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普通の学園ラブコメに彼と彼女はふさわしくない  作者: ダンデ
戦争開始へのプロローグ
1/2

男の暗躍

最初に伝えたいことは、僕は水無瀬優衣に幸せになってほしいだけなのだ、ということだ。


そこそこ都心の高校2年生である僕は普通の高校生活を送っている。


授業を受けて、休み時間には男友達と駄弁り、放課後にはバスケ部の活動をして、それが終わったら買い食いをしつつ家路につく。


そんな普通の生活を送っていた僕には幸せになってほしい人がいた。


彼女の名前は水無瀬優衣、黒髪を肩のあたりまで伸ばした優しげな目をした女の子で幼馴染でもある。

密かに校内では人気な女の子だ。


そんな彼女には高校1年生の3月に付き合い始めた彼氏がいる。


別に嫉妬はしていない。

というのも、自分の行きすぎた普遍、平凡さに伴うつまらなさを自覚している僕では彼女を幸せにはできないことを分かっていたからだ。


彼氏の名前は木下慎二、四人家族で妹が高校一年生でこの学校にいる。

顔は整っており、性格は実直で決めたことを貫くあつい心を持っている。

また純粋な男でどんな相手でも分け隔てなく接する男である。


他にも数ヶ月に渡って彼のことを調査して、水無瀬優衣にふさわしいと確信したからこそ裏から手を回して二人のキューピットとしてくっつけたのだ。



しかしそれは間違いだった。




_____



「こんな所に呼び出してなんの用かな?」

「わざわざご足労頂いてどうも、藤原さん」


藤原アリス、母方の血筋が北欧系で白金の髪は太陽の光の加減で眩く銀に輝いている。


彼女は日常的に告白の為に呼び出されており、それのおかげでこの呼び出しは対外的に不自然に映らないだろう。


そんな美少女然とした彼女に対して、僕は臓腑が煮え繰り返るほどの憎悪を抑えながら、素顔の一枚外側に仮面を被り、穏やかに話しかける。


「用件というのはね、木下くんについてなんだ。」


ここで彼女の顔を盗み見る、しかし訝しげにこちらを見ているだけで心当たることがないようだ。


印象をあまり残したくない為、あまり多くを話したくなかったが、もう少しこちらも情報を出して事情を引き出さなくては。


「最近君に告白を繰り返してる木下くんだよ、分かるよね?」

「あの暑苦しい子かぁ、困ってるんだよね」

「そうなの?木下くんあれでも顔はいい方だしこの学校で藤原さんの目に適うのなんてあそこらへんじゃないの?」

「うーん、授業で少し話すことがあってそれでいつのまにか告白されてたんだよね」


頬を掻いてこの女は言う

「君も知ってる通り、告白されたからお試しで寝たんだけど全然ピンと来なかったからはっきりと別れようって言ったはずなんだよねぇ」


この女は、入学したての1年生以外には有名な話なのだが誰とでも寝る女だ。

そしてすぐに捨てる。


なにがしたいのかだとかコイツの事情はどうでもいい。


俺がこの売女を呼び出したのはこの怒りをどちらにぶつければいいのかを見極める為だ。


「そうなんだ、実は後輩の子が木下くんのことを気になってるらしくてね。橋渡しを頼まれたんだけど、もしかして藤原さんこれから木下くんと付き合おうとしているんじゃないかな?と思って確認したかったんだ。」

「それはご苦労様だね、元々自分ルールで一回お試ししただけだし、これ以上試しても彼にはなにも感じないからそのつもりはないよ」


「自分ルールって相手から告白されるっていうこと?」

「そうそう!」


藤原アリスは笑いながら言う。

俺が確認したいことは確かめることができた、やはり木下が水無瀬優衣を裏切ったのだ。


さて、後は適当に藤原さんにお帰りいただけばいいだろう。


僕は努めて感謝の意を表情に浮かべながら言った。

「なるほどね。突然呼び出したこと、あと色々突っ込んだことを聞いてしまって申し訳ない。今日はありがとうね」


さて、確認は終わった。

次にやるべきことは…


「ねぇ?」

思考を遮るように藤原さんが僕に話しかけてくる。


「なに?」

「うーん、用件が私への告白じゃないないってことはもしかして好きな人いるの?」

「そ、れは」


数秒の間、どちらと答えたほうがいいのかを熟考する。


あまり嘘を吐きすぎると粗が出てしまうかもしれないと考え僕は仮面を外して答えた。


「あぁ、誰よりも幸せになってほしいと思っている女の子がいるよ」

「愛してるの?」


愛してる、そう言ったときの藤原アリスの声が重かった。


「…うん、その子のことを愛している」


見つめる碧眼が仮面を外した俺の眼を覗き込んでいるような気がした。



__________



まだ少し慌ただしい空気が残る高校の中を、僕は謎の呼び出しを受けて屋上へ向かっている。


自分も呼び出しには下駄箱への手紙を使ったが、僕もそれで呼び出されたことを鑑みるにまだまだ定番の手法なのかな?というようなどうでもいいことを考えつつ屋上への扉を開けるとそこにはまだ誰もおらず、いささかの拍子抜け感を味わった。


数歩歩くと突然ひとりでに扉が閉まった。


「やぁ!久しぶりだね!」


背後にはパソコンを持った藤原アリスがいた。



「こんな所に呼び出してなんの用件かな?」

「わざわざご足労頂いてどうも、立花くん」


僕の名前を呼ばれた。


印象立てないように敢えて以前は名乗らず、そしてこちらの名前を知らなかった藤原さんに名前を呼ばれた。


彼女への警戒を一気に跳ね上げる。


「ははは、前とセリフが入れ替わったね。」

「ふふ、うんそうだね立花くん」


やたらと名前を呼んでくる。


「それで、そろそろ用件を伺っても?」

「そうだね、まぁ色々と家の者に調べさせて用意してきた物も見せて説明しなきゃなんだけど…」


そして藤原アリスは言う。




「最初に伝えたいことは、私は立花一心くんを愛していて、そして私のことを愛してほしいだけということなの」

ふと思いついた設定をそのまま使ってます。

頭空っぽでいければいいなぁ

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