青春チャンネル生放送【BBAS編】
ささやかながらクリスマスプレゼントということで更新です。
まあでもクリスマスには予定が入っているであろう皆さんには、クリスマスが終わってからゆっくり読んでもらえたらなと思います。
「ある意味では一番の最高傑作にして、またある意味では切実に配信お蔵入りを願ったゲーム、BBASの振り返りといこうか。まずはなんと言ってもキハゲの登場シーンだよね。では、どうぞ」
アオハルがゲームの説明をしている横で、アカハゲがしたり顔で腕を組み直立不動の体勢をとっている映像が流れる。そしてそこに近づく一つの影、というかハゲ。
『どうも、Keyです。よろしくお願いします』
『なんで!君も!ハゲマッチョなんだよ!!なに、流行ってるの?君たちの中では余所行きのアバターはハゲのマッチョにするのがマナーなの!?』
「BBASはこの動画シリーズがハゲで染まることを決定づけたよな」
「この時点でアオハゲチャンネルとか言われてるしなぁ」
「僕ぁまさか後々もう一人増えるなんて思ってもみなかったけどね」
「この動画シリーズは3/4がハゲとマッチョでお送りしています。眩しさと筋肉が苦手な方は無理せず適宜休憩を挟みながらご視聴ください」
「画面占有率的には3/4どころじゃないんだよねぇ!」
比較的スマートマッチョなキハゲはともかく、アカハゲとチャハゲはゴリゴリの筋肉ダルマ。優男のアオハルに比べたら横幅も二倍近くあるので画面が筋肉でギッチギチだ。
そんな筋肉マシマシで送る生配信、次のシーンは……。
『あぁああぁあああ!!なんでそこで七分の二を引くんだよぉーー!?なんで……なんで……!』
『俺らより一ターン多く使って無職とかマジ?』
『確率はアテにならないという見聞が広まりましたね、無職さん』
『む゛ぉ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!』
「こんなにお約束のパターンを踏めるアオハルのことを俺は尊敬してるよ、なあ無職」
「よう無職、芸人になった方がいいんじゃねぇか?」
「親からのお小遣いで歩む不労所得人生は楽しかったですか?」
「この三人全員に地面の味を堪能させられるようなゲームジャンルって何があったかな……」
青が独り勝ちするジャンルねぇ。格ゲーなら俺が勝つしレースゲーなら茶管が強いし、ロボット操作系はきーちゃんがぶっちぎりだろうし……ガン・シューティングもみんなそこそこできるから独り勝ちには至らないだろうしなぁ。
コツコツ地道にリソースを貯めたりするのが得意っぽいから、ストラテジーゲームならいけるんじゃないか。どっちかというと三ハゲは瞬発的な思考タイプだし、先を見据える長期思考は青が一番優れてると思う。
「そしてここから当分は僕とアカハゲが不幸ルートを通るかたわら、キハゲが勝ち組街道を進むんだよね」
「そうそう、キハゲだけ全然マイナスイベントを引かなくてなぁ」
「それも途中までだったんだろ?お、ミニゲームのシーンみたいだぜ」
ああ、あの難易度がおかしいクイズゲームか。帝王学って何だ、マジでそんな分野あるのかよ。あるならちょっとやってみたいわ、帝王学。
『それでは第二問、ジャンルは【生物】。現在、ウミガメの現生種は二科・六属・七種とされていますが、その六属を全て「アカウミガメ、アオウミガメ、ヒメウミガメ、ヒラタウミガメ、タイマイ、オサガメ」A.KAさん、正解です!!』
「これに関して視聴者からアカハゲは何者なのかとコメントがたくさんきてるけど、この人は別に生物学者でもなければそういう学問を修めてるわけじゃないよ。ただザ・ライフ・オブ・オーシャンのヘビーユーザーなだけ」
「尻尾がないとか人間って不完全な生き物だな、とか抜かすくらいには人間やめてるぜ。間違いなく前世は魚だ。人間じゃない時の方が活き活きしてる」
「海中での戦いでは誰もアカハゲさんに勝てたためしがありません。というか人外の体を動かすのが異常に上手いです」
「よせ、照れる」
そこまで褒められたらさすがの俺でも表情筋が動く。というか褒められ慣れてないから止められない。えっ、そこまで褒めてないって?そんなー。
で、次のシーンは……ああ久しいな、我が妻よ。相変わらずアンバランスな体形してんなぁ。
「ん?なんだ、俺が読むのか。あー……『このゲームで自分の伴侶になったキャラクターの名前を憶えていますか?』だとよ。どうなんだ、オメェら?」
「カロリーナ=デ・ラッツァだな」
「ワディモヴィチ=ヴェルニゴラですね」
「えっちょっと待って、なんで君らその複雑な名前覚えてるの?えーっと、確か……八丁 琴乃さん?」
逆に複雑だからこそインパクトがあって覚えちゃうんだよな。小学生の時って無駄に円周率を死ぬほど覚えてるやつとか、どこで使うんだそれみたいな漢字を書けるやついたよね。
まあアオハルも正解したみたいだし、俺たちの愛は証明されたと言っていいな。カロリーは俺なんかにはもったいない、いい女だったよ……。
「そして最後……魔の六マス、だな」
「すぅー……はぁー……よし、今度は耐えられます。これはリアルタイムで見ましたからね、大丈夫です。無様を二度は晒しません」
ここは青春チャンネル最大の爆笑シーンだ、俺も気合を入れなければなるまい。ほらもう始まった。俺がエンディングに入った後、アオハルがカジノで一発当ててやがる。
