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名族朝倉家に栄光あれ  作者: マーマリアン
良き結末とその覚悟
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第4話 まず何をしようにも数え3歳児一人で出来るわけないよね

お読みいただきありがとうございます。



1542年2月


戦国では生まれたての乳児を一歳とカウントする。いわゆる数え年システム。これに(のっと)れば俺は3歳児となる。



そんな俺は今現在勉学に励んでいる。

漢字なんて大抵は知っているから余裕余裕!



なんてことは無く、この時代のミミズ張れの様な草書体なんて読めないし、故事古典は公家文化に理解が深い朝倉家の男子には必須項目だ。お陰で毎日筆を握っている。


中国の歴史関係も故事に通ずるということで並行して学んでいるのだけど.....現代の日本人に馴染みのある三國志なら俺も良く知っているが、春秋戦国や三國志以降の統一王朝については難解を極めた。


だか史記や戦国策、孫子等の聞いたことある一節やフレーズ、事例は理解すると「あぁ、こう言う意味だったんだぁ」と楽しく覚えることが出来た。

日ノ本の事柄についての勉強も行っているが芳しくない。草書体で読めない教本が多く、過去の天皇を初めとする皇族やら源氏やら平氏が多過ぎて、頭がこんがらがってしまう。


まさか日本史より中国史の方が勉強しやすい状況になるとは思わなかったよ...だけど、これくらいで諦めてはいけないな!



他にも周辺国事情や将軍家・公家の概要についても傅育役である大叔父の朝倉四郎景連に聞きまくった。大叔父は驚きながらも質問に細かく教えてくれる。


四郎叔父上は一乗谷の奉行として一乗谷館に勤務しており、兄がいたらしい。その兄も若い頃に病死でこの世を去ったとか。

だからだろうか、俺に対して自分を重ねてるかの様に丁寧に接してくれる。傅育役とはいえ掛かり切りになるわけじゃない。奉行人としての政務もある。そんな中で3歳児の質問にも答えてくれるのだから頭があがらない。



算術は粗方できるのでその分を他のことに回している。そんな感じで3歳を過ごしていたら周囲から神童と評価されてる。まぁ、3歳児がやる内容じゃないから当たり前だよね。

むしろ何も言わて無かったら、前世の30年は何だったのかと泣いてたかもしれない。



それと自分の中で小さなルールを決めた。

まず心の中でも父上、母上、兄上や目上の者に対してはちゃんと敬称で呼ぶことにすることだ。ふざけていると顔に出るし、雰囲気から察する人もいるだろう。身内にはちゃんとすることを決めたし、武家の話し方を意識することにした。


心構えといった所かな。

喋り方に関して父上はいい顔しなかったが、母上が多少の野があったほうが武士らしいからと認めてくれた。



他にもある。側近が出来た。

側近と言うと自分がかなり凄い人物になった気がするが実際は学友みたいなモノだ。

やって来たのは一門衆である孫三郎。俺の従弟で父上の部下になる朝倉景隆の子で俺からすると従甥、孫三郎からすると従弟叔父となるらしい。初めはギクシャクしたが、その日には子供らしく直ぐに名前で呼び会うようになった。



それともう一人、側近というより四郎叔父上の傅育役としての補佐や、政務で居ない時の教師役として松林院鷹瑳(しょうりんいんようさ)という格好良すぎる名前の若い御坊さん。

朝倉家の稀代の英雄、朝倉宗滴の後継者と目される父上の弟の朝倉景紀の次男で 子供の頃に大和(現在の奈良)にある興福寺のお寺に自ら入ったらしい。

血縁上は俺の従兄になるのだが景紀殿が宗滴殿の養子入りしたので一門の一人として扱うようにと父上言われたのだがそこじゃない!


次男がお寺に入る。

初めその話を聞いた時「えっそれってありなの?俺の生き残る道を見つけたぜ!」っと思いワクワクしながら父上にお願いして、一時的に教えを請うとして興福寺から招集してもらった。理由としては「京都の情報と太郎差衛門(宗滴)殿の孫であること」という少し拙いかなとも思ったが父上は許可をくれた。


どうやら宗滴殿の孫を呼ぶということが大きな理由らしく、父上は苦笑いしながら「朝倉家の男は太郎左衛門殿に憧れる。お前もそうなんだろ?ワシもそうよ」と話してくれた。どうやら俺が宗滴殿の話を聞きたいと思ったらしい。


生きる伝説の宗滴殿の影響力を感じた時だった。



何はともあれ、招集した鷹瑳から次男でも仏門に入る秘訣を楽しみにしながら対面した俺は、自分の愚かさを呪った。



彼は右手が上手く動かないのだ。後から聞いたのだが先天性のモノらしく、幼い頃から薬草治療やら祈祷を施したが治りはしなかった。


そんな彼は俺が少し固まったのを見たのだろう。

それでも嫌そうな顔もせず、動かない右手をダランと垂らしながら直ぐ様平伏し「何でもお聞き下さい」と一言。

自分の愚かさを憎みつつ「畿内や仏教勢力、鷹瑳殿の学んだことを御教授お願いします」と一間置いて頭を下げた。



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