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名族朝倉家に栄光あれ  作者: マーマリアン
良き結末とその覚悟
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第36話 南蛮人のあれこれ

1545年 10月




鷹瑳が、俺が引き抜きたいと言った他家の者の身辺調査が出来たと伝えてきた。それを聞いて今ウキウキで鷹瑳の元に向かってる最中だ。



ちなみに引き抜き1号の一益は、登用したその後直ぐに工藤兄弟の与力として働いて貰ってる。工藤兄弟も人手が足りないから喜んでいた。

と言うか一益がすんなり武将として働けたのは鷹瑳が父上に「彼の者、器量あり」と推薦したみたいだ。


多分鷹瑳も面会した時に彼の有能さを感じたのだろう。

そんなに信用しているのかと聞くと

「彼の境遇を考えたのですよ。忍の者がアレほどの教養を持っているのです。忍働きなんぞやってられないでしょう。武士として見なすだけで忠を示してくれるでしょう」なんて言ってきた。

鷹瑳も何だか器や視野が広まったのかな?初めて会ったときよりも態度や考え方が柔らかくなった気がする。



いずれは一益も頭角を表すだろう。その時に父上のお眼鏡に叶って欲しいものだ。

それに一益も一乗谷に住めて幸せそうだし。地元は京に近くても荒んでいるんだ。雅なんて生まれてこの方、感じたことも見たことも無いと言っていた。実際、書物に伝わる貴族らしい貴族なんて一乗谷で初めて見たと興奮していたな。



そんな雅な一乗谷を含めて、俺が集めた情報だと今最も栄えてる地は我等が一乗谷か大内家の山口、独立都市の堺のスリートップ。次いで博多や最近延びてきている北条家の小田原かな?地元がトップを走ってるのは誇らしいな。歴代当主に頭が上がらんよ。

ただし、正確なデータがあるわけじゃないし、大体の情報源は城下にいる商人や行商だ。俺が「正確な情報が欲しい」と言っても当主の子供だ。本当の優劣を俺に話して国のトップである父上に話されては商売が上がったりになると思った者もいるだろう。おべっかを使ってたのも多いし。



そんな商人達が言うにはその下に尾張の津島や今川の駿府、北畠の大奏等が続いている。大友も今は余り名を聞かないが確か今後に繁盛する南蛮貿易で力を手に入れたんだよな?



俺達もおこぼれに預かろう。イヤ、利益を奪うか。

寄港しやすい様に南蛮人の街を造ろう。住みやすい街を作れば彼等も長期滞在するはずだ。そしたら生活を豊かにする為とか言って向こうの職人を誘致して貰おう。

積極的に受け入れるのだ。


絵画や建築、細工師や鍛治、後は金銀を含む銅から金銀を抽出する技術を持つ者だ。確か灰吹法という名前だったかな?向こうでは()があるから二束三文で銅を日本から買い叩いたと聞いたことがある。

勿論南蛮側の商人も隠しておきたい事だし、そもそも秘匿技術を持つ者を引っ張ってこれるのかと言う話だ。貿易する者がどの位本国で力を持っているのか分からない。

だけどそれはひた隠しにして近付こう。

ゆっくりと懐柔して連れて越させれば御の字だ。

最悪その技術を持ってない者でも南蛮の鍛治職人の中には聞いたことが有る者も居るだろう。

又聞きの知識から研究してもいい。望み薄だがやってみるか。



それと研究と言えば間藤善次郎から泣きつかれた。歯車が難しいと。それと助手をもっと増やしてくれって。後は少し休みも欲しいみたいだった。直訴するという緊張のあまり言動多少おかしかったが、伝えて来たのはそんな感じだ。



かなり行き詰まってるかもしれん。

フル稼働によるオーバーヒートをおこしてる。一応録も増加し土地も500石与えた。朝倉家では中級武士相当の家禄になるのにな。この時代において武士は名誉を求める物なのに弱言を話すのはあまり良いことではない。

出来ない事を出来ますと言う者が喜ばれる。日本の封建制度はブラック企業の先取りと言っていい。そうなると武士は社畜だ。死亡率も高いし。

その代わり手柄を立てたらボーナスが出る。領地や大金等の巨大なボーナス。社長の大名も奉公にはちゃんと応えないと社員は働かないし最悪は独立することもあるので、賞与はシッカリしている。


とにかく、善次郎を酷使し過ぎたのかもしれん。



壊れたり逃げられたりするのは困る。少し休ませよう。升や定規の作製も休止させよう。


機密は守らなければならんしな。

コイツは多くを知ってる。なので護衛と監視を千把扱きの製作依頼をした時から付けている。変なことを考えるなよ。もう朝倉から抜ける事は出来ないのだから。

一応念のためだが...彼の助手から彼の後継者を見繕っておこう。



それにしても冷静になって考えてみると、

当たり前だが俺も未だ未だ未熟だ。部下の陳情を受け入れて捌くことができない。処理しきれなければ直ぐに始末しようとする。

考え方も現代人の頃からかなり物騒になったな。越前朝倉家の力に溺れてきたのかもしれない。


もっと頭を回さないとな。



だからこんな時に、本当に父上がいて良かったと思う。30年以上に渡り大名を続けており、見た感じ家臣との関係は良好だ。


前世の俺には後輩は居たが部下を持った事が無かった。その為か人を扱う事に馴れていないのだろう。鷹瑳や孫三郎を側近として付けられたのも幼い頃から人使いに慣れる意味合いもあるのだろう。


俺はまだまだだが、そこら辺を父上から学んでいこう。




考え事だけで終わってしまいました。次の話が引き抜きの話です

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