プロローグ
「俺、魔王を倒して英雄になるよ。そして王国から多額の報奨金を得てこの村を豊かにしてみせる。」
青年はそう言うと村の広場に集まった村人たちに向かって高らかに演説するのであった。
「はあ?魔王お前頭大丈夫か?」
「この村を豊かにして見せるって言われても特に困窮している理由でもないもんな。」
「おらたちは今のままで十分幸せだっぺよ。」
高らかに演説する青年に対し集まった村人たちはただ平然と聞き流すのであった。
「おい!!お前たちには向上心と言う物が・・・」
「って言うかお前なんだかんだ言って自分が目立ちたいだけだろう?」
「そうそうそして危うくば女性にモテモテのハーレム生活でも思い描いてるんじゃないか?」
「全くもって理由が不純だっぺよ。」
村人たちはそう言うとバカにしくさったような大笑いをするのであった。
「ぐぬぬぬぬお前たちじゃ話にならない、ここはやはり村長の意見を訊くべきだ。」
青年は期待した面持ちで村長の方に顔を向けたしかし。
「うん?なんじゃワシはここ最近ものすごく眠くてのお、一体何の話をしておったんじゃ?」
そう言うまでもなく村長は青年が高らかに演説する中完璧に爆睡モードに突入していたのである。
「ふん!!もういい誰が何と言おうと俺は魔王を倒して英雄になるからな!!精々バカにしてるがいいさ。」
青年はそう言うと怒りながら村を旅立つのであった。
しかしこの時青年はまだ知らなかった。
そうこれから待ち受けている人生が自分の思い描いている物とあまりにもかけ離れすぎていると言う事に。