それぞれの思い
「やっと来た弱い者たち。」
ガードの間に着いたレニキスとレティシアに対してケシュリが無表情で答えた。
「いやーケシュリさん正直アタックの間の勝負結果でケシュリさんに勝てる人はいないよ。」
レニキスは嫌味なくケシュリに向かって声をかけた。
「ケシュリさん、あなた相当すごい魔術師なのね。お互い競争相手かもしれませんがガードの間の試験参加者みんなで乗り切りましょう。」
レティシアそう言いながらケシュリに手を差し伸べた。
「気安くさわるんじゃないこの破廉恥エルフ。」
ケシュリはそう言うとくるりと向きを変えてその場から去って行った。
「ケシュリさん今の行動は僕は同じ魔術師を目指す者として見過ごせないな。」
その場から去り行くケシュリに対してレニキスが穏やかながら鋭い感じで言い放った。
「レニキス良いんです私は大丈夫ですから。」
「レティシア・・・。」
「私、サバイバル実習でもちろん上位10名を狙ってますけど、ただ狙ってるって理由だけじゃないんです。」
レティシアはそこまで言うと一呼吸おいてからこう口を開いた。
「なるべく自分と同じ試験を受けた人たちが無事に全部の試験を通過する事。それが私の願いなんです。もしかしたらレニキスもそう言う気持ちでサバイバル実習に臨んでいるのかなって思って。」
レティシアはそう言うと笑ってみせた。
「レティシア君って奴は・・・やっぱり僕は君たちと行動を共有出来て本当によかったと思っているよ。」
レティシアの微笑みに対してレニキスも笑って答えた。
「それじゃレティシア僕たちも協力しながら今からガードの間の試験を受ける参加者全員が通過出来るようにしよう。」
「わかりましたレニキス。」
レニキスの言葉にはっきりと頷くレティシアなのであった。
「ここがアタックの間か・・・あのレニキスの半分の時間でメカロボットを再起不能にしたケシュリ一体どんだけすごい魔術師なんだい?」
ケッシュがつぶやきながら考え込んでいた。
「どうだいケシュリは半端なく強いって事が分かっただろう?」
「セイズ・・・そんなにケシュリの事を評価するって事はあんたもしかしてケシュリに惚れてるのか?」
後ろから話しかけてきたセイズに対してケッシュが皮肉を言った。
「それはないね。彼女はあくまでも俺のペアファイトのパートナーみたいな者だからね。でも・・」
「でも?」
変な所で間をためたセイズに対してケッシュは怪訝な顔を浮かべた。
「ケシュリは間違いなくこのサバイバル実習で上位10名・・・いや5名には入るだろうね。」
「ふーんでも仲間の事を心配ばかり大丈夫なのかい?」
ケッシュが不敵にセイズに声をかける。
「ケッシュ俺はある意味お前やその仲間たちに注目してるんだ。ケシュリほどじゃないが時間ギリギリで雷の属性魔法でメカロボットを再起不能にしたレニキス・フェーゼル。1番最初のマジックの間の試験の時自分で水属性魔法を使いながら他の参加者たちを1人も脱落させる事なく導いたエルフの僧侶レティシア・アモーレン。それから1番最初のガードの間の試験で多数の脱落者が出る中見事とガードの間のからくりを見出し通過した剣士エッジ・ラングスタン。正直この3人は上位10名に入ってくる可能性がある選手だと思っている。そして何より俺が注目してるのが・・・」
セイズはそう言うと鋭い目をケッシュに向けた。
「第1、第2同じ試験を受けてみて直感したケッシュ・リマ俺はお前の事をライバルと認めた。」
「ほぉーそれはどうも・・・だけどアタイはあんたみたいな男は正直眼中にないね。」
セイズからライバル指名されるもそれをさらっと受け流すケッシュ。
「ははははそうそうそれだよケッシュ俺はお前のそう言うところが好きなんだ。」
ケッシュの受け流しに対してセイズは愉快そうに笑いながら答えた。
「ふんそれじゃこのアタックの間4番目の試験でどちらの実力が上かはっきりさせようじゃないか。」
愉快そうに笑うセイズに対してケッシュがそう決闘を申しこむのであった。
「ふうスピードの試験を通過して最後に4人でラックの間の試験を受けるぞ。」
エッジはそう心に決めると試験が始まるのを待つのであった。
「ははははやべーまずい事になった。」
マジックの間で苦笑いするトンローなのであった。
そんなそれぞれの思いをのせてサバイバル実習第4番目の試験がスタートするのであった。