『おわぁぁああああ!やった、大・逆・転だぁぁああああ!!ここ絶対に動画で使われるよね!?イエーイ、現在エンディング中のアカハゲ、見てるー?神様も憎い演出してくれるよねぇ!!』
「何度見ても超いい笑顔なのが笑える。すでに画面がコメントで見えないし」
「なんでこのシーンから始めたんだ!?言え!スタッフ、なんでだ!!」
そしてキハゲがゴールし、俺が映るホログラムウィンドウを傍らにアオハルが高笑いを始めた。
『勝ちを確信していた哀れなるハゲよ、どうしてこうなったか教えて欲しいかい?……ふっふっふ、カジノのマスに止まって、上限までベットしてルーレットで一点賭けしたらさぁ……これが大当たりしたのさ!!『終わりよければすべてよし』……本当にいい言葉だよねぇ!はーっはっはっは!』
「殺せー!いっそ僕を今ここで殺せー!」
「……っ!……ぁっっ……!!」
「ダメだな、もうキハゲが酸欠寸前だ」
「おーいカメラさんよ、ストップの準備を頼んまーす」
そしてニタニタ笑うアオハルが最後のスロットを回す。残りは2マス、2以上が出ればめでたくトップでゴールイン……なのだがそうは笑いの神と乱数の女神が許さない。
『ファーーー!?嘘でしょ、こんなところで七分の一を引く!?しかもこれ、さっき(ピー音)が踏んだところじゃん!い、嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁ!!』
【お金を持っていることが嫌になり、慈善団体に寄付をする。所持金が五百万C減る】
『おっおっ、おっおっおっおっ』
「――――――!!(スタッフを含めたほぼ全員が笑い転げて大変なことになっている音)」
スタッフさんが編集でつけたBGMの最高潮と共に映し出されたアオハルの絶望の表情。それに舞い踊る色文字コメントが花を添え、ホログラムウィンドウの中の俺とキハゲが爆笑の二重奏を奏でていた。
「君らは心の傷とかそういうのを考えよう!てゆーか、スタッフまで爆笑してるのは許さないよ!?アンタらがやるっていうからやってるんだからね、僕は!」
「ッハハハ!ハハハハハ、ハァ、ハァ……アオハルぅ、無理言ってスタッフさんを困らせちゃあいけねぇよ。ブッフォ!ああクソ、こんなキレーなフラグ回収初めて見たぜ!」
「ひゅー、ひゅー……し、死屍累々だ。キハゲとスタッフさん一人の魂が抜けてる……!」
アオハルは俺たちの大切なものを盗んでいきました、それは俺たちの酸素です。
アバターの俺たちは本当に息を吸ってるわけじゃないけど、脳と体に染みついた経験と常識がそうさせてしまうことがある。今のキハゲみたいに笑い過ぎてぶっ倒れたり、ゴミが目に入ることはないのに突風が吹くと目を手でガードしようとしたりな。
それはともかく、一旦カメラストップだ。生放送なのにこんなアクシデント多くて大丈夫なのか。
……………………
………………
…………
「おう、全員魂が戻ったな?んじゃあ仕切り直しといこうぜ。質問コーナーの時間だ!」
「軽く流そうとしてるけど、僕は今日この日を絶対に忘れないからね」
「そうカリカリするなよ。プロテイン飲むか?」
「なに?筋肉が足りないからこうなってるって言いたいの?僕もハゲマッチョになれって、そういうこと?」
まあハゲマッチョになるといろいろ吹っ切れるのは確かだけどな。大概のことはハゲマッチョというガワが受け止めて吸収してくれるっていうか。普段から付き合いのある身内しかいないとはいえ、俺も当社比三割増しで喋ってると思うし。
Q1:キハゲさんってぶっちゃけ中身女性では?
アオハル:なんて言えばいいんだろう、確かに中身は女性ではある……んだけど……。
キハゲ:そうですね、心は女です。それは私のアイデンティティなので明言しておきます。
「(あれ、意図的にそういう感じの言い方をしてるよな?という視線)」
「(どうせこういう質問が来るだろって打ち合わせしてたらしい。という視線)」
Q2:なんでアオハルこんな屑運なん?
アオハル:僕が聞きたいよ……。
キハゲ:最高の撮れ高を叩き出すので、ある意味豪運と言えるのでは?
チャハゲ:善きにしろ悪しきにしろ、持ってるってことは確かだな。
Q3:個性的な伴侶ができてるけど、みんなのストライクゾーンは?
アオハル:どっちかというと年下、かな……。強いて言えば、だけど。
キハゲ:私は年上ですかね。
アカハゲ:考えたこともなかった。チャハゲは彼女いるよな?
チャハゲ:そういうのポロっと言っていいのか……?まあ同い年のがいるけどよ。
Q4:ねえ今どんな気持ち?めっちゃ持ち上げられてからどん底に叩き落とされて、ねえ今どんな気持ち?(ラストシーンを背景に)
アオハル:この握り締めた右拳が時空を超えてあなたの顔面に届けばいいと思ってるよ。
アカハゲ:クッソ面白かった。
キハゲ:上に同じく。
アオハル:君らの顔面には届くんだからね?
「おっと、このままじゃあ乱闘中継になっちまうから次いこうぜ。いよいよ俺が登場して3ハゲ勢揃いのWILD BONDだ!」
大半が別行動だったWILD BOND、さてみんなはどんな風に動いていたのでしょうか。ドローンコントローラー状態でほぼ動いてないのが1人いますね……。




