レティシアからの誘い
キワメがエッジ達に伝えたかった事、それは相手の属性魔法を感知する感受性を身に着けてもらう事だった。キワメが特別レッスンをしてまで自分たちに伝えたかった事の重みを深く感じるエッジなのであった。
「それじゃ、ケッシュちゃん、レティシアちゃんプラス1人また明日な。」
トンローはそう言うと実家である野菜畑クリアフレッシュの方へと帰って行った。
「そんじゃアタイも失礼するよ。」
トンローに続きケッシュも居酒屋ストマックハングリーの自室へと帰って行った。
「それじゃエッジさん私たちも帰りましょうか?」
「えっあーそうだな。」
レティシアの言葉にエッジは少し遅れて反応しながら一緒に歩き始めた。
「それにしてもキワメ様は流石ですね。相手の魔法属性に対する私たちの感受性を養わせるためにあえて4人纏めての特別レッスンを行ったんですから。」
レティシアが感動したような感じでそうつぶやいた。
「・・・・・なあレティシア。」
「何ですかエッジさん?」
エッジの言葉にレティシアが反応する。
「レティシアはエルフだから相手の魔法属性に対する感受性が育つのは早いよな。」
「えっ!!そんな事はありませんよ。ただほんの少しだけ早いってだけです。」
「ケッシュやトンローだって亜人種だからレティシアほどでないにしてもある程度早いよな。」
「たしかにそう言われればそうですね。」
レティシアがどうしたんだろうと言う感じでエッジの方を見る。
「俺さ、今日最後にキワメさんが言っていた、相手の属性魔法に対する感受性を身に着けるって事になんかうまく言えないけど物凄い重みを感じたんだ。」
「物凄い重み・・・具体的にはどう言う事ですか?」
深く考えながら語るエッジに対してレティシアが優しく訊ねた。
「俺、レティシアのおかげで割りと短い期間でまだ1つだけど火属性魔法を習得する事が出来た。そしてその後トンローやケッシュたちとも行動を共にする事で少しずつだけど属性魔法の習得にさらに一歩近づけたと思っていたんだ。」
「エッジさん。」
「だけど俺は自分の火属性魔法を鍛錬する事だけが頭にあって、自分自身で相手の属性魔法に対する感受性を磨くって言う事をやるどころか少しも考えて来なかった。」
「エッジさんそんなに思いつめなくても良いんじゃないですか?」
「えっ」
「エッジさんの何事にも貪欲で成長しなくちゃいけないって言う向上心はとても素晴らしい事だと思います。だけど私とトンローさん、ケッシュさんは今チームなんです。」
「たしかに・・・俺らはチームだけど・・・」
「だから何か深く考えたり、悩んだ時は遠慮せずに私たちに相談すれば良いんです。」
レティシアは穏やかにしかし強い意志を持ってエッジの方を向いて笑った。
「あのエッジさん明日って仕事が休みの日でしたよね?」
「あーそう言えばそうだな。」
「もしよろしければ一緒に行きませんか?私図書館に調べものがあるんですよ。」
「図書館か・・・そうだな行ってみるかな?」
「ありがとうございます。エッジさん。それじゃ明日噴水広場で待ち合わせをしましょう。」
「わかった楽しみにしてるよ。」
レティシアの誘いにエッジは快く返事をした。
「それじゃエッジさんお休みなさい。」
レティシアは手をふりながらフェイワーズ教会へと入って行った。
私たちはチームなんですから・・・その言葉に癒されるエッジなのであった。