フェイワーズの魔王と勇者の歴史について
キワメの特別レッスンからの帰り道、エッジはレティシアに自分の思ってる正直な気持ちを伝えた。
そんなエッジに対してレティシアは自分たちはチームなんだから頼ってくれて良いんですよと答える。
そして後日図書館につきあってくれと言いフェイワーズ教会へと戻って行った。
「レティシアはまだ着いてないのか・・・」
噴水広場にはどうやらまだレティシアが来ていないようである。
「仕方がないゆっくり待つとするか。」
エッジは噴水のふちへと座り込んだ。
「あっエッチの兄ちゃんだ!!」
突如聞きなれた声がしてエッジは声の方を向いた。
「あれ?お前ネクトじゃないか何でこんな所にいるんだ?」
以前の出会いの時の事を考え警戒するエッジ。
「ネクトだけじゃねーよ。エッチ。」
「レティシアお姉ちゃんになにかしたら許さないんだから!!」
ネクトを先頭に8人の子どもたちが騒ぎながら何か企んだ感じでエッジの方を見てくる。
むむむこのクソガキどもがそう思う気持ちをエッジは何とか心の中で収めた。
「こらーみんなエッジさんに何してるの!!」
遠くの方からレティシアがこちらに向かってやってきた。
「レティシア・・・・たのむ何とかしてくれ!!」
エッジはわざとらしくレティシアに縋りつくふりをしてみせた。
「あっ!!エッチ汚いぞ!!」
「レティシアお姉ちゃんの事けがしちゃダメなんだから。」
「はーい!!みんな一回お口にチャック。」
騒ぎ立てる子どもたちにレティシアがはっきりとした声で言い放った。
「は・はーい。」
ネクトを含め8人の子どもたちは全員静かになった。
やーいざまーみろこのクソガキども。
エッジはそう言う思いをこめてネクトたちの方にアッカンベーをしてみせた。
「こらエッジ君そう言う幼い事しない。」
「え・エッジ君いきなりどうしたんだレティシア?」
レティシアのいつもと違う態度に戸惑うエッジ。
「あははははエッチのやつレティシアに子ども扱いされてやんの。」
ネクトを先頭に8人の子どもたちは大笑いしている。
「さあエッジ君ちょっとこっちに来なさい皆はそこで待機してなさい。」
レティシアはそう言うとエッジを木陰の方へと連れていった。
「おい、レティシア何でいきなりエッジさんからエッジ君なんだ?」
エッジが不満そうにつぶやいた。
「その方が都合がいいです。って言うかこれが私が誘った本来の理由何ですから。」
レティシアはそう言うと笑顔でほほ笑んだ。
「本来の目的も何も2人で図書館に行くのが目的・・・」
とそこまで言ってエッジはある事を考えた。
「あ、あの図書館に行くのってもしかして・・・」
「はいその通りですよ。エッジ君。」
レティシアは珍しくいたずらっぽく笑うのであった。
「みんな今日はレティシア先生が皆を図書館に連れて行ってフェイワーズの歴史についてお話してあげるね。」
「はーいレティシア先生!!」
ネクトを始め8人の子どもたちは元気よく返事をするのであった。
「はーいそして今日はもう1人転入生のエッジ君も一緒に行きます。みんな仲良くするように。」
「はーいレティシア先生!!」
そう元気よく返事をするネクトを始め8人の子どもたちであったが隙あらば何かしてやろうと言う雰囲気がエッジにはぷんぷん匂ってくるのだった。
それにしてもレティシアが誘ってくれるから2人きりでゆっくりとフェイワーズの図書館でも回る事になると思っていたのが、まさかこう言う展開になるとは・・・
このクソガキども積年の恨み今に見てろよ。
そう心の中でつぶやくエッジなのであった。
「さー皆今日は何のお話が知りたい!!」
レティシアがすっかり先生になったような感じで子どもたちプラス、エッジに訊ねた。
「はいはーいレティシア先生、フェイワーズの魔王と勇者の歴史について教えてほしい!!」
