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想いの探し人  作者: 赤金ハト
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第3話

 男性達の一人は、ひどく怯えたように話始めた。

「この街の外の者にこんなことを語るのはとても恥ずかしいのだがね、ここ最近この街には殺人鬼が出るんだ。もう十人を超える犠牲者が出ている……。」

「殺人鬼……?」

「そう、殺人鬼だ。犠牲者は老若男女問わず関係性もないらしい。そしてその犠牲者の遺体はバラバラで

臓器がひどく損壊しているらしいんだ……。」


 そこまで話すと男性の顔はどんどん青ざめていき、他の男性達にもその空気が伝わったのか、皆一様に怯えた様子になっている。


「私はたまたま現場を見かけてしまったことがあったが、ひどいものだったよ……。あれはまるで……。」

 そこで男性は他の客に聞こえないように声を一段低くして、カインの身を近づけた。

()()()()()()()()()のようだった……。」

「何かってなんです?」

「獣人が入り込んだと思っている街の者も多い。」

「いや、ちょっと待ってください。」

 そこでカインは話を遮った。


「確かに人を食べるという獣人がいないわけではないですが、あれは呪術的な信仰をもった未開の部族が儀式として行っているものです。こんな栄えた都市にそんな獣人が出てくるとは思えません。」

「そうは言っても、あんな野蛮なことをするなんて他に考えられんよ。」


 獣人族は、聖書の中で神から魔法を与えられなかったことや決まった国を持たずに傭兵として戦争に参加するという姿勢から、歴史的に他の種族よりも位が低いという扱いをされることが多かった。またそのため、地域によってはまた根強い差別意識が残っている。そういった背景から未だに入国を禁止する国や都市もあり、ロードもそういった都市の一つである。


「おっともうこんな時間か。そろそろお暇させてもらおうかね。」

カインの反論も途中にして、男性の一人が独り言のように呟いた。それをきっかけに他の男性達も席を立ち始めた。

「おお、本当だ。私もあまり遅くなると家内が心配するのでね。」

「こんな話をした後でなんだが、お兄さんも良い旅を。」


「貴重なお話ありがとうございました。アルベルト先生の所に行ってみます。」

「うん。彼はいい人だから、きっと事情を聞いてくれると思うよ。」


(さて、僕らもそろそろ行こうかな)

 

今回の旅の目的とこの街に起こっている事態の情報取集ができたので、カインも残っているコーヒーを急いで飲み干す。

そこでアッシュの存在を忘れていたことに気づき、彼の方を見ると余程退屈だったのかすっかり舟を漕いでいた。カインはそこでまた苦笑いをするのだった。


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