国王直属女流剣士エレナ・フレイル
ツグナ街を出て何とかキンリーン王国にたどり着いたエッジ。
早速国王に会うために城へと向かうが兵士たちに入城を止められてしまう。
そこでエッジは自分が魔王を倒して英雄になると高らかに叫んだ。
しかしその声を聞いて出てきたキンリーン王国の国王にある重大な事実を言われてしまう。
「魔王・・・が存在しない。」
国王の言葉にエッジは言葉を失った。
「その通り今のフェイワーズには魔王は存在しない。」
国王はエッジの方を見据えながら淡々と答えた。
「ふ・ふざけるなそんな事ある理由が・・・」
「青年よ名をエッジとか言っておったな。」
「あ、そうだ。俺の名はエッジ・ラングスタン、フェイワーズ一流剣士の・・・」
「出身はどこだ?」
「はぁ?なんでそんな事・・」
「答えろ青年!!」
「と・トワル村だが。それがどうしたと言うのだ。」
「青年よ。お前はトワル村から我がキンリーン王国に来るまでの間魔物とは遭遇したのか?」
「そ・それはだな・・・」
国王の言葉にエッジは続く言葉が出てこない。
「続けて問おう。お前の装備は何だ。」
「う・ウッドソードとす・スキンローブです。」
「仮に魔王が存在していたとしてお前はその装備で魔王に戦いを挑もうと思っていたのか?」
「・・・・・・・」
国王の言葉にエッジは完全に絶句した。
「はははまさか今の世の中に魔王を退治して英雄になろうとか考えている奴が本当に存在したとはな。」
「しかもその事をわざわざ伝えに我れらキンリーン王国の国王様に伝えに来るとはとんだ間抜けだ。」
門番の兵士二人はそう言うと腹を抱え転げ回りながら大声で笑うのだった。
「トワル村出身のエッジ・ラングスタンよ。今のフェイワーズに魔王や魔物は存在しないが、せっかくキンリーン王国までやってきたのだ。我が国で仕事を見つけて剣の修行に励めばよい。」
国王はそう言うと城の中へと戻って行こうとした。
「・・・ふ・・・」
「・・・うん?なんじゃまだいい足りない事でも・・・」
「ふふふふふあはははははぁ!!!いやキンリーン国王よこのフェイワーズ一流剣士に剣の修行に励めとは真に面白い冗談ではないか?」
言うまでもないがエッジ・ラングスタンは完ぺきに思考が逝ってしまっている。
「このフェイワーズ一流剣士エッジ・ラングスタンの力を見せてやる!!」
次の瞬間エッジは全速力で走り出すと国王に向けてウッドソードをふりおろした。
「紅一突き!!!」
「なっ!!」
突如放たれた剣の一突きに対してエッジはその場に崩れ落ちた。
「ぐぅうあ」
「安心しろトワル村の青年急所ははずしておいた。」
エッジは痛みを抑えながらも声のする方に目をやった。
そこには深紅の髪をし茶色の眼をした一人の女流剣士らしき人物が立っていた。
「エレナ様戻っておられたのですか。」
兵士二人が深々と頭を下げた。
エレナと言われた女流剣士は国王の方に一礼すると。
再びエッジの方に顔を向けた。
「私の名前はエレナ・フレイル。キンリーン王国国王直属の女流剣士だ。」
「え・エレナ・フレイル。」
これが魔王を倒して英雄になる人生を求めていた自称一流剣士エッジ・ラングスタンの不本意な人生の始まりなのであった。