ネクトが元気よく返事をしてレティシアの方を見た。
フェイワーズの魔王と勇者の話か・・・たしかに興味深い話ではあるな・・・
ネクトの方を見つつエッジは様子を窺う事にした。
「わかりました。それじゃ今日はフェイワーズの魔王と勇者の歴史についてお話するね。」
レティシアは一呼吸おくと全体を見回すような顔でゆっくりと語り始めた。
「今から500年前フェイワーズの世の中には魔王と呼ばれる存在がおりました。」
レティシアの語り始めにネクトを始め8人の子どもたちは息をのんだ。
「しかしその魔王と呼ばれる存在は始めから魔王であった理由ではありませんでした。」
その口上を聞いてエッジの頭の中のセンサーがぴくりと動いた。
「魔王と呼ばれるようになったその者はフェイワーズ基本五大属性魔法と今は失われし回復だけに特化した神聖魔法簡単に言うと命を操る事が出来る魔法が使えました。」
「すげーフェイワーズ基本五大属性魔法が全て使えた上に人の命を操る事が出来る魔法が使えるなんて。」
ネクトを始め8人の子どもたちは歓声を上げた。
「魔王と呼ばれるようになったその者は戦争でケガを負った人々に神聖魔法を使いたくさんの人の命を救いました。」
「ちょっと待てよそんな良い奴がどうして魔王なんて呼ばれるようになったんだよ?」
エッジは我慢出来ず気がつくとそう叫んでいた。
「しかしそんな魔王とよばれるようになるものを心良く思っていない者がおりました。」
「心よく思っていない者?それって一体誰何だよ?」
話の内容に納得出来ずエッジはもどかしそうにレティシアの方を見た。
「そう。それが勇者と言われた者です。」
「えっ・・・・・」
「勇者と言われたものは魔王と呼ばれるようになる者がこのフェイワーズの世の主悪の根源だと人々に流しそれを信じた者たちが魔王と呼ばれるようになる者を追い詰めて行きました。」
「そ・それでその魔王と呼ばれるようになる者は一体どうなったんだよ。」
「魔王と呼ばれるようになる者は悲しさのあまり心を捨てました。そして世の中にたくさんの魔物をたくさん世の中に呼び起こす事になりました。」
「そんなの当然じゃないか自分は悪くないのに皆から追い詰められたんだからこれじゃどっちが勇者だか分からないじゃないか・・・」
エッジは気がつくと自分が涙を流している事に気がついた。
「しかし心を捨てて魔王と呼ばれるようになった者にも皆から慕われ感謝されていた時の記憶がありました。」
「感謝されていた時の記憶?」
「その事を思い出した魔王は自らの手で神聖魔法を封印しその力の破片をフェイワーズ基本五大属性魔法に少しずつ分け与えそして自らの命を絶ちました。」
「うそだろ・・・そんな悲しすぎる話があるかよ!!」
「信じられないとは思いますがこれがフェイワーズの魔王と勇者の歴史の全てです。」
レティシアはそう言うと祈るように目を閉じてからゆっくりと目を開いた。
「俺・・・魔王って悪い奴だと思ってた。だけど良い奴だったんだな。」
「魔王さんせっかく皆のためによい事したのにかわいそう。」
子どもたちは口々にそう言うと涙を流して泣いていた。
お・俺は一体何て馬鹿な事をして名を上げようなんてしてたんだ!!
そう思いエッジは自分がトワル村を飛び出して来た時の無知だった自分の事をせめた。
「・・・・・・・・・。」
「ネクト?」
涙を流して泣いている子どもたちの中でただ1人無言で俯いているネクトの姿が目に入った。
「はい、みんな一旦休憩。レティシア先生が何かおごってあげる。」
レティシアは子どもたちにそう言ったかと思うとエッジの方を向いた。
その顔にはレティシア自身がエッジにひそかに伝えたかった事を伝えたと言うそんな使命にも似た達成感がにじみでているのであった。




