺にスナバさんが肉薄している。


 スナバさんが短く息を吐く。


「ふっ!」


 そして手が伸びてくる。

 既に背後に飛んでいる俺にはどうすることもできない。


 俺の肩に衝撃。

 たいした威力じゃあない。

 痛みもない。


 だがバランスを崩されてしまった。

 動きが鈍る。

 次の一歩で距離を離そうとするが、うまく踏みきれない。


 そこへスナバさんの追撃が来る。

 喉元へ伸びてきた手。その腕を振り払う。


 と同時に、足に衝撃。

 ぐるり、と視界が回転する。


 ふわりと浮かぶ感覚。

 足を刈られた!?


 腕で視界を遮っておいて、足元を狙われたのだろう。



 だが、まだだ!


 身をよじって床に手をつく。

 足を振り上げ、スナバさんのアゴ先へと打ち込む。


 しかしスナバさんはこれを避けて一歩下がる。


 俺はそのままバク転の要領で背後へ着地。

 着地と同時に低い姿勢で突っ込む。


 足裏に反発を生み出して加速する。

 離れた距離を一気につめる。


「うりゃっ!」


 下から上へと顎を打ち上げるような掌底を放つ。

 と見せかけて狙いは足元!


 踏み込んだ勢いそのままに、つま先を踏み潰し――


「ふっ!」

「うおっ――」


 足を踏むはずが、妙な手ごたえ。

 それと同時に上半身へ軽い衝撃を受ける。


 俺はその場に転倒する。


 ずだん!

 なんとか受け身は取れた。


 肺の空気が絞りだされ、息が詰まる。


 くらったのは打撃ではない。突き飛ばしだ。

 俺は背後に倒れ込んだらしい。




「きゃあっ!」

「急に転んだっス!」

「おおっ!? すげーな!」


 リン、トウコ、オカダがなにか言っているが、

 俺の耳には入らない。


 ……なにをされた?


 足を払われた?

 いや、払われたのとは違う。


 俺の攻撃は命中した。

 しかし打点をズラされたのだ。


 スナバさんはわずかに足を前に出しただけ。

 その結果、俺のストンピングは(すね)をこするだけの結果に終わる。


 体重をかけた一撃がズラされたことで、俺の体勢がくずれた。

 それと同時に胸への突きか。



 俺は起き上がろうとするが、もうスナバさんは距離を詰めている。

 まずい! 追撃を入れられる間合いだ!


 しかしスナバさんは追撃を入れずに待ってくれている。


 俺は倒れた状態で両手を上げる。


「……参りました」


 鮮やかに決められてしまったな。

 スナバさんが手を差し出してくれる。


「もう一戦やるか?」


 俺はスナバさんの手を借りて立ち上がる。


 転んだだけなのでダメージはない。

 まだやれる。


「はい。もう一回!」



 もう一回とは言ったが、何度も再戦してもらった。

 その度に何度も投げ飛ばされた。



 俺が攻めなければ、スナバさんが攻めてくる。

 けん制やフェイントはほとんど通じない。


 体重を乗せた攻撃はかわされる。

 そしてそのまま投げへ。


 速度重視の攻撃は払われるか距離を取られる。

 当てても有効打にはならない。


 無理のある連打をすれば崩される。


 壁に近づくとスナバさんはすっと引く。

 壁や環境利用はできない。


 吸着や反発、アクロバティックな動きは効果がある。

 それも通じるのは最初だけ。


 何度も同じ手は通じない。すぐに対応されてしまう。

 俺もそれに対応して、さらに新しい手を打つ。


 その繰り返し。

 そうしている間に、だんだんと俺の攻撃が当たるようになっていく。


 それでも一本取れるのはまだまだ先だろう。

 そうそう簡単に勝てるものではない。


 でも、掴めたものは大きい。

 一戦ごとに新しい気付きがある。



 安全が担保された戦い。

 だからこそ積める経験がある。


 ダンジョンでの戦いには命がかかっている。

 どうしても安全第一の立ち回りになってしまう。


 参りました。と両手をあげてもモンスターは許してくれないからな。

 余裕を残して戦わざるを得ないのだ。


 実戦とは違い、命がかかっていない。

 それがいい結果となる。



 実にいい。

 ここに滞在している間、時間を作って訓練をつけてもらおう!

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― 新着の感想 ―
[一言] もはやスナバさんは師匠、スナバセンセイと呼ぶべきだな!
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