表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1001/1500

訓練はスパーリングで!

 公儀隠密の地下。その道場。


 スナバさんがコガさんに格闘の基礎を教えている。

 その間、俺はオカダとスパーリングをすることになった。


「じゃあルールを決めよう。今日は格闘の訓練だ。打撃(だげき)の訓練じゃないから、投げや関節技もありにしよう」

「オーケーオーケー! じゃ、やろうぜ!」


 さっそくオカダはファイティングポーズを取る。


 いや、まてまて。

 ちゃんとルールを決めよう。


 俺はオカダを手で制止しながら言う。


「スキルはありな。だけど俺は分身や水忍法は使わない。使うと格闘の訓練にならないからな」


 【水忍法】はスキルレベルの制限で使えない。

 【分身の術】や【入れ替えの術】を使うと格闘の訓練としては微妙になる。

 せっかくの訓練なので、なるべく体を動かしたい。


 オカダは拍子抜けしたような顔だ。


「ん? 使っていいぞ? 俺の【自己治癒】だって、勝手に発動するしよ」

「あ、そこなんだが、俺はケガをしたくない。だからグローブあり、防具ありで頼む」


 俺は投げたり掴んだりできるように指が出た(オープンフィンガー)グローブをはめる。

 オカダはボクシンググローブを選ぶ。


「そりゃいいけど。そっちは武器を使ってもオーケーだぜ?」


 オカダはグローブをつけての殴り合いに慣れている。

 俺は慣れていない。


 というか、俺は武器を使う忍者であって、殴り合いは専門外。


「格闘の練習だし、武器はいらない」

「それじゃ、俺に有利すぎねーか?」


 オカダは少しつまらなそうな顔だ。


「有利になるのに、不満か?」

「そりゃ、弱いヤツに勝ってもつまんねーだろ」


 あ、そういう発想なんだ。

 勝つのが好きなんじゃない。戦うのが好きなんだ、ってやつ。

 強いヤツに勝つ、あるいは強いヤツと戦うこと自体を楽しめるタイプ!


 戦闘狂である!


「素手は俺の専門外だ。もちろんボクサーと殴り合って勝てるとは思っていないさ。だから手加減してくれ」

「手加減、なぁ……。ま、オーケーだ! 楽しくやろうぜ!」


 オカダはつまらなそうに頭をかく。

 だが気を取り直したのか、笑顔を浮かべる。


 戦えればそれでいい、とでも思ったか。

 戦闘狂である!



 ヘッドギアをしっかりかぶる俺。

 軟弱と言うなかれ。


 だって、訓練でケガをするのは馬鹿らしいだろう?

 ポーションで治せるとはいえ、痛い思いはしたくない。



 タイマーをセットする。

 よし。準備できた。


「まずは三分だ。はじめようか!」


 と俺が言うやいなや――


「しゃあっ!」


 気合の声を上げ、オカダが踏み込んでくる。


 鋭く速いステップ。

 勢いが乗った拳はさらに速い。


 どう見ても、渾身の一撃!

 なにが手加減オーケーだよ!?


 しかし見えている。

 というより、こうなると予測していた。


 戦いたがっているオカダをじらして、誘ったのだ。

 小細工、心理戦である!


 一方、オカダは小細工や小技に頼らない。

 初手から最速、最高のストレート。


 読んでいたからといっても、簡単にかわせるものではない!


 俺は両腕を上げてガード。

 ――しようとしたが間に合わない。


 しかし俺のガードはギリギリでオカダの拳に触れる。

 もちろん、この程度では拳の威力を殺せない。


 それでも、わずかに拳の軌道をそらす。

 これで充分!


 俺は首をひねって、小さく回避。


 紙一重で避けようなどと考えたわけではなく、それしかできなかった。

 俺のこめかみをオカダの拳がかすめる。


 びっ、と熱い感覚。


 俺は足裏に反発力を生み出し、背後へ跳ぶ。

 一足で、拳の射程外へ。


「ふうっ――」


 あぶねえーっ!

 俺の額を冷や汗が流れる。



 オカダが嬉しそうに言う。


「おお! やっぱり避けやがった! なにが専門外だよ!」

「手加減してくれるんじゃなかったのか? なにがオーケーだよ!」


 殴り合いは専門外。

 でも回避は専門家。


 だけど、ギリギリだったな。

 わずかでも深く打ち込まれていたら、脳震盪(のうしんとう)を起こしたかもしれない。


 そうなれば終わり。

 一発食らうだけで俺の回避能力は落ちる。


 わずかでも鈍れば、次の一撃は避けられない。

 余裕など全くなかった。


 だが……このギリギリの緊張感!

 悪くないね!


 知らず知らずのうちに、口の端が笑みの形につりあがるのを感じる。


 俺は戦闘狂ではない。

 だけど戦いは嫌いじゃあない。


「楽しめそうだな! 本気でいくぜッ!」

「いや、手加減しろよ!?」


 格闘戦がはじまった。

昨日で千話達成!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 千話突破おめでとうございますm(_ _)m 私はこの話をそれなりに前から読んでる気がするのですけど、いつ頃から読み出しただろう…?
[一言] そういや1000話いってたね…早いもんだのぅ…おめでとー この調子なら2000でも3000でも続けられそうだなw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