スパークリング・スナバん!
オカダがせがむので二戦目。
オカダはジャブを主体とした戦いに切り替えた。
やはり対策されてしまったか。
壁際にも行けない。
小刻みな攻撃は避けきれず、俺の負け。
三戦目。
反発の術で拳をそらして反撃を入れる。
吸着の術で拳を受け止め、そのまま投げへ。
これは俺の勝ちに終わった。
「んじゃもう一戦だ! 次は勝つぜ!」
「いや、待て待て。俺のケガはオカダと違ってすぐには治らないんだよ。今日はここまでだ」
もう体中がアザだらけだ。
続けてもいい結果は出せない。
後でポーションを使わねば。
「んー。そうか……」
オカダは残念そうだ。
ちなみにオカダのケガはすっかり治っている。
さすがの回復力!
ズルいぜ!
スナバさんが俺たちのほうへやってくる。
「いい勝負だったな、クロウさん。オカダ」
「ああ。そう言えば、スナバさん。なんで俺だけさん付けなんです?」
御庭やサタケさんのことも呼び捨てにしているのにね。
俺のほうが年下だろうし。
どういう基準なんだ?
以前はトウコのことはアソさんと呼んでいた。
苗字にさん付けである。
今は苗字の呼び捨てになっている。
スナバさんが淡々と言う。
「クロウさんは部下じゃないし、教えたこともないからな」
ふむ。なにかを教わるとサンが取れるのか。
俺やリンもスナバさんに教わればいいのか。
トウコがニマニマしながら言う。
「あたしが呼び捨てになったのは好感度アップしたからっスね!」
「じゃあ俺の好感度が低いのかよ! そういうことじゃないだろ!」
トウコの好感度は見捨てられるギリギリだったろ!
俺が頼んだから訓練してもらえたんだぞ!
スナバさんが不思議そうに言う。
「妙なことにこだわるんだな。気になるなら呼び捨てにするが……」
「そうしてください」
「私もおんなじでお願いしまーす」
リンも便乗してきた。
「ではクロウ、オトナシ。俺のことも呼び捨てでかまわん」
「スナバ……さん、を呼び捨てにするのはしっくりこないので……呼び捨てはそのうちで」
スナバさんやサタケさんには敬意をもってサンをつけたい。
リンも辞退した。
「そうですねー。私は人を呼び捨てにするのはあんまり得意じゃないので……」
トウコがシュバっと手をあげる。
「じゃあじゃあ! あたしはスナバんって呼ぶっス!」
「やめろ」
スナバさんは即座に断る。
トウコはちぇーっと唇を尖らせた。
オカダがずいっと前に出る。
「呼び方はなんでもいいけど、早くやろうぜ! あんたが訓練つけてくれるんだろ?」
「ああ。では始めるか、オカダ。ルールは同じでいいな?」
「おう!」
俺とオカダが決めたルールはスナバさんも聞いていた。
二人が道場の中央で向かい合う。
オカダはやる気満々でファイティングポーズ。
スナバさんは淡々と構える。
俺はタイマーを押しながら言う。
「では三分間で。――開始!」
スナバさんとオカダの格闘訓練がはじまる!




