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名族朝倉家に栄光あれ  作者: マーマリアン
良き結末とその覚悟
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第39話 今周泰



1545年 10月



単純に分からない。

「誰だ?」


「森可成に御座います」



森可成。

信長の股肱(ここう)の臣と言えば人によって変わる。俺が挙げるならこの男だ。

槍の名手として名高く、多くの武将を討ち取るキリングマシーンかと思いきや調略の功も歴史の記録に残す。信長の元でマルチに働き、忠義に生きた武将。


ちなみにアレ(男色)な意味で有名な森蘭丸、アレ(ヤベー奴)な意味で有名な森長可の父でもある。




森可成の評価が決定的となったのは...遺憾ながら俺達朝倉家との戦いだ。

第一次信長包囲網で信長の背後を突こうとした俺達を、寡兵で引き付けて討ち死にしたのである。


この少数で大軍に大打撃を与え、かつ主君を救った行動は武士にとって最高の誉れ。



その結果、鳥居元忠と高橋紹運に並ぶ戦国三大カッコいい玉砕者の一人にノミネートされた。


彼もまた俺達を踏み台にして名を挙げた1人でもある。




思わぬ人物の名に顔が驚いてしまう。


「ええ、六郎様が森可成の名、「三左」と言う名が付くと仰られていた者です。正確には三左衛門の名でした。彼の者は確かに尾張に基盤を構えておりましたが、土岐家に仕えております」


「攻めの三左」俺が覚えてる彼のキーワードだ。

正確には三左衛門だったんだな。



森は織田からすると外様だったのか。

始めから信長に仕えていると思っていた。


成る程、...草の彼等は領域や国から調べてくれた。

俺は主家から探そうとしていた。そこに齟齬(そご)があったのかもしれない。まぁ上手く行ったから良いか。


それにしても彼の家は土岐家に仕えていたのか。

道三が美濃で優勢となっても忠義を貫いている。そんな忠義者には是非とも来て欲しいが、現在進行系で土岐家に忠義を貫いているのだ。来てくれるだろうか?


「鷹瑳、情報はないのか?」

ペラペラと和紙を片手で器用に捌いていく鷹瑳。


本当に沢山調べてくれたようだ。紙の()れる音が聴こえる分だけ感謝の念が沸いてくる。

「可成の父の名は可行。森家は武辺の家らしく可行の父・祖父はそれぞれ、合戦で殿を務めて亡くなったそうです。可行も森家の例に漏れず武勇にも兵の指揮にも優れてるとか。また可行の男児は可成のみで、可行の妻は正室しか居らぬとのこと」



確か可成も正室は一人だけにも関わらず子に恵まれていたよな。親子揃って正室に首ったけって現代感覚だと好感が持てるわ。


ふと、鷹瑳が資料から目を離して俺を見る。

ん、どうした?続きは?


「どうした?」

まんま心の声を出す。俺の素朴な疑問を鷹瑳に掛けるが鷹瑳は答え辛そうな顔をしている。


何だ?別にお前が嫌いな人間じゃないだろう?忠義者で武勇に優れて家系も勇の者ばかりだ。というより好きな部分しか無いんじゃないか?



彼は心を落ち着かせる様にして目を閉じ、数秒の後に開く。口も合わせて動かし始めた。


「彼の者は手の指を一本、戦で無くしており..回りからは...その、『十九』と蔑称を受けているとか」


あぁ。何か欠損があると聞いたことがある気がする。


鷹瑳は自分と同じ様な立場と為った者に憐憫を持ったのか、それともそんな私情は仕事に入れるべきじゃないと葛藤してたのか。

はたまた俺がそんな障害を持つ者に差別心を持ってると思ったのか?



...三番目だったら少し泣けるわ。そんなことないのに。



「武者が戦場で怪我を負うことは誇ることだろう。主君の為に戦ったのだからな。馬鹿にする者こそ不忠者よ。鷹瑳、彼の者を我が家に誘え。俺は優遇するし、父上も欲しがるだろう」



俺の意思を強調するように、少しばかり力を入れて返答する。実際に父上も気に入るだろうし、主君の為に体を張ったやつを蔑ろにする意味がわからん。



俺の答えに鷹瑳も満足したらしい。目に見えて強張(こわば)りが(ほぐ)れていく。



「ではそのように。孝景様への採択に届けます」

「うむ、俺も父上にも言っておこう。彼の者は三國の今周泰が如く人物であると」



「....周泰?ああ。そうですな。彼の者も主である孫権の為に数多の傷を負ったとか。確かに今周泰ですな。六郎様は唐国の事話す良く勉強されておりましたから傅育役としても嬉しゅうございます」


間を置いて置いて鷹瑳は周泰を思い出すと、そこから本当に嬉しそうに滑らかに話す。



本当の処、俺としては転生してからの勉強内容が鎌倉や室町初期の事柄が複雑過ぎて中国史に逃げた様なものだから少しばつが悪い。最もその中国史も前世でも馴染みのあった三國志がベースにあって新しく勉強するのが楽だから深く知っているだけだ。そして今回はドンピシャだっただけ。


明らかに勉強科目の配分を間違えてる自覚はある。

だが政務の合間にやる勉強は、息抜きを兼ねて好きな事をやってしまう。それが今回は役に立った。

だけど、どこかで時間を作って学ばなくてはな。

ちなみに兄上はオールマイティーにちゃんと勉強している。弟の身内贔屓を除いても努力しているし結果も着いてきている。最近は孝綱の長男、源太郎にも教えている位だ。


このまま順調に評価を上げて最後まで維持して欲しい。


とは言えどんなことでも先生に褒められるのは嬉しい。つい軽口で誤魔化す。

「これも鷹瑳御師匠の教えの賜物です」



鷹瑳も「ふふ、そうですか。良い弟子を持ったものです」と笑いながら答えた。






武士は、基本全員が今周泰だと思います。



ただお話の為に格好良く書きたいから森可成を周泰に準えました。本当は夏候惇か典偉も候補でしたが今◯◯にすると周泰が響きが良いので周泰にしました。他にも良さげなものがあれば教えて貰えると幸いです。



また私自信も三國志は好きですが六郎は勉強して、さらには史実のお勉強をしているので武将伝を読んで和訳することが将来の夢という設定にしようと思ってます。それをいつか話にする予定です。

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